齋藤和哉建築設計事務所が設計した、東京・世田谷区の「駒繋のハウス」です。
四周を家々に囲まれた敷地での計画です。建築家は、快適な住環境の獲得を主題とし、全体を包む“囲い”で視線を遮りつつ“光と風”を導入する構成を考案しました。そして、生活の様々な状況に応じる為に建具の開閉で空間の性質が変わるように作りました。
夫婦と子供とともに祖母が暮らす、都内の多世帯住宅である。
敷地境界ギリギリまで近接する隣家に四周を囲まれたこの旗竿地において、快適な住環境をいかに獲得するかが本計画の課題であった。
ここでは3つの外部空間と2つの内部空間を囲いでぐるりと包み、この住まいを構成した。
周囲からの視線を切りつつ、間接的に光と風を住宅内へ導く囲いは、構造・熱環境・防火、それぞれの負荷を低減させてもいる。
東の外部空間は道路からのアプローチがそのまま引き込まれたエントランスであり、ふたつの世帯をやんわりと分節もする。西の外部空間は室内から連続した外のリビングであり、自然の移り変わりを存分に感じることができる庭でもある。
外壁と同材で仕上げた外部のような中央の土間空間は、居るところと寝るところをつなぐバッファであり、パッシブとアクティブ両方のチャンバーボックスとしても機能する。
外部と内部のあいだの建具を開け閉めすることで空間は伸び縮みし、天候や季節、住まい手のライフスタイルの変化に応じた暮らし方が可能となる。建具を閉じると世帯間のプライバシーを守る閉じた住空間となり、開けると自然環境や家族の気配をどこにいても感じ取ることができる開放的なワンルーム空間へと変化する。
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以下、建築家によるテキストです。
夫婦と子供とともに祖母が暮らす、都内の多世帯住宅である。
敷地境界ギリギリまで近接する隣家に四周を囲まれたこの旗竿地において、快適な住環境をいかに獲得するかが本計画の課題であった。
ここでは3つの外部空間と2つの内部空間を囲いでぐるりと包み、この住まいを構成した。
周囲からの視線を切りつつ、間接的に光と風を住宅内へ導く囲いは、構造・熱環境・防火、それぞれの負荷を低減させてもいる。
東の外部空間は道路からのアプローチがそのまま引き込まれたエントランスであり、ふたつの世帯をやんわりと分節もする。西の外部空間は室内から連続した外のリビングであり、自然の移り変わりを存分に感じることができる庭でもある。
外壁と同材で仕上げた外部のような中央の土間空間は、居るところと寝るところをつなぐバッファであり、パッシブとアクティブ両方のチャンバーボックスとしても機能する。
外部と内部のあいだの建具を開け閉めすることで空間は伸び縮みし、天候や季節、住まい手のライフスタイルの変化に応じた暮らし方が可能となる。建具を閉じると世帯間のプライバシーを守る閉じた住空間となり、開けると自然環境や家族の気配をどこにいても感じ取ることができる開放的なワンルーム空間へと変化する。
まるで公園にいるような住環境を実現した本計画を通じて、都市住宅のひとつの明快な解答を示せたのではないかと考えている。
■建築概要
建物名称:駒繋のハウス
所在地:東京都世田谷区
主要用途:専用住宅
設計:齋藤和哉建築設計事務所 担当/齋藤和哉、髙橋雅人
構造:小西建築構造設計 担当/小西泰孝、佐藤隼平
空調換気設備アドバイス:川村設備研究所 担当/川村政治
施工:内田産業 担当/金子貴之
不動産コンサル:創造系不動産 担当/高橋寿太郎、片山浩一、井上遼介
主体構造・構法:木造・在来軸組工法
階数:地下2階
仕様:BELS評価☆5「ZEH」
敷地面積:213.34㎡
建築面積:81.98㎡
延床面積:161.89㎡
設計:2022年7月~2023年7月
施工:2023年8月~2024年3月
竣工:2024年3月
写真:西川公朗