北野慶 / KKAAと八木貴伸 / YTAAが設計した、奈良市の「学園前の家」です。
建て込むエリアの高低差のある敷地に計画されました。建築家は、自然を身近に感じたいとの要望に、分棟形式で光・風・緑を感受できる“余白”を差し込む構成を考案しました。また、接道する棟を高床とし周囲との緩やかな繋がりを作る事も意図されました。
建主は共働きの若い夫婦である。
コンパクトな暮らしと、忙しい日々の中でも自然を身近に感じながら生活することを望んでいた。
敷地は谷地に属し、上流の大きなため池からの地下水が敷地直下を流れている。周囲には住宅のほか、賃貸マンションや空き家が幅4mの道路境界いっぱいまで建ち並んでいる。人通りや車通りは少なく静かな場所ではあるが、少し生活感が足りず、閉塞感を感じる敷地環境であった。
そこで、建物をふたつに分棟し、余白を創り出すことにした。
家の中のどこにいてもこの余白に対して開くことで、光や風・緑を身近に感じることができる。
また、この敷地にはもともと道路側から敷地奥にかけて1m程の高低差があった。
造成費用を抑えることと地下水からの湿気対策のため、道路側の棟は周囲との建ち並びを揃えた高床式とし、その下を駐車場として利用する計画とした。高低差を利用し最低限のプライバシーを確保しながらも、床下から光や風が抜け、敷地の緑を周囲と共有できる建ち方となった。
以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
建主は共働きの若い夫婦である。
コンパクトな暮らしと、忙しい日々の中でも自然を身近に感じながら生活することを望んでいた。
敷地は谷地に属し、上流の大きなため池からの地下水が敷地直下を流れている。周囲には住宅のほか、賃貸マンションや空き家が幅4mの道路境界いっぱいまで建ち並んでいる。人通りや車通りは少なく静かな場所ではあるが、少し生活感が足りず、閉塞感を感じる敷地環境であった。
そこで、建物をふたつに分棟し、余白を創り出すことにした。
家の中のどこにいてもこの余白に対して開くことで、光や風・緑を身近に感じることができる。
また、この敷地にはもともと道路側から敷地奥にかけて1m程の高低差があった。
造成費用を抑えることと地下水からの湿気対策のため、道路側の棟は周囲との建ち並びを揃えた高床式とし、その下を駐車場として利用する計画とした。高低差を利用し最低限のプライバシーを確保しながらも、床下から光や風が抜け、敷地の緑を周囲と共有できる建ち方となった。
余白に架かるブリッジは2棟を施工後に設置。外周部を簡易的に囲うことで、外部とも内部ともいえる存在を目指した。
壁の開閉により、空や風が抜ける外部空間、渡り廊下としての内部空間、自然やデッキと繋がる縁側のような半屋外空間など、さまざまな場所としてこの2棟を繋いでいる。日々の生活の営みの中で余白との境界は霞んでいき、やがて家族の生活はこの余白を介して街とも繋がり始めるだろう。
この2棟の間に余白が差し込まれることで生活と街が間接的に結びつき、この静かな住宅地に開かれた風景が増えるきっかけになることを期待している。
■建築概要
題名:学園前の家
所在地:奈良県奈良市
主要用途:専用住宅
建築設計:KKAA / 北野慶、YTAA / 八木貴伸
構造設計:うきょう建築構造事務所 / 廣田右喬
造園:植物事務所COCA-Z / 古鍛冶達也
施工:池正
構造:木造在来工法
敷地面積:160.83m2
建築面積:79.22m2
延床面積:91.02m2
竣工年月日:2020年10月
撮影:山内紀人写真事務所 / 山内紀人