SHARE 成瀬・猪熊建築設計事務所による「FabCafe」
以下、建築家によるテキストです。
FabCafe
web上に約2万人のクリエイターコミュニティを作り出しているロフトワークが中心となって企画をした、カフェ・コワーキングスペース・デジタルファブリケーション工房を兼ね備えた施設である。単体の機能ではなく、複数の機能を兼ね備えることで、もの作りという興味を中心とした特定のファンを獲得するとともに、近くのオフィスワーカーや大学生などの利用も呼び込み、年齢や性別を問わない広がりをみせている。
設計は、街区の先端にある建物形状を活かし、カウンターと客席を、レーザーカッターを中心に扇形に配置。工房とカフェの二つの機能を一体感のある構成のなかにまとめた。カフェユーザーの中に工作機械の順番待ちの人が混在していたり、レーザーカッターの前で知らない人同士が盛り上がったり、全体をワークショップやパーティーに利用したり、時間や企画によってダイナミックに内部の雰囲気が変化する。複雑なプログラムに対して、プロジェクトの初期段階から企画・運営メンバーとの話し合いを重ねて設計を進めることでしか作り得なかった空間となっている。