大松俊紀 / 大松俊紀アトリエによる、神奈川県鎌倉市の住宅「四本柱建物」
サムネイル:大松俊紀 / 大松俊紀アトリエによる、神奈川県鎌倉市の住宅「四本柱建物」

大松俊紀 / 大松俊紀アトリエによる、神奈川県鎌倉市の住宅「四本柱建物」

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大松俊紀 / 大松俊紀アトリエが設計した、神奈川県鎌倉市の住宅「四本柱建物」です。

 まず大地に四本の柱を立てることを決めた。最初に住宅の中心的な架構をつくり、そこを起点に住まいを構成していく。必ずしも住宅に象徴的な中心の場を作ることではなく、概念的な“中心”を内包した住宅のつくり方である。そしてこれは、旧広瀬家住宅のように甲府盆地東部に古くから見られる民家形式「四つ建て」に繋がる。更に古くは、竪穴式住居の四本の柱にも繋がると考える。その意味でも、この形式は、住宅建築の原型を表していると言えるだろう。

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以下、建築家によるテキストです。


 まず大地に四本の柱を立てることを決めた。最初に住宅の中心的な架構をつくり、そこを起点に住まいを構成していく。必ずしも住宅に象徴的な中心の場を作ることではなく、概念的な“中心”を内包した住宅のつくり方である。そしてこれは、旧広瀬家住宅のように甲府盆地東部に古くから見られる民家形式「四つ建て」に繋がる。更に古くは、竪穴式住居の四本の柱にも繋がると考える。その意味でも、この形式は、住宅建築の原型を表していると言えるだろう。
 柱というものがどのように人間の生活に影響を及ぼすであろうか?その思いは、合理的な配置や寸法だけで決められていく現代の構造(柱)の在り方への疑問からも浮かび上がった。合理的に計算すれば、柱の太さは通常の105角で済んだであろう。だが、私は直径400を超える荒々しい杉丸太を選んだ。
もちろん、ただ非合理的な構造形式を採用したいという訳ではない。“合理と非合理の間“に漂い続ける我々人間のための空間がつくれないかと常々思う。
 現実と非現実(虚構)が境なく語られてしまう現代だからこそ、人間はある意味、虚構とも呼べる世界(都市)の中に、実りある現実の精神世界(住宅)を築こうとするのだ。この住宅は、白く抽象化された空間 (非現実)と生々しく荒々しい具象的事物(現実)の衝突の場でもあった。
 四本の柱は、家族の精神的な支えである。たとえこの住宅が朽ち果てたとしても、四本の柱だけは永遠にそこに残るであろう。
(「住宅建築2016年4月号より」)

■建築概要
物件名:四本柱建物
所在地:神奈川県鎌倉市
主要用途:専用住宅
工事種別:新築
建築設計理:大松俊紀/ 大松俊紀アトリエ
構造設計:鈴木啓/ASA(担当:金田泰裕)
施工:成幸建設
構造:木造軸組工法
階数:地上 2 階
敷地面積:109.73m2
建築面積:43.74m2
延床面積:87.48m2
竣工:2009 年 10 月
写真:淺川敏

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