KLCが設計した、中国・北京の、既存倉庫を改修した飲食店「Echo House」です。施主の自然との調和を求めるコンセプトに応え、一筆書き動線を既存部分に絡ませ多様な空間体験で面積を大きく感じさせると共に、“外部と内部の解像度が往復的に何度も更新される構成”をつくりだすことを意図しました。
中国北京市郊外、60年代北京の紡績時代を支えたレンガ造倉庫を改修したVegan飲食店。
施主は自然との調和を求めるコンセプトで活動しており、設計においても積極的に外在要素を意識することを求めた。我々は「並存(Coexist)」という概念の下、8つの具体的な設計ルールを設け、施主の要望を受け止めることにした。それらのルールは全て両様的な意味を孕む設えとし、立ち現れる空間や物の細部に僅かな違和感を付与させ、概念的な歪みや不旋律が生み出す冗長的空間体験を模索した。
用途の配置を考える上で、外部との関係において最適箇所を導いた。
集客効果も期待されたラボや販売スペースは、路面と内部からも視認性がよい1階北側。陽当りや土壌管理を重要視する温室は1階南側の陽当りが良い場所。ギャラリーは作品を外部からも臨めるように路面に向けると共にガラス張り。一方で作品保全に配慮して直射日光の当たらない2階北面とした。またプライベートな集いであるワークショップスペースは人目に付きにくい2階南西に配置とした。
用途の配置が決まるとそれらが一体的な繋がりを持つよう一筆書きの動線を貫入させて既存レンガ倉庫に絡ませた。商業施設では一般的に動線は最短距離でコンパクトに納めることで商業床面積を最大限に確保するが、この建物では出来るだけ動線距離は引き伸ばし、多様な用途間を回遊させ、小規模な店舗面積を多様な空間体験で最大限に大きく感じさせる提案をした。
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以下、建築家によるテキストです。
中国北京市郊外、60年代北京の紡績時代を支えたレンガ造倉庫を改修したVegan飲食店。
施主は自然との調和を求めるコンセプトで活動しており、設計においても積極的に外在要素を意識することを求めた。 我々は「並存(Coexist)」という概念の下、8つの具体的な設計ルールを設け、施主の要望を受け止めることにした。それらのルールは全て両様的な意味を孕む設えとし、立ち現れる空間や物の細部に僅かな違和感を付与させ、概念的な歪みや不旋律が生み出す冗長的空間体験を模索した。
並存 Coexist
1. 外部から動線を視覚的に認知でき、その様は立体的とすること。
2. 内部から外部を視認でき、その視点は変化すること。
3. 低密度で延伸的な動線とし、それらは空間化されていること。
4. 間仕切りや扉を設けない一続きの立体空間とし、各場所の用途は外部との関係において決定すること。
5. 環境計画は先ず自然の斉一性に基づいたデザインとし、機械設備は補助的な役割とすること。
6. 構造は力の流れを認識できる単純な形式とするが、装飾性を併せ力学的緊張感だけを強調しないこと。
7. 素材は現地に於ける施工技術に対して現実的で、過去の時間を未来に繋ぐ事ができる選択とする。
8. 什器は建築的に創作され、プロダクトと建築の間を跨ぐものとする。
用途の配置を考える上で、外部との関係において最適箇所を導いた。
集客効果も期待されたラボや販売スペースは、路面と内部からも視認性がよい1階北側。陽当りや土壌管理を重要視する温室は1階南側の陽当りが良い場所。ギャラリーは作品を外部からも臨めるように路面に向けると共にガラス張り。一方で作品保全に配慮して直射日光の当たらない2階北面とした。またプライベートな集いであるワークショップスペースは人目に付きにくい2階南西に配置とした。
用途の配置が決まるとそれらが一体的な繋がりを持つよう一筆書きの動線を貫入させて既存レンガ倉庫に絡ませた。商業施設では一般的に動線は最短距離でコンパクトに納めることで商業床面積を最大限に確保するが、この建物では出来るだけ動線距離は引き伸ばし、多様な用途間を回遊させ、小規模な店舗面積を多様な空間体験で最大限に大きく感じさせる提案をした。
外部から突かれた動線は進むにつれて内部化され外的要素は融解されるが、進度が進むにつれて外部と内部の解像度が往復的に何度も更新される構成となっている。屋上まで登り切り、テラスに出ると北京市内の高層ビルが遠方に望め、ここで初めて都市が視覚化・相対化され外的要素の解像度は最後外部に居ながら更新される構成となっている。
東京ー北京
設計、現場監理打合せは全てオンラインで行った。普段であれば日本から現場へ数回行くが、新型コロナ蔓延による渡航制限もあり、結局竣工まで一度も現場へ行くことは叶わなかった。様々な要因で工事が遅延したが、施主や施工会社の粘り強い努力、また幾つかのデジタルコミュニケーションツールを活かし常に状況を確認することで無事工事を終えオープンを向かえることができた。
■建築概要
プロジェクト名:Echo House
所在地:北京市朝陽区半載塔路53 郎園 StationA1-8C
用途:飲食, ギャラリー, ワークショップスペース
設計:KLC
デザインチーム:神山義浩, Colin.L, Lauren.L
施工:A+A workshop
床面積:257.1 m²
竣工年月:2020年10月
撮影:Yuming Song (Beijing Ruijing Photography)
建材情報種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) | 外装・壁 | 外壁 | 赤レンガ [既存再利用]
Low-E ガラス 6+12A+6 [クリア]
アルミパネル 3mm+フッ素粉体塗装
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内装・床 | 床 | 土間コンクリートコテ仕上げ+耐摩耗性塗料
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内装・壁 | 壁 | 赤レンガ [既存再利用]
EP塗装
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内装・天井 | 天井 | デッキプレート+錆止め塗装
不燃光膜天井
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内装・照明 | 照明器具 | 造作照明
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内装・造作家具 | テーブル | 現場打ちコンクリート
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内装・その他 | 鉄部 | ウレタン樹脂塗装 [半艶]
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