SAKUMAESHIMA / 朔永吉+前嶋章太郎が設計した、東京・港区のオフィス「SONY CREATIVE CENTER TAMACHI OFFICE」です。
ソニーのデザイン部門のサテライトオフィスの内装計画。田町のオフィスビルのワンフロアという独立した場所に拠点を設けるにあたり、最新のデザインを扱うための機密性の高いセキュリティエリアを確保しながら、同時に展示会やイベント時に社外の人を招くことも意識した開放的でオープンなオフィスが求められた。また、プロジェクト単位での働き方や働く規模の変化など、多様な過ごし方が求められた。
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以下、建築家によるテキストです。
潜む前提条件の共有
ソニーのデザイン部門のサテライトオフィスの内装計画。田町のオフィスビルのワンフロアという独立した場所に拠点を設けるにあたり、最新のデザインを扱うための機密性の高いセキュリティエリアを確保しながら、同時に展示会やイベント時に社外の人を招くことも意識した開放的でオープンなオフィスが求められた。また、プロジェクト単位での働き方や働く規模の変化など、多様な過ごし方が求められた。
状態を生むための平面構成
機密性の高いセキュリティエリアと、イベントにも対応可能なオープンスペースという2つの要求の両立のため、4面採光のフロアに対し、各チームの個室のヴォリュームが点在するような計画とした。これにより、来客を招くパブリックなエリアから段階的にセキュリティを高めながら、ゆるやかに連続するような空間が出来上がった。フロア中央に設けた中庭のような広場からは、どこにいても外の光が感じられるように視線の抜けを意識しながら、各個室へ容易にアクセス出来るように動線を考慮したヴォリューム配置とした。
既存の状態を評価するバランス
計画地の新築貸ビルは、引渡しの状態がスケルトン天井、鋼製OAフロア現しであり、この既存の状態に寄り添いバランスを取る形で新しい要素を足し引きしてバランスをとっていった。丁寧に仕上げられた木毛セメント板のヴォリューム、グレー染色したフローリング、黒い建具のフレームなど、新しいマテリアルは既存のビルのトーンと調和していく。新旧のマテリアルをフラットな状態で扱うことで、既存の要素は脚光を浴び、新規要素は違和感なく馴染む状態とした。空間自体は、ニュートラルで素材そのものの色や質感を基調としてまとめることで、今後の変化を受け入れやすい土壌が生まれた。眺望を活かした開放感と居心地の良さを追求しつつ、必要最小限の要素で構成することを目指した。
■建築概要
SONY CREATIVE CENTER TAMACHI OFFICE
所在地:東京都港区
用途:オフィス内装設計
規模:750m2
竣工:2019年2月
写真:Daici Ano