SHARE 松島潤平建築設計事務所による、ルーム・フレグランス・メーカー Dr. Vranjesのためのオフィス「Dr. Vranjes JAPAN Head Quarter」
all photos©Takumi Ota
松島潤平建築設計事務所が設計した、ルーム・フレグランス・メーカー Dr. Vranjesのためのオフィス「Dr. Vranjes JAPAN Head Quarter」です。
フィレンツェのルーム・フレグランス・メーカー Dr. Vranjes(ドットール・ヴラニエス)日本オフィスの内装デザイン。最先端の研究に基づいて作られる天然原料だけを用いたDr. Vranjesのフレグランスは、インダストリアルかつヒューマン、また現代的な革新性とクラシカルな品格が融合しているプロダクトである。その豊かな二面性の結実を、空間でも実現することを試みた。
※以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
Dr. Vranjes JAPAN Head Quarter
フィレンツェのルーム・フレグランス・メーカー Dr. Vranjes(ドットール・ヴラニエス)日本オフィスの内装デザイン。最先端の研究に基づいて作られる天然原料だけを用いたDr. Vranjesのフレグランスは、インダストリアルかつヒューマン、また現代的な革新性とクラシカルな品格が融合しているプロダクトである。その豊かな二面性の結実を、空間でも実現することを試みた。
MDF(木質繊維中密度成型板)の表面に白色の植物油系自然塗料を荒塗りすることにより、新材か古材かもおぼつかない、木のような石膏のような独特の風合いのテクスチャを持った什器を並べた。板表面にはモールディングの代わりに、NCルーターの浅い削り出しによる、「凸(デコ)レーション」ならぬ 「 凹(ボコ)レーション 」 とも言うべき装飾を加えている。これらの操作により、均質性、安定性、加工性、安価といった現代家具材としてのMDFの利点を最大限利用しながら、その知られざる古風な表情を引き出した。
書棚はすべて扉付とすることで、塗装面積を減らしてイニシャル・コストを下げつつ、膨大な文書が隠蔽されることで執務空間が乱雑になることを防いでいる。書棚の裏側はバックヤードとして、チャンネルサポートによる可動のストック棚板を並べた。この領域のみMDFは素地仕上げとなっており、積み上げられるダンボール箱と同じテクスチャで統一された世界をつくる。サインは塗装済みの表面にレーザーを照射して彫り込んでおり、照射時間による材の焦がし具合を慎重に調整して、文字通りの「焦げ茶色」をつくっている。
コピー&ペーストのように繰り返される凹レーションが空間の秩序を保つ一方、おしろいを塗った肌のようなMDFのテクスチャがヒューマンな彩りを与えることにより、清潔で効率的、かつ柔らかでリラックスした、Dr. Vranjes ならではの執務環境を創出した。
■建築概要
所在地:東京都渋谷区恵比寿西2-11-9
主要用途:事務室
工事種別:改修
施工面積:125.00㎡
施 主:株式会社 Dr. Vranjes JAPAN
設計監理:松島潤平建築設計事務所
施 工:イノウエインダストリィズ
設計期間:2014.12. – 2015.01.
施工期間:2015.02.