OHMURA NAKAMURA ATELIERによる、埼玉・日高市の「横手の家」。南から北に地盤レベルが段々と下がる造成地での計画。南の隣家から影が落ちる環境に対し、片寄棟屋根の2つの量塊をずらして重ね合わせる建築を考案。ズレから生まれる“スリット窓”から光を導くと共に眺望も確保外観、西側より見る。 photo©中村絵
OHMURA NAKAMURA ATELIERによる、埼玉・日高市の「横手の家」。南から北に地盤レベルが段々と下がる造成地での計画。南の隣家から影が落ちる環境に対し、片寄棟屋根の2つの量塊をずらして重ね合わせる建築を考案。ズレから生まれる“スリット窓”から光を導くと共に眺望も確保2階、西側の廊下から開口部越しに外部を見る。 photo©中村絵
OHMURA NAKAMURA ATELIERによる、埼玉・日高市の「横手の家」。南から北に地盤レベルが段々と下がる造成地での計画。南の隣家から影が落ちる環境に対し、片寄棟屋根の2つの量塊をずらして重ね合わせる建築を考案。ズレから生まれる“スリット窓”から光を導くと共に眺望も確保1階、左奥:キッチン、中央手前:ダイニング、右:2階への階段 photo©中村絵
大村聡一朗+中村園香 / OHMURA NAKAMURA ATELIERが設計した、埼玉・日高市の「横手の家 / 重の器」です。
南から北に地盤レベルが段々と下がる造成地での計画です。建築家は、南の隣家から影が落ちる環境に対し、片寄棟屋根の2つの量塊をずらして重ね合わせる建築を考案しました。そして、ズレから生まれる“スリット窓”から光を導くと共に眺望も確保しました。
この敷地一帯は山を切り崩し造成された場所であり、南から北に向けて地盤レベルが段々状に下がるように計画された。この敷地の東側には開発をされずに残った谷地に森が広がっており、西側にはそれとは対照的に、ニュータウンの街並みが広がっている。
このニュータウンの多くの住宅は敷地の北側に建物を寄せ、南側にリビングを設け、さらにその南側に庭をつくるという、南向きに人々の活動の中心を設けた建ち方をしている。しかし、段々状の地盤の影響によって南側の一段上がった住宅の影が、計画敷地の南側の庭に多く落ち、暗い環境の庭が連続している街区となっていた。
建主が既存住宅を購入して30数年が経過した現在、ニュータウンという環境に呼応する住宅の在り方や定年後の夫婦の住まい方に対する、様々な距離感を内包する住宅を目指した。
この住宅では、約6m×4mの平面、約5mの高さの壁、片寄棟屋根という外形を持つふたつのボリュームをずらし、3,185mm×910mmの領域を重ね合わせて全体を形成している。
各居室全てから東側に広がる森への眺望を取りつつ、ズレから生まれるスリット窓によって北側の安定した光と、南側の季節を感じる光を取り入れている。
また、南北に細長く、壁の高さを抑えたボリュームを配置することによって東西に異なる環境の庭を設け、北側に建つ隣家の庭に光を十分に届けるように計画している。
内部では、ふたつのボリュームをお互いにずらして重ねることによって、一階では階段室を形成し、リビングとダイニングの領域を分割しつつ接続する役割を果たしている。
二階ではボリュームの重なりをお互いに延長することによって内屋根を生み出し、納戸や便所、予備室といった共有部を介して南の室と北の室を緩やかに分断し、接続している。
さらに内屋根によって生まれた浮遊する空間を介して光や空気、音はひとつながりとなり、北の室と南の室でのお互いの活動の気配が感じられ、夫婦の二人暮らしにグラデーションを持った距離感を創出している。
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OHMURA NAKAMURA ATELIERによる、埼玉・日高市の「横手の家」。南から北に地盤レベルが段々と下がる造成地での計画。南の隣家から影が落ちる環境に対し、片寄棟屋根の2つの量塊をずらして重ね合わせる建築を考案。ズレから生まれる“スリット窓”から光を導くと共に眺望も確保俯瞰、南東側より見下ろす。 photo©中村絵

OHMURA NAKAMURA ATELIERによる、埼玉・日高市の「横手の家」。南から北に地盤レベルが段々と下がる造成地での計画。南の隣家から影が落ちる環境に対し、片寄棟屋根の2つの量塊をずらして重ね合わせる建築を考案。ズレから生まれる“スリット窓”から光を導くと共に眺望も確保外観、南東側より見上げる。 photo©中村絵

