合屋統太+ヤン=ヤコブ・シュレーダー / GOYA SCHROEDER & associatesと河内さつきが設計した、福岡の「久留米の庭と家」です。
市街地の住宅が建て込む敷地に計画されました。建築家は、開放と遮蔽を併せ持ち内外が関係を紡ぐ“住宅の原型”を求め、民家等を参照して庭やバルコニーが内部と一体化する生活空間を構築しました。また、シルバーの外装材で周囲の工業的風景に溶け込ませる事も意図されました。
久留米市街地に建つ、夫婦と子供一人のための住まい。
200㎡未満の敷地で隣屋からの視線を遮りつつも開放的な内と外の関係を持つ住宅の原型を試みた。
室として庭を捉え、視線や光を整える町家の形式に倣い、それが立面となって街並を作る。また内か外か曖昧な民家の土間庭に準えたバルコニーや庭を、外での食事、庭仕事などの生活空間として居間と一体化した。
9尺の柱割を9つ配した正方形(nine-squaregrid)の内と、東側に2スパン延長させた外により平面が構成される。建主家族が生まれ育った地方の民家の間取りに倣い、室内を来客用の公的な表と私的な裏に仕切った。
来客は玄関広間より階段を上がり、2階の居間からバルコニーへ、螺旋状の動きで導かれる。階段では段板を隠して吹抜けをつくらないことで昇降の動きを一旦絶ち、大屋根の平屋が2階に建つ感覚を強調した。筑後川の洪水を考慮して2階に主要な生活空間が持ち上げられているものの、庭とバルコニーが居間と連続して、内と外は平屋のように親密になる。庭のハナナシの木は居室への視線や日射を和らげ、足元には建主が家庭菜園を計画している。
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以下、建築家によるテキストです。
久留米市街地に建つ、夫婦と子供一人のための住まい。
200㎡未満の敷地で隣屋からの視線を遮りつつも開放的な内と外の関係を持つ住宅の原型を試みた。
室として庭を捉え、視線や光を整える町家の形式に倣い、それが立面となって街並を作る。また内か外か曖昧な民家の土間庭に準えたバルコニーや庭を、外での食事、庭仕事などの生活空間として居間と一体化した。
9尺の柱割を9つ配した正方形(nine-squaregrid)の内と、東側に2スパン延長させた外により平面が構成される。建主家族が生まれ育った地方の民家の間取りに倣い、室内を来客用の公的な表と私的な裏に仕切った。
来客は玄関広間より階段を上がり、2階の居間からバルコニーへ、螺旋状の動きで導かれる。階段では段板を隠して吹抜けをつくらないことで昇降の動きを一旦絶ち、大屋根の平屋が2階に建つ感覚を強調した。筑後川の洪水を考慮して2階に主要な生活空間が持ち上げられているものの、庭とバルコニーが居間と連続して、内と外は平屋のように親密になる。庭のハナナシの木は居室への視線や日射を和らげ、足元には建主が家庭菜園を計画している。
内部では、生活時間帯の差への配慮から水回りと寝室の隣接を避けたり、将来の両親との同居を見据えた1階の寝室とバリアフリー化を図るなど、長期的な要求に対して柔軟な計画を心がけた。構造では、木造軸組構法の外壁部分に主な耐力壁を集中しながらも、バルコニーと庭へは大きな開口部を設けて内部空間と連続させた。
外皮表面積を抑えた立方体に近い形状によって、効率よくHEAD20G1レベルの断熱性を確保した。また高断熱の大きな窓を対面配置することで、自然換気しやすく、中間期には開放して昔の民家のような中から外を感じられる空間となるよう意識した。南側の大きな高窓からは、冬の日射が入り、夏は遮蔽されるよう、軒の深さを決定した。
外部はガルバリウム鋼板の屋根とシルバー塗装の外壁が周囲の工業的な風景に溶け込み、東に開かれた開口部から、遠く未納連山を望むことができる。
■建築概要
建物名称:久留米の庭と家
所在地:福岡県久留米市
主要用途:専用住宅
家族構成:夫婦+子供1人
設計者事務所:GOYA SCHROEDER & associates
担当:合屋統太、Jan-Jakob Schroeder、中村遼
共同設計:河内さつき
構造設計:杉村構造設計 担当/杉村一成
施工:原口建設 担当/井上泰斗
外構・造園:大洋グリーン 担当/馬場明寿
主体構造・構法:木造 在来工法
基礎:布基礎
階数:地上2階
地域地区:準工業地域、法22条地域
道路幅員:南3m
駐車台数:3台
軒高:7.80m
最高の高さ:8.49m
敷地面積:190.31m2
建築面積:82.82m2(建蔽率43.52% 許容60%)
延床面積:149.89m2(容積率74.84% 許容200%)
1階床面積:82.82m2
2階床面積:67.07m2
設計期間:2021年8月~2022年3月
工事期間:2022年5月~2022年11月
撮影:八坂麻里子