
SHARE 【ap編集長の建築探索】vol.008 竹内吉彦 / tデ「白い邸」

「ap編集長の建築探索」は、23年の歴史ある建築ウェブメディア「アーキテクチャーフォト」の編集長である後藤連平が、訪問した建築を紹介する連載シリーズです。論考のようなかっちりとした形式ではなく、現地で感じた雰囲気や空気感が伝わるような“ライブ感”のある文体で綴ります。読者の皆様も自身が建築を体験するように読んでいただければ幸いです。
竹内吉彦 / tデ「白い邸」
tデの竹内さんが設計した都内の住宅の内覧会に伺った。
住宅を初めて設計されたとのことだけど、「バレンシアガ 銀座」を手掛けたり、独立以前の青木淳建築計画事務所時代には「LOUIS VUITTON GINZA NAMIKI」も担当した実力者。
空間に身を置いてみて、非常に素晴らしかった。
幾何学的に整理されたシンプルな平面から、非常に複雑で豊かな体験を与える空間が生まれているのも、個人的に好みであった。
一階の柱や袖壁がないワンルーム空間は、その上部中央にあるフィーレンデール構造の巨大梁で成立しているとのこと。
このシンプルなワンルームの上に、ロフト階と二階が積層する構成なのだけれど、ロフトと二階の個室には、立体的な回遊動線が作られていて、行き止まりなく建物全体を回ることができる。これも、体感的な広さに大きく寄与していると思った。
もう少し詳しく説明すると、其々の個室に2つの出入り口があり(ひとつは、一般的な引き戸、もうひとつは、梯子でロフト階と接続)、個室が通過動線にもなり、行き止まり感がないのも心理的に効いている。
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更に良いなと思ったのは、この建築に、様々なな過去の名作や現代の名作を「連想させる力」があること。
僕は、建築を「作品」の土俵に載せる為には、この「連想させる力」を作品が持っていることが重要だと思っている。勿論、模倣ということではなくて、建築家のフィルターを通して変異していることも、重要。
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この建築に滞在してみて、ジョン・ヘイダックの集合住宅や、篠原一男や原広司の住宅、ル・コルビュジエのサヴォア邸の構成、ファラ、ムトカのペインターハウスなどとの関係性が想像された。
それは、作品が孤立しているのではなくて、過去や現在の建築と繋がりを持っているということで、自ずと色々な視点から語りたくなってしまう。そんな建築だと思った。
お施主さん、竹内さん、ご竣工おめでとう御座います、、、!
(訪問日:2024年10月19日)
後藤連平(ごとう れんぺい)
アーキテクチャーフォト編集長
1979年、静岡県磐田市生まれ。2002年京都工芸繊維大学卒業、2004年同大学大学院修了。組織設計事務所と小規模設計事務所で実務を経験した後に、アーキテクチャーフォト株式会社を設立。22年にわたり建築情報の発信を続けており、現在は、建築と社会の関係を視覚化するWebメディア「アーキテクチャーフォト」の運営をメインに活動。著書に『建築家のためのウェブ発信講義』(学芸出版社)など。




