中村浩士建築設計事務所 / 中村工務店が設計した、埼玉・越谷市の「うどん屋『もり豊』」です。
過去の名残で水田が残る地域での計画です。建築家は、のどかな環境を活かした在り方を目指し、隣地に合わせた配置と平面で“田んぼの稲を存分に眺められる”建築を考案しました。また、90角の杉材を300本吊ったルーバーは“巨大な暖簾”をイメージして作られました。店舗の公式サイトはこちら。
敷地は埼玉県越谷市レイクタウン付近の住宅地。
過去の名残で田んぼが残る場所にある。そんな場所に建つうどん屋の新築計画。隣地は田んぼで、建設地も元々は田んぼ。
まず初めに田んぼの長閑な環境を活かすべく設計をスタートした。
建物の配置と平面計画を隣地の田んぼの土地の長方形の形状に併せて短辺は4550mm、長辺を27mと細長い建物形状とした。
田んぼ越しの建物の風景を見ての通り、建物内部からはうどんを食べながら田んぼの稲を存分に眺めることが出来る。南から北に吹く風は建物内部を通り北側の田んぼに抜けていく。風で揺れる稲もまたこの土地に吹く心地よい風を表現している。
建物の外周部には断面が90mm角、長さが3mの杉材を300本程吊ってルーバーの役割を果たしているが、実はこの吊り柱は巨大な暖簾をイメージしている。
吊り柱で造った暖簾で客を招き入れ、建物内部に入ると外部からの印象とはまた違った開放的な空間があり目の前には稲があり、そこで店主が造ったこだわりのうどんと天麩羅を食べ、そしてビールを飲んで寛ぐことができるうどん屋が出来たと思う。
あえて畏まらずにラフに仕上げた砂利の駐車場から誰もが気軽に木造の暖簾をくぐり、店内に入れば客の賑わいがコンクリートの床で反響し、木造の香りと架構で囲われた空間の目の前には田んぼがある。
近所の爺さんと婆さん達の楽しむ声がうるさく聞こえるくらいの雰囲気が丁度良い。
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以下、建築家によるテキストです。
敷地は埼玉県越谷市レイクタウン付近の住宅地。
過去の名残で田んぼが残る場所にある。そんな場所に建つうどん屋の新築計画。隣地は田んぼで、建設地も元々は田んぼ。
まず初めに田んぼの長閑な環境を活かすべく設計をスタートした。
建物の配置と平面計画を隣地の田んぼの土地の長方形の形状に併せて短辺は4550mm、長辺を27mと細長い建物形状とした。
田んぼ越しの建物の風景を見ての通り、建物内部からはうどんを食べながら田んぼの稲を存分に眺めることが出来る。南から北に吹く風は建物内部を通り北側の田んぼに抜けていく。風で揺れる稲もまたこの土地に吹く心地よい風を表現している。
建物の造り方については、なるべく手を加えることはせずに、構造体を組み立てたら工事完了となるような原始的な建物となるようにした。床は厚さ400mmの基礎コンクリートに表面硬化剤を塗布して、その後に表面を削りだして仕上げている。
土台、柱、梁を露出して構造体にガラスを貼り付けただけで内部と外部の境界を造り、それ以外の細工は一切していない。構造体は組み立てる前に事前に搬入して全てオイルステイン塗装をして雨を弾くようにしてある。
そんな原始的な構造物は隣地の田んぼの風景に溶け込み、元々の長閑な環境と景色を壊すことなくその場に馴染んだものになったと思う。
建物の外周部には断面が90mm角、長さが3mの杉材を300本程吊ってルーバーの役割を果たしているが、実はこの吊り柱は巨大な暖簾をイメージしている。
吊り柱で造った暖簾で客を招き入れ、建物内部に入ると外部からの印象とはまた違った開放的な空間があり目の前には稲があり、そこで店主が造ったこだわりのうどんと天麩羅を食べ、そしてビールを飲んで寛ぐことができるうどん屋が出来たと思う。
あえて畏まらずにラフに仕上げた砂利の駐車場から誰もが気軽に木造の暖簾をくぐり、店内に入れば客の賑わいがコンクリートの床で反響し、木造の香りと架構で囲われた空間の目の前には田んぼがある。
近所の爺さんと婆さん達の楽しむ声がうるさく聞こえるくらいの雰囲気が丁度良い。
■建築概要
敷地:埼玉県越谷市
用途:店舗(うどん屋)
設計:中村浩士建築設計事務所/中村工務店㈱
施工:中村浩士建築設計事務所/中村工務店㈱
構造:木造
竣工年:2023年12月
敷地面積:973.03㎡
建築面積:130.42㎡
延床面積:127.11㎡
写真:中村絵