SHARE 川久保智康建築設計事務所による、東京の住宅「蔵前の小さな家」
川久保智康建築設計事務所が設計した、東京の住宅「蔵前の小さな家」です。
計画地はいわゆる下町的な細い路地に面し、その路地には少なからずコミュニティーが存在している。この住宅では通りから繋がる1階部分を開かれた土間にする事で、路地の延長で近隣との交流を促している。2階にDK、3階に個室を設けて段階的にプライバシーを確保しながら、短い梯子状の階段を行き来して、効率よく軽快に暮らせるように計画した。最上部のハイサイドライトから段板の隙間を通り自然光が下階へと降りてくる。同時に柔らかな気流を作り、住戸内の室内温熱環境を一定に整えている。
敷地は間口3.3m奥行9mの細長い形状。用途地域など法規制により小さな住宅であっても一定の規模を越えれば、耐火建築物である事を求められるが、逆に建築面積の制限が無くなる利点を考慮すれば、小さな土地であっても比較的大きな床面積を確保する事が出来る。
耐火性能を持った外壁、構造体。この地域の地盤の状況より建物本体を軽量化する事。内部空間をなるべく大きく確保するために鉄骨部材や仕上材をとにかくスリムに構成する事。敷地の境界から建物までのクリアランスを最低限に止めるための工法。いくつかの条件から、このフォルムはほぼ自動的に決定されている。
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■建築概要
所在地:東京都
主要用途:専用住宅
構造・規模:鉄骨造 地上3階
敷地面積:29.30m2
建築面積:23.42m2
延床面積:70.04m2
竣工:2016.10
撮影:傍島利浩