以下、建築家によるテキストです。

SUZHOU BOUTIQUE

10ほどのブランドを集めたセレクトショップである。それぞれのブランドを個室化せず、廊下とクラスターといった関係を作らず、できるだけブランドからブランドへと自然につながる平面を考えた。10のブランドエリアの他にも、ブランドを混ぜてディスプレイされるバッグ用、シューズ用エリアを作った。さらにソファエリア、支払いエリア等があるが、人がそれらの間をぐるぐると歩き回り使用することで一つながりの場となるよう考えた。

ショッピングモールの一階に位置するため、天井高は3.8mある。この大きなボリューム内で、アクリル製のカーブした壁は場所に方向性や特異性を少しだけ作るが、厚さ80mmと薄いので裏と表を作らず、単にあちらとこちらといった関係だけを持つ。シェルフ等のディスプレイは壁に寄り添うように配置されたり壁と壁との間に置かれることで、人の動きに具体的なつながりを作る。ここにはスタティックなものはなく、壁もディスプレイも人の動きを遮るものではない。カーテンは引き方によってはまた新しいつながりを作り、別の奥行きを与えている。シェルフはディスプレイの仕方によってさまざまに表情を変える。

全体と部分の両方で寸法にバリエーションを多く作ったり、意図的なカーブを使用しながらデザインを少しだけ作り込んでいる。特にシェルフではより自由度が高いと考えられがちな一般的な形のものより、逆に使い方を広げることができているように思う。（佐伯）

■建築概要
プロジェクト名：SUZHOU BOUTIQUE
設計：KUU
担当者：K.M. Tan、佐伯聡子、松下晃士、徐丹
写真：EIICHI KANO
竣工：2013年8月
面積：500平米
場所：中国蘇州市