SHARE 新森雄大+ジェームス・ジャミソン / NIIMORI JAMISON ARCHITECTSと米田匡志 / 米田建築アトリエによる、大阪のヘアサロン「qol」
新森雄大+ジェームス・ジャミソン / NIIMORI JAMISON ARCHITECTSと米田匡志 / 米田建築アトリエが設計した、大阪のヘアサロン「qol」です。
テナントビル一室の美容室への改修である。
敷地は大阪市内の閑静な文教地区。周辺には学校や教会があり、住宅地が広がる。前面の歩道は広く、日中でも多くの人々が往来する。既存のテナントはもともと32年に渡り印刷所が入っており、耐久性や摩耗性に対して強度のあるインテリアであった。
新しいものと古いものが混在するこのプロジェクトでは、それらを”切り替える”操作と”繋ぐ”操作を施した。言い換えるならば、ディテールにおいての「トメとアール」のようなものである。
エクステリアとインテリア、内部の更新部分と未更新部分を「トメとアール」の操作で個別に関係を作り、それらを再構築し、統合する。インテリアを改修することは、ただ単純に内部空間のナラティブを描くことではなく、既存建築を拡張し、その意味を再定義することであると私たちは考えている。
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以下、建築家によるテキストです。
テナントビル一室の美容室への改修である。
敷地は大阪市内の閑静な文教地区。周辺には学校や教会があり、住宅地が広がる。前面の歩道は広く、日中でも多くの人々が往来する。既存のテナントはもともと32年に渡り印刷所が入っており、耐久性や摩耗性に対して強度のあるインテリアであった。
新しいものと古いものが混在するこのプロジェクトでは、それらを”切り替える”操作と”繋ぐ”操作を施した。言い換えるならば、ディテールにおいての「トメとアール」のようなものである。
ファサードは、既存建築を特徴付けている煉瓦タイルを用い、既存のサッシ割りと合わせながらも、インテリアとの関係の中で新しい解釈を加えた。ファサード側に設置するベンチは、タイルを竪貼とすることで目線の流れを作り、内外の関係を調停する。カットスペース下部には既存の地下ピットがあり、更新されたテナント空間と、更新されない地下ピット空間との境界である点検蓋を透明アクリル板とし、視覚的な繋がりを意識した。カットスペース上部には、DLやコンセントを備えたボックスを既存天井から切り離した位置に設け、その隙間に照明を仕込むのと同時に、ボックスから地下ピットへと柱を落とし込んだ。受付の床は、既存緑色エポキシ樹脂塗膜を残し、その緑色エポキシと同色のアクリル板用いた什器をカウンター兼ディスプレイ棚として設置した。
エクステリアとインテリア、内部の更新部分と未更新部分を「トメとアール」の操作で個別に関係を作り、それらを再構築し、統合する。インテリアを改修することは、ただ単純に内部空間のナラティブを描くことではなく、既存建築を拡張し、その意味を再定義することであると私たちは考えている。
■建築概要
事務所名称:NIIMORI JAMISON ARCHITECTS + 米田建築アトリエ
物件名称:qol
所在地:大阪市天王寺区清水谷15-20
延床面積:54.0㎡
設計:新森雄大、米田匡志、James Jamison
施工:加登脇建設 + ディライトハウス
家具(スツール)デザイン:Masahiro Minami Design
竣工:2019年7月
写真:河田弘樹