浜田晶則建築設計事務所による、東京・渋谷区の「Torinosu」。飲食店の為に作られたオブジェクト。森での“根曲がり木”との出会いを契機とし、木が備える“生命力あふれる美しいカーブ”を設計に組み込む創作を志向。3DスキャンやAR技術と職人技術を組わせて実現する "Untitled (The Twisted Trees in Shibuya #343–486)", 2020 © Gottingham Image courtesy of Aki Hamada Architects and Studio Xxingham photo©Gottingham
浜田晶則建築設計事務所による、東京・渋谷区の「Torinosu」。飲食店の為に作られたオブジェクト。森での“根曲がり木”との出会いを契機とし、木が備える“生命力あふれる美しいカーブ”を設計に組み込む創作を志向。3DスキャンやAR技術と職人技術を組わせて実現する "Untitled (The Twisted Trees in Shibuya #343–486)", 2020 © Gottingham Image courtesy of Aki Hamada Architects and Studio Xxingham photo©Gottingham
浜田晶則建築設計事務所による、東京・渋谷区の「Torinosu」。飲食店の為に作られたオブジェクト。森での“根曲がり木”との出会いを契機とし、木が備える“生命力あふれる美しいカーブ”を設計に組み込む創作を志向。3DスキャンやAR技術と職人技術を組わせて実現する "Untitled (The Twisted Trees in Shibuya #343–486)", 2020 © Gottingham Image courtesy of Aki Hamada Architects and Studio Xxingham photo©Gottingham
浜田晶則建築設計事務所 が設計した、東京・渋谷区の「Torinosu」です。
飲食店の為に作られたオブジェクトです。建築家は、森での“根曲がり木”との出会いを契機とし、木が備える“生命力あふれる美しいカーブ”を設計に組み込む創作を志向しました。そして、3DスキャンやAR技術と職人技術を組わせて実現しました。店舗の場所はこちら (Google Map)。
ある家具の制作のための木を見に、飛騨の森に行った。
そこで、斜面地に生える根曲がり木に出合った。それはとても伸びやかなカーブを描いていた。根曲がり木はかつて建築の梁などによく使われていたが、現在では使いにくい材とされてチップにされていることが多いという。
製材された木は、蒸気で曲げることもできれば、3次元的に切削することによって曲面をつくることもできる。しかし、森で根曲がり木を見たときに、生命力あふれるこの美しいカーブを厳密に設計の中に組み込んで扱うことができないかと思った。そして、森のなかに眠る価値を現代の技術によって発見することによって、林業に新たな価値を与え、廃棄物をなるべく少なくしながら自由な形を扱おうとした。
「Torinosu」は根曲がり木を3Dスキャンし、複雑な形状を3次元的に扱い厳密に利用している。そしてMixed Realityヘッドセットを用いたAR技術で墨出しを容易にし、高度な職人の技術とAR技術を組み合わせることによってこの構築物は成立している。Reciprocal frameの原理の構造形式によって、1本150kgを超える重い木々が相互に支え合いながら自立している。
ここで用いる補助線は、平面は六角形の軸線であるが、その軸に通る根曲がり木はそれぞれが異なる形と重心をもつ。三次元的な配置角をARによって規定し、1本の木に対して異なる2つの平面で切断するという、最小限の操作で構造体を成立させた。
人類はこれまで自然がもつ形や力を、人間が扱いやすいように合理化して制御しようとしてきた。しかし筆者は自然と人間が豊かに、かつ高度に共生していく未来を描いていきたいと考えている。そんな世界を象徴するような構築物として、人々が生態系について思索するきっかけにならないだろうかと考えながら「Torinosu」を設計した。
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浜田晶則建築設計事務所による、東京・渋谷区の「Torinosu」。飲食店の為に作られたオブジェクト。森での“根曲がり木”との出会いを契機とし、木が備える“生命力あふれる美しいカーブ”を設計に組み込む創作を志向。3DスキャンやAR技術と職人技術を組わせて実現する "Untitled (The Twisted Trees in Shibuya #343–486)", 2020 © Gottingham Image courtesy of Aki Hamada Architects and Studio Xxingham photo©Gottingham
浜田晶則建築設計事務所による、東京・渋谷区の「Torinosu」。飲食店の為に作られたオブジェクト。森での“根曲がり木”との出会いを契機とし、木が備える“生命力あふれる美しいカーブ”を設計に組み込む創作を志向。3DスキャンやAR技術と職人技術を組わせて実現する "Untitled (The Twisted Trees in Shibuya #343–486)", 2020 © Gottingham Image courtesy of Aki Hamada Architects and Studio Xxingham photo©Gottingham
浜田晶則建築設計事務所による、東京・渋谷区の「Torinosu」。飲食店の為に作られたオブジェクト。森での“根曲がり木”との出会いを契機とし、木が備える“生命力あふれる美しいカーブ”を設計に組み込む創作を志向。3DスキャンやAR技術と職人技術を組わせて実現する "Untitled (The Twisted Trees in Shibuya #343–486)", 2020 © Gottingham Image courtesy of Aki Hamada Architects and Studio Xxingham photo©Gottingham
