SHARE 田中亮平+許光範 / G ARCHITECTS STUDIOと山翠舎による、東京・大田区の「糀谷の和食屋さん」
田中亮平+許光範 / G ARCHITECTS STUDIOと山翠舎が設計した、東京・大田区の「糀谷の和食屋さん」です。
糀谷商店街に脇に建つ和食店。このお店の目玉料理は熟成魚を扱った料理だという。英訳すると「エイジングフィッシュ」となるとのこと。今回はそれをヒントに目玉料理になぞらえ、エイジングさせた銅を主役に設計することにした。
店内はカウンター席のみのシンプルな構成で、既存壁面を黒く塗りつぶした店内の突き当りに銅の壁を配置。銅の壁は屋根や樋の補修用として利用される0.035mm厚の銅箔テープを利用した。極端に薄いテープの継ぎ目を自然に見せる為、予め皺をつくったテープを張り巡らせた後に、調合した薬剤を吹きかけて緑青を発錆させている。
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以下、建築家によるテキストです。
糀谷商店街に脇に建つ和食店。このお店の目玉料理は熟成魚を扱った料理だという。英訳すると「エイジングフィッシュ」となるとのこと。今回はそれをヒントに目玉料理になぞらえ、エイジングさせた銅を主役に設計することにした。
店内はカウンター席のみのシンプルな構成で、既存壁面を黒く塗りつぶした店内の突き当りに銅の壁を配置。銅の壁は屋根や樋の補修用として利用される0.035mm厚の銅箔テープを利用した。極端に薄いテープの継ぎ目を自然に見せる為、予め皺をつくったテープを張り巡らせた後に、調合した薬剤を吹きかけて緑青を発錆させている。
実は銅葺屋根を自然に緑青色に変化させるのには十数年程の時間が必要だという。今回は化学的に緑青を発錆させているが、それは素材の状態を見極め、人為的に旨味を引き出す食材の熟成と似ているように思われた。
お店は蒲田の下町の雰囲気を存分に漂わせた猥雑な町並みの中に建っている。ガラスファサード越しの店内にはカウンターと熟成された銅の壁が妖しく浮かび上がっている。
■建築概要
設計:田中 亮平 + 許 光範 / G ARCHITECTS STUDIO
共同設計:山翠舎
プロジェクトマネージャー:山上浩明*
ディレクション:田中亮*
施工:小嶋悠介*
クライアント:個人
延床面積:33.01m2
竣工:2019年7月
構造:木造(既存)
写真:森田純典
*山翠舎