SHARE 清正崇+田中昭成(構造:名和研二)による”函館ミゾエ邸”
以下、建築家によるテキストです。
●状況と要望
敷地は 函館市内のまだ畑地の面影を残す住宅地である。家族構成は夫婦と小さいこども二人。要望において特に問題だと思ったのは「境界が緩やかな空間」「寒冷地対応」である。
●手法
この2項目をローコストのもとで昇華させるべく、効率よくひとまとまりの空間を得られるサイコロヴォリュームをベースに考えた。つぎに、サイコロヴォリュームでも敷地を有効に活用でき、内部も広く感じさせるために「ねじる」という手法を試みた。
●「ねじる」ことの効果
一つめは、隣家との暗い隙間をなくすこと。周辺の畑や道路、隣の庭を敷地内に取り込み、都市的広がりを生む。
二つめは、近隣の家とお互いの視線をいなすこと。シンプルな都市的ふるまいである。
三つめは、風景をうまくさばくこと。隣家に接する部分は、外皮の回転につられて折れ曲がった三角壁や三角窓が視線を広い空へ導き、眺めのいい外部に向く部分は、スリット窓がダイレクトに風景を取り込む。
四つめは、空間をずるずるつなぐこと。内部コアだけは外皮に関わらずねじらないことでヴォイドに立体的なくびれが生じる。このくびれが個々の空間を、独立性を担保しながら連続させる。
●最後に
「ねじる」ことで得られた内部空間には、写真では分からない空間や光の「動き」がある。より多くの人に体感して欲しいと思った。
■建築概要
住所:函館市
敷地面積:231.40m2
用途地域:第一種住居地域
建築面積:91.48m2
延床面積:138.51m2
構造規模:木造2階建て(カーポートのみS造)
空調方式:ビルトインエアコン(床下空調方式)
設計:
清正崇建築設計スタジオ 清正崇
田中昭成ケンチク事務所 田中昭成
構造:なわけんジム 名和研二、下田仁美
設備:テーテンス事務所 上野道子
施工:紀の國建設 澤田幸栄