SHARE 大野力 / sinatoによる、メディア企業のオフィス「KADOKAWA DWANGO」
all photos©太田拓実
大野力 / sinatoが設計した、メディア企業のオフィス「KADOKAWA DWANGO」です。
出版・映画配給及びソフトウェアの製造・販売等を行うKADOKAWAとニコニコ動画などを運営するネットワークエンタテインメント企業DWANGOが経営統合して出来た持ち株会社「KADOKAWA DWANGO」のオフィス。
僕らはまず一番大きな個室となる大会議室を円形にして独立配置し、その部屋自体をシンボリックなオフィスのコアとして位置づけ、また室内の会議テーブルも同じく円形にして席順等のヒエラルキーを無くすことで、同社のフラットな雰囲気を空間化したいと考えた。
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以下、建築家によるテキストです。
KADOKAWA DWANGO
出版・映画配給及びソフトウェアの製造・販売等を行うKADOKAWAとニコニコ動画などを運営するネットワークエンタテインメント企業DWANGOが経営統合して出来た持ち株会社「KADOKAWA DWANGO」のオフィス。
僕らはまず一番大きな個室となる大会議室を円形にして独立配置し、その部屋自体をシンボリックなオフィスのコアとして位置づけ、また室内の会議テーブルも同じく円形にして席順等のヒエラルキーを無くすことで、同社のフラットな雰囲気を空間化したいと考えた。更に大会議室の廻りにはレセプションカウンターを含めた回遊通路を設け、大会議室の様子と人々の行き交う様子を重ねてオフィス風景として表示した。ちなみに大会議室のガラス壁には液晶フィルムが貼ってあり、スイッチ一つで透過・不透過の切り替えが可能である。
大会議室と回遊通路を間仕切る壁は、頭上で円の外側に開く形で曲がっており、室内では床よりも広い面積の天井が見え、実際の大きさを超えた空間の広がりが感じられる。同時に回遊通路側では曲がった壁が片流れの傾斜天井となり、円弧状に連続しながらこの場所の求心性を高める。またこの傾斜ラインは室内の会議テーブルにも踏襲され、同傾斜角のすり鉢形状をした天板が、着席者同士のアイコンタクトを邪魔しない高さに中央モニターを設置するのに一役買っている。
執務エリアにおいてもフリーアドレススペースやミーティングスペースを円形にして、矩形のデスクが配列複製される均質空間の特異点として配置した。また天井下に張り巡らされた黒いビームは、役員室等の個室群を間仕切る同色同形状のガラスサッシを含めながら大会議室やエントランスまで繋がり、日常的な執務の場所とシンボリックな場所を一つのオフィス空間として連続させるものである。
大野力 / sinato
■建築概要
KADOKAWA DWANGO
設計・監理:大野力 金井亮 / sinato
照明設計:北田恵士 / FDS
設備設計:小山徹也 澤田みちる / コクヨファニチャー
施工:清水建設・コクヨファニチャー
施主:KADOKAWA DWANGO
竣工:2014.10
所在地:東京都中央区
用途:事務所
面積:1313.90sqm