成瀬・猪熊建築設計事務所の内装設計による、福岡市の宿泊施設「ナインアワーズ中洲川端駅」です。施設の公式サイトはこちら。
今回のナインアワーズは、巨大な商業施設の地下階で、物販や飲食店と並んで配置されるという極めて特殊な立地です。買い物客の行き来と近接する、宿泊にとってはタフな環境にあって、私たちはこれを逆手に取り、唯一無二の魅力的な個性を生み出しました。
私たちはまず、大型施設特有のグリッド状の巨大な SRC の柱に対し、15度傾いた壁を多用し、奥へとシーンが展開する空間を作り出しました。これによって利用者は、シークエンスを楽しみながら、いつのまにか施設の共用通路から遠ざかり、宿泊にふさわしいプライベートな空間へと導かれます。
一番奥の宿泊室は、施設の巨大な躯体を露出させることで、カプセルと躯体が異なる角度で混在する、大施設の地下ならではの空間となっています。そしてここで再び、黒いガラスを通して、映像のように施設の共用部を見ることができます。
これは、フラットで人工的な商業施設の中に奥を作り出し、心地よい滞在を守りながら、都市を裏側からハックする、全く新しい宿泊施設です。
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■建築概要
ナインアワーズ中洲川端駅
施主:ビーロット
ディレクション・運営:ナインアワーズ
内装設計:成瀬・猪熊建築設計事務所/成瀬友梨、猪熊純、川畑友紀子
クリエイティブディレクション・プロダクトデザイン:デザインスタジオエス/柴田文江
サイン・グラフィックデザイン:廣村デザイン事務所/廣村正彰
ライティングデザイン:ModuleX/市川善幾、中原航
施工(内装):ジーク/太田勝、田頭享、飯野未絵
施工(カプセル):コトブキシーティング/江藤大蔵
所在地:福岡県福岡市博多区
用途:簡易宿所
面積:868.02㎡
竣工:2019年8月
写真:Nacása & Partners Inc.