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ツバメアーキテクツが設計した、埼玉の「半仕上げの保育所」です。
[半仕上げという方法]
丁寧に幾重にも配慮を重ねつつも、余白を残しながら空間が作り出せないだろうか。
このような問いからスタートした我々は[半仕上げという方法]を試すことにした。園児の手が届くところのクオリティをできる限り高めようとしたときに「半仕上げ」という方法にいたったということである。
まず空間の下半分、つまり園児が触れる「巾木」、「腰壁」、「枠」、「家具」、「建具」などを一体的に木で連続的に作った。
そして、各壁面に先ほどの木部と連続するように家具を設えた。家具は、二つ以上の機能を与えることで、且つ、それらを向かいあわせることで空間の重ね使いを促すことを目指した。例えば、「舞台と絵本棚」と「ダンス鏡と映画スクリーン」、「黒板と押入れ」と「先生机とファイル棚」といった具合である。
また天井も、面積の半分だけ塗ることにし、ペンキを塗る部分と黄色いプラスターボードを現しとする部分を反転させることと、照明の色温度を組み合わせることで、前後の部屋の雰囲気を変えた。
物事の半分、真ん中、中心、境界。そんなことを園児も考える空間になるのではないだろうか。様々なビルディングタイプにも展開できそうな発見的な方法である。