浜田晶則建築設計事務所による、東京・渋谷区の「Torinosu」。飲食店の為に作られたオブジェクト。森での“根曲がり木”との出会いを契機とし、木が備える“生命力あふれる美しいカーブ”を設計に組み込む創作を志向。3DスキャンやAR技術と職人技術を組わせて実現する "Untitled (The Twisted Trees in Shibuya #343–486)", 2020 © Gottingham Image courtesy of Aki Hamada Architects and Studio Xxingham photo©Gottingham
浜田晶則建築設計事務所による、東京・渋谷区の「Torinosu」。飲食店の為に作られたオブジェクト。森での“根曲がり木”との出会いを契機とし、木が備える“生命力あふれる美しいカーブ”を設計に組み込む創作を志向。3DスキャンやAR技術と職人技術を組わせて実現する "Untitled (The Twisted Trees in Shibuya #343–486)", 2020 © Gottingham Image courtesy of Aki Hamada Architects and Studio Xxingham photo©Gottingham
浜田晶則建築設計事務所による、東京・渋谷区の「Torinosu」。飲食店の為に作られたオブジェクト。森での“根曲がり木”との出会いを契機とし、木が備える“生命力あふれる美しいカーブ”を設計に組み込む創作を志向。3DスキャンやAR技術と職人技術を組わせて実現する "Untitled (The Twisted Trees in Shibuya #343–486)", 2020 © Gottingham Image courtesy of Aki Hamada Architects and Studio Xxingham photo©Gottingham
浜田晶則建築設計事務所による、東京・渋谷区の「Torinosu」。飲食店の為に作られたオブジェクト。森での“根曲がり木”との出会いを契機とし、木が備える“生命力あふれる美しいカーブ”を設計に組み込む創作を志向。3DスキャンやAR技術と職人技術を組わせて実現する "Untitled (The Twisted Trees in Shibuya #343–486)", 2020 © Gottingham Image courtesy of Aki Hamada Architects and Studio Xxingham photo©Gottingham
浜田晶則建築設計事務所による、東京・渋谷区の「Torinosu」。飲食店の為に作られたオブジェクト。森での“根曲がり木”との出会いを契機とし、木が備える“生命力あふれる美しいカーブ”を設計に組み込む創作を志向。3DスキャンやAR技術と職人技術を組わせて実現する "Untitled (The Twisted Trees in Shibuya #343–486)", 2020 © Gottingham Image courtesy of Aki Hamada Architects and Studio Xxingham photo©Gottingham
浜田晶則建築設計事務所による、東京・渋谷区の「Torinosu」。飲食店の為に作られたオブジェクト。森での“根曲がり木”との出会いを契機とし、木が備える“生命力あふれる美しいカーブ”を設計に組み込む創作を志向。3DスキャンやAR技術と職人技術を組わせて実現する "Untitled (The Twisted Trees in Shibuya #343–486)", 2020 © Gottingham Image courtesy of Aki Hamada Architects and Studio Xxingham photo©Gottingham
浜田晶則建築設計事務所による、東京・渋谷区の「Torinosu」。飲食店の為に作られたオブジェクト。森での“根曲がり木”との出会いを契機とし、木が備える“生命力あふれる美しいカーブ”を設計に組み込む創作を志向。3DスキャンやAR技術と職人技術を組わせて実現する "Untitled (The Twisted Trees in Shibuya #343–486)", 2020 © Gottingham Image courtesy of Aki Hamada Architects and Studio Xxingham photo©Gottingham
浜田晶則建築設計事務所による、東京・渋谷区の「Torinosu」。飲食店の為に作られたオブジェクト。森での“根曲がり木”との出会いを契機とし、木が備える“生命力あふれる美しいカーブ”を設計に組み込む創作を志向。3DスキャンやAR技術と職人技術を組わせて実現する "Untitled (The Twisted Trees in Shibuya #343–486)", 2020 © Gottingham Image courtesy of Aki Hamada Architects and Studio Xxingham photo©Gottingham
浜田晶則建築設計事務所による、東京・渋谷区の「Torinosu」。飲食店の為に作られたオブジェクト。森での“根曲がり木”との出会いを契機とし、木が備える“生命力あふれる美しいカーブ”を設計に組み込む創作を志向。3DスキャンやAR技術と職人技術を組わせて実現する "Untitled (The Twisted Trees in Shibuya #343–486)", 2020 © Gottingham Image courtesy of Aki Hamada Architects and Studio Xxingham photo©Gottingham
