SHARE 多田正治アトリエ+ENDO SHOJIRO DESIGNによる、京都・右京区の既存家屋を改修したゲストハウス「オトヤド イクハ」
多田正治アトリエ+ENDO SHOJIRO DESIGNによる、京都・右京区の既存家屋を改修したゲストハウス「オトヤド イクハ」です。施設の公式サイトはこちら。
間口 2.7m、奥行き11.7m、うなぎの寝床型の敷地の多い京都の中でも極端な寸法の既存家屋のリノベーションである。もともとは1階で割烹料理店を営業し、2階と3階を住居として使っていた店舗 付き住宅を、ゲストハウスとして再生させた。
まず、この幅の狭さによる空間の窮屈さを解消するために、3 階を構造材を残してすべて取り払うことを考えた。これで客室となる2階の天井高さは2倍になり、上昇感のある空間が生み出される。続いて、細長い平面の長手方向を 2 分割するように、ベッドスペー スを一列に設け、残り半分を共用スペースとするシンプルなプランとした。
また構造補強として2層分の長さの筋交いを入れている。プランはこの斜材を避けるように成立しているが、プランを制約するのではなく、空間を引き締め、豊かにする要素となっている。1 階は割 烹料理屋のまま手を入れず、壁面を白く塗装、一部にフロント、トイレ、浴室を挿入するにとどめている。
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以下、建築家によるテキストです。
「オトヤド イクハ」
間口 2.7m、奥行き11.7m、うなぎの寝床型の敷地の多い京都の中でも極端な寸法の既存家屋のリノベーションである。もともとは1階で割烹料理店を営業し、2階と3階を住居として使っていた店舗 付き住宅を、ゲストハウスとして再生させた。
まず、この幅の狭さによる空間の窮屈さを解消するために、3 階を構造材を残してすべて取り払うことを考えた。これで客室となる2階の天井高さは2倍になり、上昇感のある空間が生み出される。続いて、細長い平面の長手方向を 2 分割するように、ベッドスペー スを一列に設け、残り半分を共用スペースとするシンプルなプランとした。
また構造補強として2層分の長さの筋交いを入れている。プランはこの斜材を避けるように成立しているが、プランを制約するのではなく、空間を引き締め、豊かにする要素となっている。1 階は割 烹料理屋のまま手を入れず、壁面を白く塗装、一部にフロント、トイレ、浴室を挿入するにとどめている。
3階の床を撤去すること以外はできるだけ解体工事を減らしコストの削減を図っている。また床や壁は既存の上に直接仕上げをするにとどめ、元3階の天井部分はそのままペンキで塗りつぶしている。 1 階は前述の通り最低限の工事しか行わないことで、全体の工事費用を安価におさえている。
「オトヤド イクハ」は音楽業界関係者の2人により共同運営される。各客室には有名なライブハウスの名が冠されている。アナログ盤のコレクションが並び、ギターやターンテーブル、ポスターやフライヤーで彩られる。 音楽好きはもちろんであるが、誰でもが楽しめるゲストハウスである。
■建築概要
オトヤド イクハ
ゲストハウス(簡易宿所)
京都市右京区
1F 30.38m2
2F 31.59m2
3F 0.00m2
合計 61.97m2
設計・監理:多田正治アトリエ+ENDO SHOJIRO DESIGN
施工:ふじさき組
構造アドバイス:門藤芳樹構造設計事務所
ロゴデザイン:呉山明賢
室内サイン・ピクトデザイン:遠藤正二郎、多田正治
造園:小笠原哲(みちくさ)
撮影:松村康平
設計期間:2016.08 – 2017.02
施工期間:2018.02 – 2018.10