青山周平 / B.L.U.E. Architecture Studioが設計した、中国・上海のカフェ「%Arabica上海 建国西路」です。お店の公式ページはこちら。
上海市の旧フランス租界に位置する建国西路に面した小さなカフェ。
建国西路は、全長2498m、幅10mの美しいプラタナス並木と豊かな歴史を持つ。
沿道の歴史的建築物と、街の適度なスケール感がつくりだす心地よい歩行体験が、建国西路を上海でも最も情緒あるエリアの一つとしている。
今回のプロジェクトでは、室内のプライベートな空間と、室外のパブリックな空間を1本の線ではっきりと区分するのではなく、街路と一体となり、開放的で、人と人との交流が自然と生まれるような、厚みをもった室内/室外、パブリック/プライベートの境界領域のあり方を考えた。
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以下、建築家によるテキストです。
上海市の旧フランス租界に位置する建国西路に面した小さなカフェ。
建国西路は、全長2498m、幅10mの美しいプラタナス並木と豊かな歴史を持つ。
沿道の歴史的建築物と、街の適度なスケール感がつくりだす心地よい歩行体験が、建国西路を上海でも最も情緒あるエリアの一つとしている。
今回のプロジェクトでは、室内のプライベートな空間と、室外のパブリックな空間を1本の線ではっきりと区分するのではなく、街路と一体となり、開放的で、人と人との交流が自然と生まれるような、厚みをもった室内/室外、パブリック/プライベートの境界領域のあり方を考えた。
既存の外壁ラインをU字形にセットバックさせ、もともと室内だった部分を室外化した。そこに、並木道と連続させた室外ベンチをつくり、都市の人の流れを取り込む。
透明な曲面ガラス壁、開け放すことのできる大きな電動ガラス引き戸、店内から街路樹へ連続する植栽、室内外連続させた床素材といった様々な仕掛けによって、室内と室外の曖昧な境界面をつくりだしている。
また、開け放された室外ベンチエリアの天井には、空調とエアカーテンを設置し、温熱環境をある程度コントロールすることで、夏季と冬季においても気持ちよく使用できる空間となっている。
50㎡と非常に小規模なリノベーションではあったが、建築と都市との理想的な境界面のあり方を模索する実験的な試みとなった。自らの室内賃貸面積の一部を室外化し、都市の街路空間と連続させる、このことが、街路の歩行体験を少しだけ豊かにしてくれる。そして、このような都市への小さな貢献の試みが増えれば増えていくほど、それら小さな点がネットワークをつくり、街全体の暮らしをより豊かなものにしてくれるだろう。
■建築概要
名称:%Arabica上海 建国西路
場所:上海 中国
プログラム:カフェ
施主:%Arabica
規模:地上1階
面積:50㎡
設計期間:2019-06~2019-08
施工期間:2019-08~2019-09(竣工)
撮影:Eiichi Kano