トム・ヘネガンの東京藝術大学退任記念展「SPECUTLATIONS」が開催されています。会期は2019年1月20日まで。
8年前、トム・ヘネガン教授は学習を始めたばかりの学部1年生に対して「建築を作るということは物質的にも知性的にも創造性を発揮することである」ということを伝えるための、一連の重要な講義を構築し始めました。題は「Ideas in Architecture」といい、その論点は建築のアイデアを新しいか古いかではなく「先例/発明」「革命」「時代精神」「技術」「結構」「自然」「光/眺め」「意図」という10の主題によって吟味することで展開していました。
歴史家は講義内容を時系列によって構成する傾向があり、「主題」による構成は稀です。しかしヘネガン教授は実践的な建築家であり、彼の興味はいかにして建築家が建物のデザインをする際に込めたアイデアを表現するかにありました。
先述の主題こそ変わりませんが、ヘネガン教授は彼の現代建築と歴史建築に関する研究の進歩に合わせて授業内容を毎年変化させてきました。学部1年生で彼の授業を受けた多くの藝大生達は、その講義内容の発展を聞くために数年後、あるいは大学院に入学してからも自主的に再びへネガン教授の授業に参加していたのです。
本展は、その講義の集大成としての展示であり、偉大な建築家や建築物がどのような秘められた思想理念に基づいて構築され、そしてどのように受け継がれてきたかを1つの視点から示すものです。そして藝大において建築を志す学生たちが学んできたアイデアの一端を、皆さまにご高覧いただけますと幸いです。
以下は、藤村龍至の感想です。