SHARE sinatoによる”house O”
photo©上田宏
sinatoが設計した三重県伊勢市の住宅”house O”です。
photo©上田宏
以下、建築家によるテキストです。
変形敷地に建つ家族4人のための住宅。
市民プールの外壁や広大な駐車場に接していて、公共的なスケールの中に放りだされたような場所だったため、周囲環境からは距離を取りながらも、開放的な空間を作れるような仕組みを模索した。
3つの長方形を敷地に沿って配置し、一辺を延長して他方の長方形の頂点と結ぶと、「3つの長方形/3つの変形四角形/中央に三角形」が生まれる。この幾何学的な関係は、各図形における部分的な変更を受け入れながら、全体の形やバランスを保持することが可能で、様々な外的条件をそのトポロジーのもとに内包することが出来る。
僕らは、「3つの長方形」を単純な箱形の棟にして、寝室やリビングなどの主な部屋をそれぞれに振り分けた。「3つの変形四角形」は中庭、「中央の三角形」は主動線を兼ねた吹抜けのホールで、ホールは中庭に対してガラス張りで解放しつつ、3つの棟によって周囲からは守られている。
3つの棟に分けられた部屋は、どれもが中庭かホールに隣接し、異なる棟の部屋と間接的な間合いを保っている。敷地外の環境に積極的に開放できなくても、部屋のように小さいサイズの中庭や、室外のように光の変化が繊細な空洞のホールが入り組んで、部屋の横に部屋とは異なる「外の部屋」のようなものが生まれたことが、新しい生活体験をもたらしてくれるのではないかと考えている。
■建築概要
[物件名]house O
[用途]専用住宅
[規模]木造2階建て
[計画地]三重県伊勢市
[敷地面積]198.31m2
[建築面積]76.61m2
[延床面積]146.56m2
[竣工]2009.2
[設計]sinato・大野 力・伊東 眞生
[構造設計]ASD・田畠 隆志
[施工]山口工務店
[写真撮影]上田 宏