アプルデザインワークショップ / 大野秀敏+江口英樹+山本真也が設計した、富山・黒部市の「前沢ガーデン 白花亭 野外ステージ」です。
黒部市にある前沢ガーデンハウス(1982年竣工、槇総合計画事務所設計)にはイギリス庭園の風情を持つ広大な庭園があり、その一角に野外ステージ(1989年に竣工。当社設計)がある。ここが、今秋、サンクトペテルブルクと富山県で開催されるシアター・オリンピックスの一会場に充てられることになった。
私たちは、この国際的なイベントを開催するための関連施設整備に関わった。白花亭はそのひとつで、劇場のフォワイエともなる14メートル角の東屋である。この屋根(パーゴラ)は16本の立ち木(シラカシとスギ)が支えている (※)。
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以下、建築家によるテキストです。
黒部市にある前沢ガーデンハウス(1982年竣工、槇総合計画事務所設計)にはイギリス庭園の風情を持つ広大な庭園があり、その一角に野外ステージ(1989年に竣工。当社設計)がある。ここが、今秋、サンクトペテルブルクと富山県で開催されるシアター・オリンピックスの一会場に充てられることになった。
私たちは、この国際的なイベントを開催するための関連施設整備に関わった。白花亭はそのひとつで、劇場のフォワイエともなる14メートル角の東屋である。この屋根(パーゴラ)は16本の立ち木(シラカシとスギ)が支えている (※)。
学校の起源は一本の樹の下で語り始めた人の話を聞きに人が集まることだと述べたルイス・カーンを待つまでもなく樹下は古今東西人の集まる場所になる。生きている樹木の野生が場所に霊気を与えるからだろう。
実際白花亭に佇めば、古代から綿々と人類が引き継いできた「自然との共生」の本当の姿が体で感じられ、人々の表情は和やかになる。さらに、この東屋は神社のように樹木で覆われた崖の裾にあるので、外から見れば半分森に身を隠し自然の一部となり、内に入れば人を森の冷気と暗がりが神話的な世界に誘う。
※構造的に正確を期せば、屋根にかかる鉛直荷重および地震による水平荷重は25本の柱(立木16本と鉄骨9本)で支えている。ただし、現在の立木の太さでは(先端で直径約8センチ)北陸の最大積雪時の荷重を支えきれない。当初、今年限りの仮設施設として計画が始まったが、来年以降にも残したいということになり、イベント終了後、積雪の前に屋根の形状を更新する予定である。
■建築概要
作品名:前沢ガーデン 白花亭 野外ステージ
設計:アプルデザインワークショップ
所在地:富山県黒部市前沢
完成年月:2019年6月
建築主:YKK
用途:あずまや
建築設計:大野秀敏、江口英樹、山本真也、猪飼洋平(主担当者)、岩田慎一郎
構造設計:小西泰孝建築構造設計
設備設計:総合設備計画
施工:第一建設(建築)黒部エムテック(設備)黒部クリーンアンドグリーンサービス(外構)
構造・規模:鉄骨造地上1階
敷地面積:56,454.11㎡
延床面積:98.94㎡(白花亭)70.57㎡(楽屋)
撮影:北嶋俊治/アーキフォト