OHMURA NAKAMURA ATELIERによる、埼玉・日高市の「横手の家」。南から北に地盤レベルが段々と下がる造成地での計画。南の隣家から影が落ちる環境に対し、片寄棟屋根の2つの量塊をずらして重ね合わせる建築を考案。ズレから生まれる“スリット窓”から光を導くと共に眺望も確保外観、東側より見上げる。 photo©中村絵

OHMURA NAKAMURA ATELIERによる、埼玉・日高市の「横手の家」。南から北に地盤レベルが段々と下がる造成地での計画。南の隣家から影が落ちる環境に対し、片寄棟屋根の2つの量塊をずらして重ね合わせる建築を考案。ズレから生まれる“スリット窓”から光を導くと共に眺望も確保外観、西側より見る。 photo©中村絵

OHMURA NAKAMURA ATELIERによる、埼玉・日高市の「横手の家」。南から北に地盤レベルが段々と下がる造成地での計画。南の隣家から影が落ちる環境に対し、片寄棟屋根の2つの量塊をずらして重ね合わせる建築を考案。ズレから生まれる“スリット窓”から光を導くと共に眺望も確保外観、南西側より見る。 photo©中村絵

OHMURA NAKAMURA ATELIERによる、埼玉・日高市の「横手の家」。南から北に地盤レベルが段々と下がる造成地での計画。南の隣家から影が落ちる環境に対し、片寄棟屋根の2つの量塊をずらして重ね合わせる建築を考案。ズレから生まれる“スリット窓”から光を導くと共に眺望も確保外観、敷地内の北側より見る。 photo©中村絵

OHMURA NAKAMURA ATELIERによる、埼玉・日高市の「横手の家」。南から北に地盤レベルが段々と下がる造成地での計画。南の隣家から影が落ちる環境に対し、片寄棟屋根の2つの量塊をずらして重ね合わせる建築を考案。ズレから生まれる“スリット窓”から光を導くと共に眺望も確保1階、ダイニングから玄関越しにリビング側を見る。 photo©中村絵

OHMURA NAKAMURA ATELIERによる、埼玉・日高市の「横手の家」。南から北に地盤レベルが段々と下がる造成地での計画。南の隣家から影が落ちる環境に対し、片寄棟屋根の2つの量塊をずらして重ね合わせる建築を考案。ズレから生まれる“スリット窓”から光を導くと共に眺望も確保1階、リビングからダイニング側を見る。 photo©中村絵

OHMURA NAKAMURA ATELIERによる、埼玉・日高市の「横手の家」。南から北に地盤レベルが段々と下がる造成地での計画。南の隣家から影が落ちる環境に対し、片寄棟屋根の2つの量塊をずらして重ね合わせる建築を考案。ズレから生まれる“スリット窓”から光を導くと共に眺望も確保1階、リビングから開口部越しに外部を見る。 photo©中村絵

OHMURA NAKAMURA ATELIERによる、埼玉・日高市の「横手の家」。南から北に地盤レベルが段々と下がる造成地での計画。南の隣家から影が落ちる環境に対し、片寄棟屋根の2つの量塊をずらして重ね合わせる建築を考案。ズレから生まれる“スリット窓”から光を導くと共に眺望も確保1階、左奥:キッチン、中央手前:ダイニング、右:2階への階段 photo©中村絵

OHMURA NAKAMURA ATELIERによる、埼玉・日高市の「横手の家」。南から北に地盤レベルが段々と下がる造成地での計画。南の隣家から影が落ちる環境に対し、片寄棟屋根の2つの量塊をずらして重ね合わせる建築を考案。ズレから生まれる“スリット窓”から光を導くと共に眺望も確保2階、1階への階段側から西側の廊下を見る。 photo©中村絵

OHMURA NAKAMURA ATELIERによる、埼玉・日高市の「横手の家」。南から北に地盤レベルが段々と下がる造成地での計画。南の隣家から影が落ちる環境に対し、片寄棟屋根の2つの量塊をずらして重ね合わせる建築を考案。ズレから生まれる“スリット窓”から光を導くと共に眺望も確保2階、東側の廊下から開口部越しに外部を見る。 photo©中村絵

OHMURA NAKAMURA ATELIERによる、埼玉・日高市の「横手の家」。南から北に地盤レベルが段々と下がる造成地での計画。南の隣家から影が落ちる環境に対し、片寄棟屋根の2つの量塊をずらして重ね合わせる建築を考案。ズレから生まれる“スリット窓”から光を導くと共に眺望も確保2階、「北の室」 photo©中村絵

