SHARE Atelier Tsuyoshi Tane Architectsによる、イタリアのパヴィリオン「Sound of Marble」。採石で著名な“カッラーラ”の石を用いた建築。素材が持つ“内包力”と“記憶”に焦点をあて、伝統的技法で切り出した円弧状の石を組合せ領域を形成。視覚でなく“音”を通して地球の生命を感じる空間を作る
Atelier Tsuyoshi Tane Architectsが設計した、イタリアのパヴィリオン「Sound of Marble」です。
採石で著名な“カッラーラ”の石を用いた建築です。建築家は、素材が持つ“内包力”と“記憶”に焦点をあて、伝統的技法で切り出した円弧状の石を組合せ領域を形成しました。そして、視覚でなく“音”を通して地球の生命を感じる空間を作る事を意図しました。
Sound of Marbleは,2019年のイタリア・ベローナで行われる石材見本市Marmomacにて、イタリアの石材メーカーであるピバマルミ社から発表されました。その後、約2年近くを掛けて常設に適した場所を探し求めて、なだらかな丘陵地が続く北イタリアのカンティーナ・カ・デル・ボスコの公園内に恒久的に設置されることが決まりました。
古代から素材として使われ始めた石は、場所の標べとして、または環状列石、ストーンサークル、祠や磐座など、時に石を重力に反して立てたりし、古代人は祈りや信仰の場として、目には見えないものを信じて、自然の大地に記憶してきました。
素材となるカラカッタ石はイタリア・カッラーラのアプアン山脈にある採石場から産出されたもので、極度の熱と圧力により生成された色彩と斑紋があります。外見的な石の重く硬い強固さよりも、柔らかく大らかな内包力に注目し、数千万年前に生成された石の記憶に耳を傾けたいと考えたのです。
一人または複数の人々が、石による5つの円弧がひとつに連なり、外部と隔てられることで、光や大気の変化が全体へ柔らかに広がり、時間に動きを与えます。各円弧の壁面の端部は次の円弧と連なり、中央の大きな円の円周上に配置され、その内側はそれぞれの位置で互いに見え隠れし、石の壁により音が反響することで、ひとりまたは複数人の声や音が共鳴し合います。
以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
Sound of Marbleは,2019年のイタリア・ベローナで行われる石材見本市Marmomacにて、イタリアの石材メーカーであるピバマルミ社から発表されました。その後、約2年近くを掛けて常設に適した場所を探し求めて、なだらかな丘陵地が続く北イタリアのカンティーナ・カ・デル・ボスコの公園内に恒久的に設置されることが決まりました。
古代から素材として使われ始めた石は、場所の標べとして、または環状列石、ストーンサークル、祠や磐座など、時に石を重力に反して立てたりし、古代人は祈りや信仰の場として、目には見えないものを信じて、自然の大地に記憶してきました。
素材となるカラカッタ石はイタリア・カッラーラのアプアン山脈にある採石場から産出されたもので、極度の熱と圧力により生成された色彩と斑紋があります。外見的な石の重く硬い強固さよりも、柔らかく大らかな内包力に注目し、数千万年前に生成された石の記憶に耳を傾けたいと考えたのです。
石材はまず、採石場で切り出されます。加工可能な最大寸法は、高さ3m・幅1m。最新技術では3Dによって自由に掘る・削るが可能ですが、古くからある石材を薄く切断するワイヤーカッターという技法を採用しました。それは単に鉄製のワイヤーが鋸のようにして石を切断する技術です。その機械を応用することで円錐曲面の加工が可能であれば、材料を最小限に抑えながら石材の使用を最大化することができると考えました。
同時に石材の最大寸法に対し、厚みを上部と端部は加工最小寸法の40mm、下部は最小40mm~最大200mmへと段階的に厚みを増し、それらを5枚繋いで円弧状に連結させました。また円弧はそれぞれで自立し、隣の円弧と連結しています。
パヴィリオンは、不特定多数の人が来訪する自然豊かな公園敷地内に設置されています。
一人または複数の人々が、石による5つの円弧がひとつに連なり、外部と隔てられることで、光や大気の変化が全体へ柔らかに広がり、時間に動きを与えます。各円弧の壁面の端部は次の円弧と連なり、中央の大きな円の円周上に配置され、その内側はそれぞれの位置で互いに見え隠れし、石の壁により音が反響することで、ひとりまたは複数人の声や音が共鳴し合います。
また、視覚的に外界が遮られていながらも、鳥の鳴き声や風にそよぐ木々の葉や梢の多様な周波数など、この世界が音で満たされていること、そして自然が地球上の生命と出会う機会を与えてくれます。
■建築概要
作品名:Sound of Marble
所在:cantina Ca Del Bosco, Franciacorta, Italy
主用途:パビリオン
設計:Atelier Tsuyoshi Tane Architects
担当/田根剛、Matteo Lunanova
施工:Pibamarmi
テクニカルディレクション:LUFTZUG EUROPE
サイトコーディネーター:Falconi Architettura
構造:石造
杭・基礎:ベタ基礎
敷地面積:100m2
建築面積:32.83m2
延床面積:32.83m2
設計期間:2019年1月~2019年5月
施工期間:2021年4月~2021年10月
竣工:2022年5月
写真:Davide Galli
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
---|---|---|
外装・壁 | 外壁 | 大理石 [Carrara marble](Pibamarmi) |
※企業様による建材情報についてのご意見や「PR」のご相談はこちらから
※この情報は弊サイトや設計者が建材の性能等を保証するものではありません
Two years and a half after the collaboration with Italian stone maker Pibamarmi, the pavilion “Sound of Marble” is placed in the park of Cantina Ca’ del Bosco. The pavilion fits into the context of the park establishing a dialogue with nature and the artworks by artists such as Igor Mitoraj and Arnaldo Pomodoro.
The concept of Sound of Marble is based on the interaction between marble, sound and light as well as investigating the ancestral qualities of the stone as material in relation to innovative challenges to achive the thinnest stones walls that are curved and self-supported all together.
Listening to the sound of stone over millions years, listening to the sounds of nature, of birds and winds reflected on the marble. The rain changes the appearance of stone grains giving us a chance to encounter the living life of our planet.
Sound of Marble
Status: Completed
Location: cantina Ca del Bosco, Franciacorta, Italy
Program: Installation
Architect: Atelier Tsuyoshi Tane Architects
Concept: Tsuyoshi Tane
Project Architect: Matteo Lunanova
Technical Direction: LUFTZUG EUROPE
Construction: PIBAMARMI
Area: 100 m²
Date: May 2022