SHARE 松島潤平建築設計事務所による、東京の住居・料理教室スペース「TETOTETO」
all photos©長谷川健太
松島潤平建築設計事務所が設計した、東京の住居・料理教室スペース「TETOTETO」です。
長さ12.5m・高さ2.4mに及ぶ巨大な壁面収納のほか、間仕切り壁と建具も造作家具工事で製作されている。材料自体はラワン製の合板と有孔ボードという安価でラフなものであるが、家具工事ならではの非常に丁寧な細工が施されている。物だけでなく各個室も棚のなかに納まっているようなデザインとして、建物というよりも家具のなかに入り込んだような、繊細なスケールを持った居住空間をつくった。
リノベーションにおける家具・什器製作は、工事費削減のため家具業者ではなく大工仕事による内装工事となることが多い。しかしむしろ内装工事をできるかぎり圧縮し、家具工事を内装の範疇までシステマティックに肥大化させることによって、経済性のバランスを取りながら、工芸品に近しい高精度の住空間を実現した。
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以下、建築家によるテキストです。
TETOTETO
ヴィンテージ・マンションの一室を、住居 兼 料理教室に改修したプロジェクト。
多種多様な趣味を持つクライアントの膨大な好奇心と、毎週末訪れる多くのゲストたちを受け止めるキャパシティを充分に確保するべく、庭先のテラスまで含めて17.5mもの奥行を持ったワンルームのLDKをつくった。水廻りと個室群は一辺にまとめられているため、三面採光の明るい開放的な空間となっている。
長さ12.5m・高さ2.4mに及ぶ巨大な壁面収納のほか、間仕切り壁と建具も造作家具工事で製作されている。材料自体はラワン製の合板と有孔ボードという安価でラフなものであるが、家具工事ならではの非常に丁寧な細工が施されている。物だけでなく各個室も棚のなかに納まっているようなデザインとして、建物というよりも家具のなかに入り込んだような、繊細なスケールを持った居住空間をつくった。
棚板と中板の小口、キッチンカウンター天板、ダイニングテーブル天板、間仕切り壁の縦桟、無目、扉枠、扉引手はすべて9mm厚の見附で統一されている。一般的な住宅空間ではあまり現れてこない、「木にしては薄過ぎる / 金属にしては厚過ぎる」9mmという寸法によって、経験的な感覚から逸れた不思議な物性感覚の創出を試みている。
間仕切り壁の面、造作棚の背板に用いられている有孔ボードは、グリーンや小物を自由に掲示・脱着できるほか、欄間や格子の役割も果たしており、窓の外や各個室の光が透けて滲むことで時間帯に応じたさまざまな表情を空間にもたらしている。
リノベーションにおける家具・什器製作は、工事費削減のため家具業者ではなく大工仕事による内装工事となることが多い。しかしむしろ内装工事をできるかぎり圧縮し、家具工事を内装の範疇までシステマティックに肥大化させることによって、経済性のバランスを取りながら、工芸品に近しい高精度の住空間を実現した。
(松島潤平/松島潤平建築設計事務所)
■建築概要
所在地:東京都
主要用途:住居・料理教室スペース
工事種別:改修
施工面積:82.49㎡
設計監理:松島潤平建築設計事務所 (担当:松島潤平)
施 主:てとてと
コンサルティング:株式会社リビタ
内装工事:ヨシナガ工業
家具製作:イノウエインダストリィズ
グリーンコーディネイト: 中口昌子(cabbege flower styling)
設計期間:2016.04. – 2016.07.
施工期間:2016.08. – 2016.11.