【特別寄稿】浅子佳英による、トム・サックスについての論考「欲望と夢ーートム・サックスの3つの展覧会」
【特別寄稿】浅子佳英による、トム・サックスについての論考「欲望と夢ーートム・サックスの3つの展覧会」Tom Sachs , Indoctrination TV / Logjam, 2017 , © Tom Sachs, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

浅子佳英が執筆した、トム・サックスについての論考「欲望と夢ーートム・サックスの3つの展覧会」を掲載します。アーキテクチャーフォトでは、西澤徹夫による、3つのトム・サックス展のレビュー「Tom Sachs」も過去に掲載しています。またトム・サックスの回顧展がドイツの美術館「Schauwerk Sindelfingen」にて2019年9月~2020年4月の期間開催されます。


欲望と夢ーートム・サックスの3つの展覧会

text=浅子佳英

 
2019年春、トム・サックスの展覧会が都内3ヶ所で行われた。
最も規模の大きな東京オペラシティ アートギャラリーの展示は「ティーセレモニー」というタイトルのとおり茶道をテーマにしたもので、小山登美夫ギャラリーは、オペラシティで展示された茶室の模型や茶道の道具を並べた、いわばティーセレモニーの別会場のようなもの。最後のKOMAGOME1-14casだけは異色で、会場はティーセレモニーの展示施工を請け負った東京スタデオが運営するギャラリーであり、映像以外で唯一展示されているのはジャーニーマンという可動式の巨大道具箱であった。
 
すでに展覧会は終わっており、レビューも複数出ている。また、ぼくは建築家であり、美術の専門家でも茶道の専門家でもない。ただ、趣味が日曜大工なので、ここでは主にD.I.Y.に焦点を当て(展覧会からは少し離れて)トム・サックスについて書いてみようと思う。
 
 
トム・サックスといえば、シャネルのギロチンやプラダの便器といったブランドをテーマにした作品が有名で、近年は宇宙探査をテーマにした作品をいくつもつくっている。NIKEとコラボレーションしたスニーカーもナイキクラフト マーズヤードと名付けられているし、茶道というテーマも宇宙旅行の際に狭いスペースシャトルの内部でいかにして過ごすのかというところから来ているらしい。

【特別寄稿】浅子佳英による、トム・サックスについての論考「欲望と夢ーートム・サックスの3つの展覧会」Tom Sachs , Unite, 2001 , © Tom Sachs, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

ぼくがトム・サックスを知ったのは、ル・コルビュジェが設計したユニテ ダビタシオンの巨大模型を展示した「Natsy’s」という2002年に開かれた展覧会だ。会場にはユニテの模型の他に、ミース・ファン・デル・ローエのバルセロナチェアやマクドナルドの屋台やブランクーシやカルダーの模型や巨大サラウンドシステムが並び、間をラジコンカーが走るというハイアートとジャンクをごった煮にしたような展覧会で、写真で見ただけだが、その自由奔放なアプローチを見て、建築作品をこういうかたちで取り入れることができるのかと、一瞬でトム・サックスの虜になった。

水谷元 / atelierHUGEによる、福岡の「廊下の家」
水谷元 / atelierHUGEによる、福岡の「廊下の家」 photo©針金洋介

水谷元 / atelierHUGEが設計した、福岡の「廊下の家」です。

ノスタルジックな路地の街並みが特徴的な商店街の近くに位置する、分譲マンションの住戸のリノベーションの計画である。
どこまでも続くような行き止まりのない空間はつくれないだろうか、と日頃から考えている。「廊下の家」が位置する街区のように、路地があり、路地を抜けると大通りに出たり、広場や公園に行き着くような空間。心地いい場所や目的に合わせて過ごす場所を選択できる、小さな街区のような空間を目指した。主寝室と子供室を住戸の中心に配置。その周囲を「廊下」が廻る平面とし、既存躯体の形状に合わせたり、幅を調整しながら、必要な用途を「廊下」に配置した。

建築家によるテキストより

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