浜田晶則建築設計事務所による、東京・渋谷区の「Torinosu」。飲食店の為に作られたオブジェクト。森での“根曲がり木”との出会いを契機とし、木が備える“生命力あふれる美しいカーブ”を設計に組み込む創作を志向。3DスキャンやAR技術と職人技術を組わせて実現する "Untitled (The Twisted Trees in Shibuya #343–486)", 2020 © Gottingham Image courtesy of Aki Hamada Architects and Studio Xxingham photo©Gottingham
浜田晶則建築設計事務所による、東京・渋谷区の「Torinosu」。飲食店の為に作られたオブジェクト。森での“根曲がり木”との出会いを契機とし、木が備える“生命力あふれる美しいカーブ”を設計に組み込む創作を志向。3DスキャンやAR技術と職人技術を組わせて実現する "Untitled (The Twisted Trees in Shibuya #343–486)", 2020 © Gottingham Image courtesy of Aki Hamada Architects and Studio Xxingham photo©Gottingham
浜田晶則建築設計事務所による、東京・渋谷区の「Torinosu」。飲食店の為に作られたオブジェクト。森での“根曲がり木”との出会いを契機とし、木が備える“生命力あふれる美しいカーブ”を設計に組み込む創作を志向。3DスキャンやAR技術と職人技術を組わせて実現する 上面図、側面図 image©浜田晶則建築設計事務所
浜田晶則建築設計事務所による、東京・渋谷区の「Torinosu」。飲食店の為に作られたオブジェクト。森での“根曲がり木”との出会いを契機とし、木が備える“生命力あふれる美しいカーブ”を設計に組み込む創作を志向。3DスキャンやAR技術と職人技術を組わせて実現する 樹種 image©浜田晶則建築設計事務所
浜田晶則建築設計事務所による、東京・渋谷区の「Torinosu」。飲食店の為に作られたオブジェクト。森での“根曲がり木”との出会いを契機とし、木が備える“生命力あふれる美しいカーブ”を設計に組み込む創作を志向。3DスキャンやAR技術と職人技術を組わせて実現する 平面図(店舗) image©浜田晶則建築設計事務所
浜田晶則建築設計事務所による、東京・渋谷区の「Torinosu」。飲食店の為に作られたオブジェクト。森での“根曲がり木”との出会いを契機とし、木が備える“生命力あふれる美しいカーブ”を設計に組み込む創作を志向。3DスキャンやAR技術と職人技術を組わせて実現する 立面図(店舗) image©浜田晶則建築設計事務所
浜田晶則建築設計事務所による、東京・渋谷区の「Torinosu」。飲食店の為に作られたオブジェクト。森での“根曲がり木”との出会いを契機とし、木が備える“生命力あふれる美しいカーブ”を設計に組み込む創作を志向。3DスキャンやAR技術と職人技術を組わせて実現する アイソメ図(店舗) image©浜田晶則建築設計事務所
以下、建築家によるテキストです。
ある家具の制作のための木を見に、飛騨の森に行った。
そこで、斜面地に生える根曲がり木に出合った。それはとても伸びやかなカーブを描いていた。根曲がり木はかつて建築の梁などによく使われていたが、現在では使いにくい材とされてチップにされていることが多いという。
製材された木は、蒸気で曲げることもできれば、3次元的に切削することによって曲面をつくることもできる。しかし、森で根曲がり木を見たときに、生命力あふれるこの美しいカーブを厳密に設計の中に組み込んで扱うことができないかと思った。そして、森のなかに眠る価値を現代の技術によって発見することによって、林業に新たな価値を与え、廃棄物をなるべく少なくしながら自由な形を扱おうとした。
「Torinosu」は根曲がり木を3Dスキャンし、複雑な形状を3次元的に扱い厳密に利用している。そしてMixed Realityヘッドセットを用いたAR技術で墨出しを容易にし、高度な職人の技術とAR技術を組み合わせることによってこの構築物は成立している。Reciprocal frameの原理の構造形式によって、1本150kgを超える重い木々が相互に支え合いながら自立している。
ここで用いる補助線は、平面は六角形の軸線であるが、その軸に通る根曲がり木はそれぞれが異なる形と重心をもつ。三次元的な配置角をARによって規定し、1本の木に対して異なる2つの平面で切断するという、最小限の操作で構造体を成立させた。
人類はこれまで自然がもつ形や力を、人間が扱いやすいように合理化して制御しようとしてきた。しかし筆者は自然と人間が豊かに、かつ高度に共生していく未来を描いていきたいと考えている。そんな世界を象徴するような構築物として、人々が生態系について思索するきっかけにならないだろうかと考えながら「Torinosu」を設計した。
これは単なる技術の実験のための構築物ではなく、われわれが複雑かつ有機的な現代をどう生きるかについて思索するための、小さなオブジェクトなのである。
■建築概要
題名:Torinosu
所在地:東京都渋谷区
主用途:オブジェクト、家具
設計:浜田晶則建築設計事務所 / 浜田晶則、槙山武蔵
構造設計:円酒構造設計 / 円酒昂
技術協力:ERI SUMITOMO ARCHITECTS(現 etoa studio)
製作ディレクション:飛騨の森でクマは踊る
協力:柳木材、飛騨職人生活、飛騨市森林組合、奥飛騨開発
コピーライティング:石井つよシ
延床面積:110.24㎡
設計:2020年2月~2020年4月
