SHARE 村上建築工舎による、京都市上京区の、カフェと学習塾のシェア空間「出町柳の会所」
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村上建築工舎が設計・施工を手掛けた、京都市上京区の、カフェと学習塾のシェア空間「出町柳の会所」です。
通学する学生が往来し、鴨川の三角州では住人達が憩い、下鴨神社を目的とした観光客も訪れ、様々な人々が行き交う京都市内北東の町、出町柳。
クライアントは、異業種の二人。コーヒーの持っている個性を多くの人々に楽しんでもらいたいカフェオーナー。もう一人は、誰もが自由に学ぶスペースを提供したい学習塾経営者。世代を問わず人々が行き交う出町柳は、2人のクライアントにとって魅力的であった。
この町の魅力を引き出し、クライアントの想いを実現するカフェと学習塾のシェア空間をつくるために、路地裏のように人々が自然に集い会話を楽しんだかつての「会所」のような場を設計のコンセプトとした。
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以下、建築家によるテキストです。
通学する学生が往来し、鴨川の三角州では住人達が憩い、下鴨神社を目的とした観光客も訪れ、様々な人々が行き交う京都市内北東の町、出町柳。
クライアントは、異業種の二人。コーヒーの持っている個性を多くの人々に楽しんでもらいたいカフェオーナー。もう一人は、誰もが自由に学ぶスペースを提供したい学習塾経営者。世代を問わず人々が行き交う出町柳は、2人のクライアントにとって魅力的であった。
この町の魅力を引き出し、クライアントの想いを実現するカフェと学習塾のシェア空間をつくるために、路地裏のように人々が自然に集い会話を楽しんだかつての「会所」のような場を設計のコンセプトとした。
敷地は、鰻の寝床と例えられる狭い間口と深い奥行きを持った、京町家の趣がのこる敷地である。この特徴的な空間を活かし人々が自然に憩う場になるよう心がけた。
人々が行き交う通りに対して開かれた空間にするために出入り口はセットバックし、そこに生まれたスペースに杉を使用した椅子とテーブルを人々が囲むテラスを設けた。真鍮の取手を持つ建具を開けると、手前側にはカフェを奥には学習塾を配置し利用者は石畳の路地のような奥へと続く通路を通る。カフェと学習塾の間には桧の床板が敷かれた小上がりを設け、性別・世代を問わずコーヒーを楽しみ、寺子屋のように子供達が自由に勉強する場とした。小上がりから通路を挟んだベンチは、縁側のように腰掛けて小上がりの様子を見ながら談笑できる配置とした。ペンダントライトやコーヒーを乗せるお盆など利用者の目にとまる物・手に取る物からも素材の違いを楽しめるよう試みた。
今後この場所は、イベントやワークショップ・企業と学生とのマッチング・世代を問わない学びの場といった様々な人々が集う場として運用される。そのようなシーンの中で、人々が自然に言葉を交わす居場所や距離感、利用者の見る・触れる・聞くといった体感を刺激するしつらえは、会話を生み出すきっかけとしての役割を担うと考えた。
一つの空間を性質の異なる業種がシェアすることは業務上難しい部分もあるが、この場所にあるコーヒー・学び・体感するしつらえをきっかけに、個々の活動をこえた相乗効果を生み出す可能性を持った「会所」となる事を期待している。
■建築概要
所在地:京都府京都市上京区
用途:カフェ+学習塾
面積:30坪
竣工:2016年10月
設計・施工:村上建築工舎
協力:岩井木工舎(施工)
tanakaconstruct(施工)
川田 えりま(ペンダントライト製作)
株式会社 共栄壁産(左官)
株式会社 竹中建具店(建具)
撮影:むかのけんじ