OHMURA NAKAMURA ATELIERによる、埼玉・日高市の「横手の家」。南から北に地盤レベルが段々と下がる造成地での計画。南の隣家から影が落ちる環境に対し、片寄棟屋根の2つの量塊をずらして重ね合わせる建築を考案。ズレから生まれる“スリット窓”から光を導くと共に眺望も確保2階、「北の室」から東側の廊下を見る。 photo©中村絵

OHMURA NAKAMURA ATELIERによる、埼玉・日高市の「横手の家」。南から北に地盤レベルが段々と下がる造成地での計画。南の隣家から影が落ちる環境に対し、片寄棟屋根の2つの量塊をずらして重ね合わせる建築を考案。ズレから生まれる“スリット窓”から光を導くと共に眺望も確保2階、「北の室」、「内屋根」から「南の室」側を見る。 photo©中村絵

OHMURA NAKAMURA ATELIERによる、埼玉・日高市の「横手の家」。南から北に地盤レベルが段々と下がる造成地での計画。南の隣家から影が落ちる環境に対し、片寄棟屋根の2つの量塊をずらして重ね合わせる建築を考案。ズレから生まれる“スリット窓”から光を導くと共に眺望も確保2階、中央の廊下 photo©中村絵

OHMURA NAKAMURA ATELIERによる、埼玉・日高市の「横手の家」。南から北に地盤レベルが段々と下がる造成地での計画。南の隣家から影が落ちる環境に対し、片寄棟屋根の2つの量塊をずらして重ね合わせる建築を考案。ズレから生まれる“スリット窓”から光を導くと共に眺望も確保2階、廊下から「内屋根」を見上げる。 photo©中村絵

OHMURA NAKAMURA ATELIERによる、埼玉・日高市の「横手の家」。南から北に地盤レベルが段々と下がる造成地での計画。南の隣家から影が落ちる環境に対し、片寄棟屋根の2つの量塊をずらして重ね合わせる建築を考案。ズレから生まれる“スリット窓”から光を導くと共に眺望も確保2階、西側の廊下から開口部越しに外部を見る。 photo©中村絵

OHMURA NAKAMURA ATELIERによる、埼玉・日高市の「横手の家」。南から北に地盤レベルが段々と下がる造成地での計画。南の隣家から影が落ちる環境に対し、片寄棟屋根の2つの量塊をずらして重ね合わせる建築を考案。ズレから生まれる“スリット窓”から光を導くと共に眺望も確保2階、中央の「室」から開口部越しに廊下側を見る。 photo©中村絵

OHMURA NAKAMURA ATELIERによる、埼玉・日高市の「横手の家」。南から北に地盤レベルが段々と下がる造成地での計画。南の隣家から影が落ちる環境に対し、片寄棟屋根の2つの量塊をずらして重ね合わせる建築を考案。ズレから生まれる“スリット窓”から光を導くと共に眺望も確保2階、「南の室」 photo©中村絵

OHMURA NAKAMURA ATELIERによる、埼玉・日高市の「横手の家」。南から北に地盤レベルが段々と下がる造成地での計画。南の隣家から影が落ちる環境に対し、片寄棟屋根の2つの量塊をずらして重ね合わせる建築を考案。ズレから生まれる“スリット窓”から光を導くと共に眺望も確保外観、敷地内の南側より見る。 photo©中村絵

OHMURA NAKAMURA ATELIERによる、埼玉・日高市の「横手の家」。南から北に地盤レベルが段々と下がる造成地での計画。南の隣家から影が落ちる環境に対し、片寄棟屋根の2つの量塊をずらして重ね合わせる建築を考案。ズレから生まれる“スリット窓”から光を導くと共に眺望も確保外観、敷地内の北西側より見る。夜景 photo©中村絵

OHMURA NAKAMURA ATELIERによる、埼玉・日高市の「横手の家」。南から北に地盤レベルが段々と下がる造成地での計画。南の隣家から影が落ちる環境に対し、片寄棟屋根の2つの量塊をずらして重ね合わせる建築を考案。ズレから生まれる“スリット窓”から光を導くと共に眺望も確保外観、南東側より見上げる。夜景 photo©中村絵

OHMURA NAKAMURA ATELIERによる、埼玉・日高市の「横手の家」。南から北に地盤レベルが段々と下がる造成地での計画。南の隣家から影が落ちる環境に対し、片寄棟屋根の2つの量塊をずらして重ね合わせる建築を考案。ズレから生まれる“スリット窓”から光を導くと共に眺望も確保配置図 image©OHMURA NAKAMURA ATELIER

OHMURA NAKAMURA ATELIERによる、埼玉・日高市の「横手の家」。南から北に地盤レベルが段々と下がる造成地での計画。南の隣家から影が落ちる環境に対し、片寄棟屋根の2つの量塊をずらして重ね合わせる建築を考案。ズレから生まれる“スリット窓”から光を導くと共に眺望も確保1階平面図 image©OHMURA NAKAMURA ATELIER

