SHARE 東日本旅客鉄道+JR東日本建築設計による、神奈川の横浜駅西口駅ビル「JR横浜タワー」
東日本旅客鉄道+JR東日本建築設計が設計した、神奈川の横浜駅西口駅ビル「JR横浜タワー」です。本プロジェクトにはその他にも様々な設計者・デザイナーが関わっておりそのクレジットは末尾に掲載します。
横浜駅西口駅ビルの建て替えプロジェクトである。同時に、横浜市により策定された横浜駅周辺のまちづくり計画「エキサイトよこはま22」のリーディングプロジェクトでもある。特定都市再生緊急整備地域に立地するため、都市再生特別措置法に基づき容積や高さの緩和などを受け、延床面積は約10万㎡・高さは約132m、商業施設・事務所・映画館からなる複合施設として計画された。
計画敷地は、駅前広場と線路に挟まれた非常に細長い形状であったが、決して大きくはない広場でも街の広がりが感じられるように、地上60mのスカイラインより上の高層部分は、駅前広場の正面を外した位置に配置した。同時に、商業施設として必要な床面積を確保するために、建物全幅の半分に相当する約13mもの大きなキャンチレバーを、ハットトラスによって線路上空に跳ね出す計画とした。
施設内の商業施設は十分に広いため単体でも成立するが、単にビル内に来館者を囲い込むのではなく、来館者が街全体を楽しみ、街全体を巡るための回遊拠点になることが望ましいと考えた。そのため、合計で十数か所の周辺施設との接続箇所を設け、街との動線的なつながりを高めることとした。中でもアトリウムは、当施設の主要エントランスであり、駅全体の中央コンコースの一部でもある。まさに、駅と街をつなぐ施設の顔となる場所であった。
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以下、建築家によるテキストです。
駅と街をつなぎ、人と街をつなぐ
横浜駅西口駅ビルの建て替えプロジェクトである。同時に、横浜市により策定された横浜駅周辺のまちづくり計画「エキサイトよこはま22」のリーディングプロジェクトでもある。特定都市再生緊急整備地域に立地するため、都市再生特別措置法に基づき容積や高さの緩和などを受け、延床面積は約10万㎡・高さは約132m、商業施設・事務所・映画館からなる複合施設として計画された。
計画敷地は、駅前広場と線路に挟まれた非常に細長い形状であったが、決して大きくはない広場でも街の広がりが感じられるように、地上60mのスカイラインより上の高層部分は、駅前広場の正面を外した位置に配置した。同時に、商業施設として必要な床面積を確保するために、建物全幅の半分に相当する約13mもの大きなキャンチレバーを、ハットトラスによって線路上空に跳ね出す計画とした。
施設内の商業施設は十分に広いため単体でも成立するが、単にビル内に来館者を囲い込むのではなく、来館者が街全体を楽しみ、街全体を巡るための回遊拠点になることが望ましいと考えた。そのため、合計で十数か所の周辺施設との接続箇所を設け、街との動線的なつながりを高めることとした。中でもアトリウムは、当施設の主要エントランスであり、駅全体の中央コンコースの一部でもある。まさに、駅と街をつなぐ施設の顔となる場所であった。
そこで、アトリウムについては、街に人を送り込むと同時に駅に人を呼び込み、双方に期待感を高めるコミュニケーションメディアとしてデザインすることとした。さらに、この空間が横浜の玄関口となるためには、横浜らしさが表現されることが重要と思われた。横浜はいわゆる「開港五港」の一つであり、多くの人が作り上げてきた横浜の歴史を未来につなぐ上で、欠かせないキーワードは「みなとまち」。
これらの課題をトータルに解決するアイデアとして、天然木で造られた曲面天井が東西両面のガラスカーテンウォールの内側で空に向かってせりあがり、大きな舟のような量塊が宙に浮かぶ、あかるく開放的な空間デザインが導きだされた。
施設が街の玄関口になるとして、施設が単なる通過動線に終わってはならない。駅ビルに行っただけで街の特徴をちょっとずつ体感できる、いわば「街のインデックス」のような役割を駅ビルが担えば、街の魅力がより多くの人に伝わり、街とともに駅ビルも発展できるのではないか?
駅ビルを街の一部として体験してもらえるよう、人々が自ら歩いて魅力を探し、見知らぬ価値に出会える場所にしたい。そのためには施設内がウォーカブルであって、しかもウォーカブルであることがまわりから見えることをこころがけた。そして「たまたま通りがかっただけ」という人も無意識にくつろぎたくなる、公園のようなスペースも各所に設えた。
具体的には、先述のアトリウムと、線路側3~6階の回遊デッキ、そして12階屋上広場。これらは市民に開放され、それぞれに異なる距離から街を体感できる場所となる。来館者は、ここから思い思いに街を眺め、自分と街との関係を認識する。それによって、駅が人と街をつなぐことができるのではないかと考えたのである。
■建築概要
建築名称:JR横浜タワー
代表設計者:東日本旅客鉄道 JR東日本建築設計
所在地:神奈川県横浜市西区南幸1丁目1番1号
用途:商業施設、事務所、映画館
建築主:東日本旅客鉄道/ルミネ/横浜ステーシヨンビル/ティ・ジョイ
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設計
東日本旅客鉄道 東京工事事務所
東日本旅客鉄道 東京電気システム開発工事事務所
JR東日本建築設計
デザインアドバイザー:飯田善彦
土木:JR東日本コンサルタンツ
外装エンジニアリング・環境シミュレーション:ARUP
ランドスケープ/アトリウムファニチャーデザイン:stgk/stgk・cotona・youbi
外装ライトアップ:松下進建築・照明設計室
NEWoMan環境デザイン:ATERIER TSUYOSHI TANE ARCHITECTS
NEWoMan環境設計:乃村工藝社
NEWoMan設備:森村設計
NEWoMan照明設計:岡安泉照明設計事務所
NEWoManサインデザイン:10inc
NEWoMan植栽デザイン・施工:DAISHIZEN
NEWoManフードホールデザイン:ミュープランニング
CIAL環境デザイン/環境設計:JR東日本建築設計
T・JOY環境デザイン:R&K インターナショナル
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施工
建築:竹中工務店
電気:日本電設・関電工・リーテック 横浜駅西口開発ビル(仮称)新築電気設備工事共同企業体
NEWoMan建築:乃村工藝社
NEWoMan電気:日本電設工業
NEWoMan機械:大成温調
NEWoMan衛生:日本ファシリオ
CIAL建築:竹中工務店
CIAL機械:高砂熱学工業
CIAL衛生:サンテック
CIAL電気:日本電設工業
T・JOY建築:東映建工
T・JOY機械:不二熱学工業
T・JOY衛生:西原衛生工業所
T・JOY電気:関電工
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敷地面積:8,687.45㎡
建築面積:7,488.07㎡
延床面積:98,491.53㎡
構造・規模:S造 一部SRC造 地下3階、地上26階
竣工:2020年3月
写真:ミヤガワ東京
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
---|---|---|
外装・床 | 再生木ウッドデッキ表面 | |
外装・壁 | 外装PC表面 | |
内装・床 | オフィス共用部床 | 不燃ボード リアルパネルブラックチークラスティック(ニッシンイクス) |
内装・壁 | オフィス共用部壁 | レンガタイル フェイブ RE[還元焼成・セミ面](LIXIL) |
内装・天井 | オフィス共用部天井 | 不燃ボード リアルパネルブラックチークラスティック(ニッシンイクス) |
内装・天井 | アトリウム不燃木天井 |
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