三井嶺建築設計事務所が設計した、東京・世田谷区の商業施設「柳小路南角」です。
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東京・二子玉川における、テナントビルの計画。百貨店裏の、路地の入り組んだエリアに建つ。
路地の雰囲気を取り込むべく、通り抜けの通路を建物中央に配し、階段を正面にも設けることで、2階を含めて行き止まりのない平面計画とした。
柱・梁は木造で、ラフ材を束ねた前例のない構造を試みた。集成材は用いていない。荒々しくも柔らかい木の質感と量感を活かすため、接合部に金物が一切露出しないよう工夫した。木の束が隙間なくがっちりと組み合さった「貫」のようなディテールが、安心感と居心地の良い雰囲気を醸し出す。
仕上げは、「新築に見えないように、街に馴染むように」というクライアントの要望を受け、時間を積み重ねてきたようなデザインとした。互いにフィードバックを重ねながら統合的にデザインするのではなく、段階を踏んで積み上げていく手法を採った。
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以下、建築家によるテキストです。
力強い木の構造と重奏する装飾的エレメント
東京・二子玉川における、テナントビルの計画。百貨店裏の、路地の入り組んだエリアに建つ。
路地の雰囲気を取り込むべく、通り抜けの通路を建物中央に配し、階段を正面にも設けることで、2階を含めて行き止まりのない平面計画とした。
柱・梁は木造で、ラフ材を束ねた前例のない構造を試みた。集成材は用いていない。荒々しくも柔らかい木の質感と量感を活かすため、接合部に金物が一切露出しないよう工夫した。木の束が隙間なくがっちりと組み合さった「貫」のようなディテールが、安心感と居心地の良い雰囲気を醸し出す。
仕上げは、「新築に見えないように、街に馴染むように」というクライアントの要望を受け、時間を積み重ねてきたようなデザインとした。互いにフィードバックを重ねながら統合的にデザインするのではなく、段階を踏んで積み上げていく手法を採った。
力強い木の構造をベースとし、次に壁、そしてサッシ、階段、手すり、照明、といった具合に、デザインを足し算して重ねている。ワンコンセプトの画一的なデザインでは時間を埋め込むことは不可能であるため、多重人格的なアプローチを試みた。時代を埋め込んだ”多重人格のデザイン”は、改修のしやすさを強く意識した結果でもある。
商業建築の仕上げは変わる運命にある。竣工時が頂点では長生きしない。未来の設計者に向けて、改修してもよい箇所を意匠的なメッセージとして残してある。時代を超えて使われ続け、遺るために。
(三井嶺/三井嶺建築設計事務所)
■建築概要
柳小路南角
英文表記:Yanagikoji South Corner
所在地:東京都世田谷区玉川3-13-7
企画・プロデュース:東神開発株式会社
クリエイティブディレクター:澤田充(株式会社ケイオス)
建築設計:三井嶺建築設計事務所
英文表記:Rei Mitsui Architects
設計協力者
構造:坂田涼太郎構造設計事務所
設備:知久設備計画研究所
サイン:竹本新(Arata Takemoto Design)
建築施工:渡辺富工務店
設計データ
用途地域地区:近隣商業地域
建ぺい率:制限 90%>実効 83.54%
容積率:制限 300%>実効 202.48%
構造と規模:木造一部RC造、鉄骨造
地上:3階
敷地面積:360.67㎡
建築面積:301.3㎡
床面積:756.47㎡
1F 292.76㎡
2F 247.13㎡
3F 216.58㎡
工期:2018年2月1日~2018年11月15日(躯体工事含む)
OPEN:2018年11月30日