SHARE 水谷元 / atelierHUGEによる、福岡の「廊下の家」
水谷元 / atelierHUGEが設計した、福岡の「廊下の家」です。
ノスタルジックな路地の街並みが特徴的な商店街の近くに位置する、分譲マンションの住戸のリノベーションの計画である。
どこまでも続くような行き止まりのない空間はつくれないだろうか、と日頃から考えている。「廊下の家」が位置する街区のように、路地があり、路地を抜けると大通りに出たり、広場や公園に行き着くような空間。心地いい場所や目的に合わせて過ごす場所を選択できる、小さな街区のような空間を目指した。主寝室と子供室を住戸の中心に配置。その周囲を「廊下」が廻る平面とし、既存躯体の形状に合わせたり、幅を調整しながら、必要な用途を「廊下」に配置した。
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以下、建築家によるテキストです。
ノスタルジックな路地の街並みが特徴的な商店街の近くに位置する、分譲マンションの住戸のリノベーションの計画である。
どこまでも続くような行き止まりのない空間はつくれないだろうか、と日頃から考えている。「廊下の家」が位置する街区のように、路地があり、路地を抜けると大通りに出たり、広場や公園に行き着くような空間。心地いい場所や目的に合わせて過ごす場所を選択できる、小さな街区のような空間を目指した。主寝室と子供室を住戸の中心に配置。その周囲を「廊下」が廻る平面とし、既存躯体の形状に合わせたり、幅を調整しながら、必要な用途を「廊下」に配置した。主寝室と子供室には出入口とは別に使い方に応じて開閉できる窓を設けた。この窓を開けると住戸の外壁面の開口部から入る光や風が住戸全体にいき渡り、一体となる。オーナーのライフスタイルにあわせた空間を提供できるのがリノベーションのひとつの特徴であるが、本計画では汎用都市型共同住宅への一般的な間取りとは異なる「都市に住まう喜びを体現できるような形式」の提案という思いも込めている。
オーナーご家族からは、76㎡の住戸の大きさに対して「寝室は寝るためだけに使用するので、家族で最も長く過ごすLDKを広くしたい」というご要望を頂きました。また、家事の利便性も気にされていたので動線計画を重視しました。一般的なマンションの間取では、玄関からLDKに繋がる一本の廊下から、水回りや寝室が枝分かれ上に配置されています。それに対して本計画では、要望等を実現するために、中心に配置した主寝室と子供室を一本の「廊下」でぐるりと囲む構成を提案しています。
必要な機能と用途を幅員を変えて配置した「行き止まりのない廊下」と、引戸と窓を設けた主寝室と子供室により、住戸空間全体が一体となる、物理的な面積以上の広さを感じることのできる、おおらかな空間が出来上がりました。
■建築概要
所在地:福岡県福岡市
竣工年月日:2018年3月
施工面積:76.03㎡
工事種別:内装工事(リノベーション)
設計監理:水谷元/atelierHUGE
施工:細井健太郎/快適住まい工房
写真:針金洋介