SHARE 蘆田暢人建築設計事務所による、静岡・熱海市の「熱海の塔状住居」
蘆田暢人建築設計事務所が設計した、静岡・熱海市の「熱海の塔状住居」です。
熱海の急傾斜地に計画されたこの住宅では、海へと広がる雄大なビューを最大限に獲得するため、クライアントからはリビングルームを4階レベルに設け、各室を下層階に配すること求められた。海から吹く風が強く、風による振動を防ぐためにRC造を採用することとしたが、必要な室ヴォリュームと求められた高さを確保するには、塔状の形状と最上階に大きなヴォリュームが必要であった。急傾斜地の敷地でのRC造の施工を考えると、最上階がキャンチレバーとして張り出す建物の形状は無理がある。支保工を建てることができないためである。そこで、求められた各階のヴォリュームをずらしながら積んでいくことで、一層下の階が支保工の土台となり、求められたヴォリュームと高さを確保することができた。ずらすことで生まれた空隙には、テラスや将来増築が可能なスペースを設けた。
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以下、建築家によるテキストです。
地形と構法から形を生み出す
熱海は熱い海と書く。「熱海」と書いて、「あたみ」と読むこの地名の由来は、海中より温泉が凄まじく沸きあがり、海水がことごとく熱湯となったため、「あつうみが崎」と呼ばれ、それが変じて「あたみ」と称されるようになったと言われている。気候も比較的温暖である。温暖な気候は建築の計画にとっては好条件ではあるが、この場所はとにかく海風が強い。
熱海の急傾斜地に計画されたこの住宅では、海へと広がる雄大なビューを最大限に獲得するため、クライアントからはリビングルームを4階レベルに設け、各室を下層階に配すること求められた。海から吹く風が強く、風による振動を防ぐためにRC造を採用することとしたが、必要な室ヴォリュームと求められた高さを確保するには、塔状の形状と最上階に大きなヴォリュームが必要であった。急傾斜地の敷地でのRC造の施工を考えると、最上階がキャンチレバーとして張り出す建物の形状は無理がある。支保工を建てることができないためである。そこで、求められた各階のヴォリュームをずらしながら積んでいくことで、一層下の階が支保工の土台となり、求められたヴォリュームと高さを確保することができた。ずらすことで生まれた空隙には、テラスや将来増築が可能なスペースを設けた。
■建築概要
所在地:静岡県熱海市
敷地面積:282.42㎡
建築面積:46.54㎡
延床面積:139.38㎡
規模:地上4階
用途:住居
構造:鉄筋コンクリート造・耐力壁付ラーメン構造
設計・監理
建築:蘆田暢人建築設計事務所 担当:蘆田暢人
構造:村田龍馬設計所 担当:村田龍馬、小坂大和
施工:大同工業 担当:原慎一郎
写真:井上玄
プロデュース:アーキビルダーズ