山本真也+渡邊敏行による、岐阜の既存RC住宅のワンフロアの改修「入れ子リノベーション」です。
既存建物に対してのアプローチはストック住宅にも見られるように現在進行形で私たちが直面する問題の一つである。しかし既存建物には法規的な問題、構造的な問題、建築物の状態的な問題を抱えたものも多く存在する。地方都市部においては中心部での高齢化が加速し、高度経済成長期に建てられた鉄筋コンクリート住宅に高齢者が住まう状況が見られ、その多くは数年から数十年で耐用年数を越えると思われる。この建物もそのような渦中の建物の1つである。計画の当初は建替えや転売などの案もあったが、最終的に改修案に決まった。
洗い出された問題は【既存建物をどのように活用するか】と【コストをどこまで抑える事ができるか】であった。
築57年鉄筋コンクリート造3階建ての建築物の状態は決して良いものではなく、数箇所から水漏れ、断熱処理はされていない状況であった。ただ、悪い事ばかりではなく、躯体はその当時使われていた杉板型枠の木目が見事に残っており、手仕事の良さを垣間見ることが出来た。
すべての水漏れを直し、断熱を施すことは調査段階で多くの費用がかかることが分かった。後々でもこれらの行為が行える計画を幾つも考え、その中で諸問題をクリアし、コスト的にも実現可能な案とし「入れ子」という形式にたどり着いた。