工事:2020年4月~8月
竣工:2020年8月
写真:Gottingham
When we visited Hida no Mori (the forest of Hida) to see trees for making a furniture piece, we encountered trees with unique twisting shapes growing on a hilly landscape. We were mesmerized by their unconstrained curves. Although these distorted trees were traditionally used for the beams in architecture, their difficulty in application limits their use only to be cut into wood chips these days. Any sawn wood can be bent using steam or cut three-dimensionally into a curved surface. However, facing the twisted trees in the forest, we wondered if this beautiful curvature full of vitality could be precisely incorporated into the design. By discovering untapped resources in the woods using modern technology, we aimed to add new value to the forestry industry and deal with the free shapes of trees with minimum waste.
For “Torinosu,” the distorted trees were 3d scanned so their complex shapes could be precisely handled three-dimensionally. AR technology made marking on the distorted trees easier by using a mixed reality (MR) headset and realized the structure in combination with the skills of highly experienced artisans. This free-standing structure where pieces of heavy wood over 150kg mutually supporting each other is based on the principle of the reciprocal frame. The auxiliary lines set for this structure are axes in a planar hexagon, but each distorted wood piece on each axis has different shapes and centers of gravity. The three-dimensional arrangement angles were determined in AR, and this structure was built with the minimum operation of cutting each tree with two different planar surfaces.
Human beings have always tried to rationalize and regulate the forms and the forces of nature in order to make them easier for humans to handle. However, we hope to envision a future where nature and humans achieve rich and advanced coexistence. “Torinosu” was designed to symbolize such a world and to be an opportunity for people to think about the ecosystem. This structure is not just a technological experiment but a small objet d’art for us to think about the way we live in this complex yet organic modern society.
Torinosu
location: Tokyo, Japan
program: Object, Furniture
Design: Aki Hamada Architects(Aki Hamada, Musashi Makiyama)
AR consultant: Eri Sumitomo Architects(Eri Sumitomo)
Structure: Enshu Structural Consultants(Noboru Enshu)
Construction: Hidakuma
Client: Jisoku 1 jikan
Copy writing: ISHII Tsuyoshi
total floor area: 110.24㎡
date: 2020
Photo: Gottingham