SHARE 坂茂の設計で建設が進められている、愛知・名古屋市の、木質免震構造オフィスビル「タマディック名古屋ビル」
坂茂の設計で建設が進められている、愛知・名古屋市の、木質免震構造オフィスビル「タマディック名古屋ビル」です。クライアントの公式サイトはこちら。
株式会社タマディック(本社:東京都新宿区/愛知県名古屋市、英文社名:TAMADIC Co.,Ltd.)は、東海エリアの事業拠点である愛知県名古屋市において、新社屋『タマディック名古屋ビル』の建設に着手いたします。当ビルは、プリツカー賞を受賞した建築家・坂 茂(ばん しげる)氏の設計によるCLT(直行集成材)を活用した地上8階・地下1階の木質免震構造オフィスビルになり、2021年11月に竣工予定です。
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坂 茂氏は、世界初の木造7階建てビル「タメディア新本社」(スイス・チューリッヒ市)、世界最大級の木造建築物 「スウォッチ・オメガ本社」(スイス・ビール市)など、いずれも現代の木造建築に代表される作品を手掛けた建築家です。それら作品は、鉄骨の代用品として木材を使用することはなく、 “木造でなければ”ならない必然性と、“木造だからこそ”実現できる意匠が用いられています。同氏の素材や材質を最大限に活かすアプローチが弊社のエンジニアリング業務と通じるものを感じ、その創意工夫と間近に接することで日常の業務にも斬新な着想を得て欲しいという願いから、新社屋の設計を依頼いたしました。
今回、弊社が取得した名古屋市中区の土地は防火地域にあたり、耐火建築物しか認められないエリアになります。本計画では、CLT板とコンクリートを組み合わせた構造を用いることで、木のあたたかな執務空間と、しなやかさと頑丈な構造性能を持つ建築を実現いたします※。
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構造材としてのCLT板活用
柱はCLT板を組み合わせてロの字型の断面をつくり、それを型枠にしてコンクリートを打設し、RCを内蔵したハイブリッド断面としています。常時は、内蔵のRC断面が建物を支え、地震時には木造(CLT)+RCの柱として水平力に抵抗し、火災時には耐火性能のあるRC構造が建物を支え崩壊を防ぎます。
この柱は、実大の試験体を製作して性能確認試験を行った結果、一般的な配筋のRC断面のみの場合と比べ、断面形状・CLT板厚により、最大耐力が約3.8~5倍、剛性が約1.3~1.6倍となり、非常に優れた構造性能があることが確認できております。
各階の床は、CLT板を型枠としてコンクリートを打設した(RC+CLT)構造としています。柱と同様に、常時はRC断面で床を支えますが、RC+CLTの合成構造とする事で、床の振動やたわみを抑え、強度、剛性、遮音性、耐火性の高い床構造となります。また、一般的なRC造で必要になる支保工が最小限となることで他工事も同時に行えるため、工程の短縮化も図れます。
※CLT板とは; Cross Laminated Timberの略称。ひき板(ラミナ)を並べた後、繊維方向が直交するように積層接着した集成材。本計画では国産の杉材を使用する。
■建築概要
名称:タマディック名古屋ビル
建築設計:坂茂建築設計
構造設計:陶器浩一+飯島建築事務所+高橋俊也建築構造研究所
設備設計:テーテンス事務所
所在地:愛知県名古屋市中区丸の内2丁目
用途:事務所
敷地面積:637.4 ㎡
建築面積:約510㎡
延床面積:約4,500㎡
構造:RC造、一部鉄骨造、木造(免震構造)
階数:地下1階、地上8階
地下階:駐車場
1階:エントランス・ショールーム・ものづくりラボ
2~3階:執務室
4階:会議室
5~6階:設計室
7階:研修室
8階:多目的ホール・フィンランド式サウナ
完成予定:2021年11月