三上建築事務所が設計した、茨城の「日立市立日高小学校」です。既存校舎を使いながらの新校舎建設という課題に、敷地状況を考慮し慣習的な細長い建物ではない矩形平面校舎を考案、中庭で通風採光問題も解決し校内移動距離短縮等のメリットも生む計画です。
日立市は、かなり以前から積極的に学校施設の改善・充実に力を入れてきた。
設計者選定もすべてプロポーザルで行われ、良質な学校整備が図られている。
既存校舎は敷地南側に配置され、運動場は北側にある。その既存校舎での学校運営を維持しながら新校舎を建設することが基本課題であった。しかも、既存の体育館とプールは継続使用し、北側隣地の住民への周到な配慮も求められた。
これらの与条件に応えるために、既存校舎と干渉しない運動場部分に、矩形の平面形をもつ校舎を南北軸上に配置し、既存体育館と近接させた。校舎の周囲は、駐車場と将来の体育館の建設予定地としての広場として、周辺住宅地との干渉帯とした。
日本の学校校舎は日照を重視する慣習から東西に細長い。対して矩形の校舎は建物が占有する地面が小さい。更には校内の移動距離が短く、外壁面積が小さいなどの利点が生まれる。その代わりに、全ての教室が南面するわけではなくなり、通風や自然採光の確保に工夫が必要となる。ふたつの中庭を設けてその解決を図り、コンパクトな校舎が実現した。
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以下、建築家によるテキストです。
Cubic School Ⅳ
日立市は、かなり以前から積極的に学校施設の改善・充実に力を入れてきた。
設計者選定もすべてプロポーザルで行われ、良質な学校整備が図られている。
既存校舎は敷地南側に配置され、運動場は北側にある。その既存校舎での学校運営を維持しながら新校舎を建設することが基本課題であった。しかも、既存の体育館とプールは継続使用し、北側隣地の住民への周到な配慮も求められた。
これらの与条件に応えるために、既存校舎と干渉しない運動場部分に、矩形の平面形をもつ校舎を南北軸上に配置し、既存体育館と近接させた。校舎の周囲は、駐車場と将来の体育館の建設予定地としての広場として、周辺住宅地との干渉帯とした。
日本の学校校舎は日照を重視する慣習から東西に細長い。対して矩形の校舎は建物が占有する地面が小さい。更には校内の移動距離が短く、外壁面積が小さいなどの利点が生まれる。その代わりに、全ての教室が南面するわけではなくなり、通風や自然採光の確保に工夫が必要となる。ふたつの中庭を設けてその解決を図り、コンパクトな校舎が実現した。
構造は壁と床版で構成される。壁は扁平な柱を包含する耐震壁であり、床版は扁平な梁を包含するヴォイドスラブである。外周面と直行する壁はあたかも一枚の壁体として自立し、中庭まで視線を透過する。作意の表出を最小限に留め、構造体が建築の骨格を形作っている。
■建築概要
名称:日立市立日高小学校
所在地:茨城県日立市
主要用途:小学校
建築主:日立市
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設計
三上建築事務所
総括:益子一彦/三上建築事務所
建築:三上建築事務所 担当/冨田武俊 眞﨑学 泉明迪 山田慎
構造:金箱構造設計事務所 担当/金箱温春
電気設備:三上建築事務所 担当/松本敬一郎
機械設備:NASファシリティーデザイン室 担当/那須保
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監理
建築:三上建築事務所 担当/冨田武俊 眞﨑学
構造:三上建築事務所 担当/倉持勝己 川又祐介
電気設備:三上建築事務所 担当/松本敬一郎
機械設備:NASファシリティーデザイン室 担当/那須保
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施工
建築:りんかい日産・三秀・久下谷JV
電気設備:イガラシ・戸祭・日立綜合防災JV
機械設備:藤・日立管工・三ツ和JV
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敷地面積:20,609.80㎡
建築面積:2,519.20㎡
延床面積:6,176.74㎡
階数:地上3階
構造:RC造一部S造
竣工年月:2020年12月
設計期間:2018年4月-2019年3月
工事期間:2019年9月-2020年12月
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写真:新写真工房 堀内広治