SHARE 大月敏雄 / 東京大学+齋藤隆太郎 / DOG+佐藤晴男 / 佐藤設計による、岩手・陸前高田市「サービス付き高齢者向け住宅 ほっこり家」
大月敏雄 / 東京大学+齋藤隆太郎 / DOG+佐藤晴男 / 佐藤設計による、岩手・陸前高田市「サービス付き高齢者向け住宅 ほっこり家」です。
津波で被災した高齢者を主たる対象とした、陸前高田市の社会福祉法人「高寿会」が運営するサービス付き高齢者向け住宅の計画である。
高台敷地取得後、東京大学建築計画研究室がワークショップなどによって形作ったマスタープランを踏まえ、今回の実施設計が着手された。このように、本事業は、「民間・大学のコラボレーションを踏まえた住宅復興事業」である点が特徴である。
次に、廊下を北側に配し南側に居室群を並べることがほとんどの高齢者施設計画に対し、あえて、居室を北側に配して南側の廊下を共同の縁側としながら、多様な内外の「居場所」を形成している点で、モデル性の高い建築計画を実現している。
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以下、建築家によるテキストです。
津波で被災した高齢者を主たる対象とした、陸前高田市の社会福祉法人「高寿会」が運営するサービス付き高齢者向け住宅の計画である。
被災直後に同法人が取得した約2haの高台斜面地の活用法が求められ、ここに新たな福祉拠点を形成する第一歩として、被災地に不足するケア付きの高齢者向けの賃貸住宅が計画された。
「多様な居場所の創出」をテーマとし、そのために「南側縁側廊下」や「シードバンク」といった建築計画やランドスケープの計画手法を導入し、併せて「土地造成の最小化」を技術的テーマとし、単なる高齢者居住施設ではない20戸の新たな地域コミュニティの創出を図った。
高台敷地取得後、東京大学建築計画研究室がワークショップなどによって形作ったマスタープランを踏まえ、今回の実施設計が着手された。このように、本事業は、「民間・大学のコラボレーションを踏まえた住宅復興事業」である点が特徴である。
次に、廊下を北側に配し南側に居室群を並べることがほとんどの高齢者施設計画に対し、あえて、居室を北側に配して南側の廊下を共同の縁側としながら、多様な内外の「居場所」を形成している点で、モデル性の高い建築計画を実現している。
また、大規模造成と外構デザインへの無配慮を特徴とする通常の復興事業に対し、小規模造成と地山の植生復活を目指したシードバンクを通して、風景を取り戻す開発計画の在り方を示した。
■建築概要
建物名称:サービス付き高齢者向け住宅 ほっこり家
設計:大月敏雄/東京大学+齋藤隆太郎/DOG+佐藤晴男/佐藤設計
構造:佐藤晴男/佐藤設計
外構:稲田多喜夫/稲田ランドスケープデザイン事務所
主要用途:サービス付き高齢者向け住宅
所在:岩手県陸前高田市
敷地面積:9,674.37㎡
建築面積:1,137.65㎡
延床面積:982.90㎡
施工:長谷川建設
設計期間:2014年4月~2018年3月
施工期間:2018年4月~2019年2月
階数:1階
主体構造:木造
主要仕上:
(外部)屋根/ガルバリウム鋼板 t=0.35 縦はぜ葺き
壁/アクリル樹脂系薄塗材
軒天/シナ合板 t=5.5 キシラデコール2回塗り
(内部)天井/シナ合板 t=5.5 OSCL
壁/珪藻土、塗装下地壁紙
床/オーク複合フローリングt=15
写真:髙橋菜生