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髙木貴間建築設計事務所による、北海道の既存農家を改修した「富良野の異形屋根」と論考「北海道民家のマニエリスム」
photo©Ikuya Sasaki

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住宅図面ありリノベーション北海道髙木貴間佐々木育弥
髙木貴間建築設計事務所による、北海道の既存農家を改修した「富良野の異形屋根」と論考「北海道民家のマニエリスム」 photo©Ikuya Sasaki

髙木貴間建築設計事務所による、北海道の既存農家を改修した「富良野の異形屋根」です。

1974年に建てられ、2度の増改築を経て現在の形となった住宅を二世帯にリノベーションする計画である。異形屋根と称するこのような住宅は、北海道では馴染み深いが美しいとも言い難く、道外では見たことがない。ともすればバナキュラーでアノニマスなデザインであるようにも思えた。

北海道近代民家史を簡単に振り返ると1950−60年代に三角屋根(※1)の様式が確立し、後を受けた異形屋根(※2)の時代は60年代から10年ほど続いた。異形屋根様式は様々な視点から分類可能であるが、様式変化の理由について調べると肝心の動機がわからない。

建築家によるテキストより

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髙木貴間建築設計事務所による、北海道の既存農家を改修した「富良野の異形屋根」と論考「北海道民家のマニエリスム」 photo©Ikuya Sasaki
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髙木貴間建築設計事務所による、北海道の既存農家を改修した「富良野の異形屋根」と論考「北海道民家のマニエリスム」 photo©Ikuya Sasaki
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髙木貴間建築設計事務所による、北海道の既存農家を改修した「富良野の異形屋根」と論考「北海道民家のマニエリスム」 image©髙木貴間建築設計事務所
髙木貴間建築設計事務所による、北海道の既存農家を改修した「富良野の異形屋根」と論考「北海道民家のマニエリスム」 image©髙木貴間建築設計事務所
髙木貴間建築設計事務所による、北海道の既存農家を改修した「富良野の異形屋根」と論考「北海道民家のマニエリスム」 image©髙木貴間建築設計事務所

以下、建築家によるテキストです。


富良野の異形屋根〜北海道民家のマニエリスム

1974年に建てられ、2度の増改築を経て現在の形となった住宅を二世帯にリノベーションする計画である。異形屋根と称するこのような住宅は、北海道では馴染み深いが美しいとも言い難く、道外では見たことがない。ともすればバナキュラーでアノニマスなデザインであるようにも思えた。

北海道近代民家史を簡単に振り返ると1950−60年代に三角屋根(※1)の様式が確立し、後を受けた異形屋根(※2)の時代は60年代から10年ほど続いた。異形屋根様式は様々な視点から分類可能であるが、様式変化の理由について調べると肝心の動機がわからない。

もっと俯瞰して人類史の視座で考えると、ルネサンスのような「自⽴した様式の概念」ではなく、「正当な様式からのズレとして定義される人類が歴史的に繰り返す概念」であるマニエリスムとすると整理がつく。近代でいうモダンとポストモダンの関係のように、三角屋根に対する異形屋根と位置づけることは、それほど乱暴な話ではないだろう。そのような北海道民家史における奇想とも言える異形屋根住宅を次の世代に繋いでいくことが計画のベースとなった。

改修は1階を親世帯、2階を子世帯とし、必要所室を満足させるためには増築の必要があった。また断熱改修と構造補強も要請されていたためスケルトンまで解体し、異形屋根形態をトレースして妻側に約1間建て増した。増築部分は親子世帯を緩やかに繋げると共に農業ハウス的な空間性質を持つ共有部として、テラス、風除室、アクセス空間などの機能を兼ね備える。農家に不可欠な土間でもあり、職と住を横断する空間ともなっている。そして半屋外空間とすることで増築コストを抑えた。増築部の構造は105×180@1820で柱が立ち、耐風圧を柱の長手方向で受けることで横架材をなくす。決定された構造デザインに(ある意味強引に)プランを重ね合わせることでテラスや開口にズレが生じ、アップグレードされたマニエリスティクな様相が建ち現れた。

※1三角屋根
コンクリートブロック構造でリビングが中心にあり廊下のない平面、屋根は木造で矩勾配の板金仕上げで雪を落としやすくしているのが特徴で、その背景には1953年に制定された「北海道防寒住宅建設等促進法(寒住法)」がある。法に従うことで同形状となった住宅は、敷地中央に配置され、均質に区画された分譲宅地に美しくリズミカルな街並みを形成した。

※2異形屋根
異形屋根の形状には幾つかのパターンがあり、屋根は板金で葺かれている。三角屋根から様式変化した背景には、寒住法の融資範囲が木造住宅へ広がり設計が自由になったこと、板金技術の向上で複雑な屋根形状を作ることが可能になったことがあるが、このデザインの推進力が三角屋根様式の技術改善であることを明確に見いだすことはできない。

三角屋根の事例

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髙木貴間建築設計事務所による、北海道の既存農家を改修した「富良野の異形屋根」と論考「北海道民家のマニエリスム」 photo©髙木貴間建築設計事務所
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異形屋根の事例

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髙木貴間建築設計事務所による、北海道の既存農家を改修した「富良野の異形屋根」と論考「北海道民家のマニエリスム」 photo©髙木貴間建築設計事務所
髙木貴間建築設計事務所による、北海道の既存農家を改修した「富良野の異形屋根」と論考「北海道民家のマニエリスム」 photo©髙木貴間建築設計事務所
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髙木貴間建築設計事務所による、北海道の既存農家を改修した「富良野の異形屋根」と論考「北海道民家のマニエリスム」 photo©髙木貴間建築設計事務所
■建築概要

Structure of the Building:2-Storey Wooden Structure
Site Area:-
Building Area:96.47m2
Total Floor Area:203.28m2
Construction:Daisuke Hasegawa (Daisuke Hasegawa & Partners)
Photo credit:Ikuya Sasaki

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