写真提供:田辺雄之建築設計事務所
ロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ主催の公募展で、エマージング・タレント(新しい才能)賞を受賞した、田辺雄之によるドローイングです。審査はアラップのナイジェル・トンクスらが行ったとのこと。アワードの詳細はこちらでどうぞ。
今回の建築部門のキュレーターは元FOAのファシッド・ムサビでした。彼女は『CADで描かれた様々な指示図面をX-RAYのように変換・統合させてアートとして扱うこと』を今年のテーマとして掲げました。そこで私はbewsとの共同設計にて2010年に竣工させた花型プランのフラワーアパートメントの2階平面図を題材としました。我々のような小さなアトリエ事務所は、建物の規模がコンパクトな場合、電気図や給排水図、ときには構造図まで自ら描きます。またそれを優秀な工務店さん下請けさんにサポートして頂き、精度をあげていきます。そのように全ての図面においてコントロール出来る状態であり、それらの理解が今回のテーマでもあるX-RAYのような(全てのレイヤーをオンにした状態)表現においても、最終的なアウトプットを美しく(他者に伝わる)保つことが出来たのだと思います。もちろん使用する色(今回は全て日本の伝統色)、線の太さ、面の構成なども含めてのことです。竣工が早春だったことと果樹園や畑が広がる平坦な環境であったことから、野に咲く‘菜の花’を拠りどころとして制作しました。