SHARE 中西正佳建築設計事務所が改修を手掛けた、京都市のシェアハウス「ひふみsteps」
中西正佳建築設計事務所が改修を手掛けた、京都市のシェアハウス「ひふみsteps」です。
京都・西院にて50年前に下宿付き住居として建てられ、10年前にシェアハウスとして運営され始めました。
この度、大規模な改装を行い、新たな一歩を踏み出しました。
今回の計画では、可能な限り間仕切りを取り払い、本体周りの増築部分を撤去することで民家のように部屋同士、内部と外部が連続的に緩やかにつながる空間を作りました。多様な活動があふれる広場のようなオープンエンドの場所です。住人の多様な活動を受け止め、なおかつ、程よい距離感を保ちながら暮らすことのできるよう、一体の空間でありつつ、それぞれの空間に特色をつくり出しています。そのため、目線の高さ、視線の抜け、雁行型のプラン、家具のしつらえ、回遊性等を工夫しました。
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以下、建築家によるテキストです。
京都・西院にて50年前に下宿付き住居として建てられ、10年前にシェアハウスとして運営され始めました。
この度、大規模な改装を行い、新たな一歩を踏み出しました。
今回の計画では、可能な限り間仕切りを取り払い、本体周りの増築部分を撤去することで民家のように部屋同士、内部と外部が連続的に緩やかにつながる空間を作りました。
多様な活動があふれる広場のようなオープンエンドの場所です。住人の多様な活動を受け止め、なおかつ、程よい距離感を保ちながら暮らすことのできるよう、一体の空間でありつつ、それぞれの空間に特色をつくり出しています。そのため、目線の高さ、視線の抜け、雁行型のプラン、家具のしつらえ、回遊性等を工夫しました。
ドマリビングで談笑や仕事、自転車の整備やイベントを行ったり、ゴロゴロリビングではゲームや映画、食事や横になってくつろいだり、テラスでは朝食や読書、大勢でのバーベキュー等、様々な過ごし方ができます。住宅やアパートでは享受することのできない豊かな共有空間を1階全面に作り出しています。
2階(ロフト付き)は個人のプライベートな空間です。余すことなく建物を利用できるように天井を取り除き、新しくロフトを設置しました。ロフトはベットを置いたり、趣味の部屋として使うことができます。
“「ひふみsteps」 の歴史“
築50年ほどになる建物は、元々1階が家族の住居、2階は大学生の下宿でした。
家の先代オーナーはかつてこの家の1階に住みながら、若い人に頑張ってほしいという一心で下宿屋を営んでいたそうです。その下宿から学生の姿が消えてしばらく経った2009年に、シェアハウス「ひふみ荘」として、新たに若者たちがここに住み始めました。
ひふみ荘では10年の間に、年齢も職業も、ときに国籍も異なる総勢35人が暮らしました。普段の生活はばらばらでも、時間が合えば一緒に夕食をつくり、誕生日や忘年会にはパーティを開く、事業者の介在しない自主運営型のシェアハウスでしたが、月1回の定期ミーティングを欠かさず開催して生活やお金のことを話し合い、DIYによる改装も行なっていました。
このひふみ荘は2019年の3月、ちょうど10年の節目をもっていったん解散。そして大規模な改装をして、新たなシェアハウスとして生まれ変わりました。下宿やひふみ荘の文化を受け継ぎ、歴史ある建物をより長く生かしながら、かつより居心地のよい空間とすることで賃料を増す狙いもあります。
「ひふみsteps」という名前は、1階の、手前から奥へとだんだんに上がりながら3つの共用空間が連続する様子を、「ひ・ふ・み」の3ステップになぞらえると同時に、ここに住まう人が人生のステップを上がっていってほしいという、先代の思いを引き継いだ現オーナーの願いも込められています。
次の10年で果たしてどのような人がここに住み、どのような時間が刻まれていくのでしょうか。
■建築概要
名称:ひふみsteps
所在地:京都府京都市右京区西院久田町123
用途:シェアハウス
規模:地上2階
内容:リノベーション(構造補強含む)
建築面積:67.03㎡
延床面積:132.36㎡
設計:中西正佳建築設計事務所
企画:北雄介、中西正佳建築設計事務所
運営:202カンパニー
構造:植森貞友
造園:グリーンスペース
カーテン:fabricscape
照明:猪股寛
施工:株式会社 清水工務店
竣工年:2019年8月
写真:改修後 母倉智樹、緋田昌重 改修前 三木由也