OHMURA NAKAMURA ATELIERによる、埼玉・日高市の「横手の家」。南から北に地盤レベルが段々と下がる造成地での計画。南の隣家から影が落ちる環境に対し、片寄棟屋根の2つの量塊をずらして重ね合わせる建築を考案。ズレから生まれる“スリット窓”から光を導くと共に眺望も確保2階平面図 image©OHMURA NAKAMURA ATELIER

OHMURA NAKAMURA ATELIERによる、埼玉・日高市の「横手の家」。南から北に地盤レベルが段々と下がる造成地での計画。南の隣家から影が落ちる環境に対し、片寄棟屋根の2つの量塊をずらして重ね合わせる建築を考案。ズレから生まれる“スリット窓”から光を導くと共に眺望も確保断面図 image©OHMURA NAKAMURA ATELIER

OHMURA NAKAMURA ATELIERによる、埼玉・日高市の「横手の家」。南から北に地盤レベルが段々と下がる造成地での計画。南の隣家から影が落ちる環境に対し、片寄棟屋根の2つの量塊をずらして重ね合わせる建築を考案。ズレから生まれる“スリット窓”から光を導くと共に眺望も確保断面図 image©OHMURA NAKAMURA ATELIER

OHMURA NAKAMURA ATELIERによる、埼玉・日高市の「横手の家」。南から北に地盤レベルが段々と下がる造成地での計画。南の隣家から影が落ちる環境に対し、片寄棟屋根の2つの量塊をずらして重ね合わせる建築を考案。ズレから生まれる“スリット窓”から光を導くと共に眺望も確保断面図 image©OHMURA NAKAMURA ATELIER
以下、建築家によるテキストです。
敷地について
このプロジェクトは1980 年代後半から開発されたニュータウンの東端に建つ住宅の建て替えである。
この敷地一帯は山を切り崩し造成された場所であり、南から北に向けて地盤レベルが段々状に下がるように計画された。この敷地の東側には開発をされずに残った谷地に森が広がっており、西側にはそれとは対照的に、ニュータウンの街並みが広がっている。
このニュータウンの多くの住宅は敷地の北側に建物を寄せ、南側にリビングを設け、さらにその南側に庭をつくるという、南向きに人々の活動の中心を設けた建ち方をしている。しかし、段々状の地盤の影響によって南側の一段上がった住宅の影が、計画敷地の南側の庭に多く落ち、暗い環境の庭が連続している街区となっていた。
建主が既存住宅を購入して30数年が経過した現在、ニュータウンという環境に呼応する住宅の在り方や定年後の夫婦の住まい方に対する、様々な距離感を内包する住宅を目指した。
重なるふたつの形と環境
この住宅では、約6m×4mの平面、約5mの高さの壁、片寄棟屋根という外形を持つふたつのボリュームをずらし、3,185mm×910mmの領域を重ね合わせて全体を形成している。
各居室全てから東側に広がる森への眺望を取りつつ、ズレから生まれるスリット窓によって北側の安定した光と、南側の季節を感じる光を取り入れている。
また、南北に細長く、壁の高さを抑えたボリュームを配置することによって東西に異なる環境の庭を設け、北側に建つ隣家の庭に光を十分に届けるように計画している。
重なるふたつの形と空間
内部では、ふたつのボリュームをお互いにずらして重ねることによって、一階では階段室を形成し、リビングとダイニングの領域を分割しつつ接続する役割を果たしている。
二階ではボリュームの重なりをお互いに延長することによって内屋根を生み出し、納戸や便所、予備室といった共有部を介して南の室と北の室を緩やかに分断し、接続している。
さらに内屋根によって生まれた浮遊する空間を介して光や空気、音はひとつながりとなり、北の室と南の室でのお互いの活動の気配が感じられ、夫婦の二人暮らしにグラデーションを持った距離感を創出している。
■建築概要
題名:横手の家 / 重の器
所在地:埼玉県日高市
主用途:専用住宅
設計:大村聡一朗+中村園香 / OHMURA NAKAMURA ATELIER
施工:家づくり工房
構造設計:辻拓也 / DIX
構造:木造
階数:地上2階
敷地面積:299.34㎡
建築面積:45.63㎡
延床面積:91.10㎡
建蔽率:19.90%(許容50%)
容積率:39.72%(許容80%)
最高軒高:6,940mm
最高高さ:7,062mm
設計:2023年1月~2024年3月
工事:2024年4月~2024年9月
竣工:2024年9月
写真:中村絵