田中裕一+中本剛志 / STUDIO YYによる、岡山・真庭市の「蒜山そばの館」。市営店舗の再建計画。蕎麦の文化や地域の伝統も感受できる場を目指し、周辺家屋を参照した“入母屋”を地場の木材と技術を用いた“CLTパネル”で造る建築を考案。山並と呼応する三次元曲面の庇で人と風景も繋ぐ外観、東側より見る。夜景 photo©秋田広樹 エスエス
田中裕一+中本剛志 / STUDIO YYによる、岡山・真庭市の「蒜山そばの館」。市営店舗の再建計画。蕎麦の文化や地域の伝統も感受できる場を目指し、周辺家屋を参照した“入母屋”を地場の木材と技術を用いた“CLTパネル”で造る建築を考案。山並と呼応する三次元曲面の庇で人と風景も繋ぐ外観、東側より見る。夜景 photo©秋田広樹 エスエス
田中裕一+中本剛志 / STUDIO YYによる、岡山・真庭市の「蒜山そばの館」。市営店舗の再建計画。蕎麦の文化や地域の伝統も感受できる場を目指し、周辺家屋を参照した“入母屋”を地場の木材と技術を用いた“CLTパネル”で造る建築を考案。山並と呼応する三次元曲面の庇で人と風景も繋ぐ縁側、待合スペース photo©秋田広樹 エスエス
田中裕一+中本剛志 / STUDIO YYによる、岡山・真庭市の「蒜山そばの館」。市営店舗の再建計画。蕎麦の文化や地域の伝統も感受できる場を目指し、周辺家屋を参照した“入母屋”を地場の木材と技術を用いた“CLTパネル”で造る建築を考案。山並と呼応する三次元曲面の庇で人と風景も繋ぐエントランス側から客席を見る。 photo©秋田広樹 エスエス
田中裕一+中本剛志 / STUDIO YYが設計した、岡山・真庭市の「蒜山そばの館」です。
市営店舗の再建計画です。建築家は、蕎麦の文化や地域の伝統も感受できる場を目指し、周辺家屋を参照した“入母屋”を地場の木材と技術を用いた“CLTパネル”で造る建築を考案しました。また、山並と呼応する三次元曲面の庇で人と風景も繋いでいます。店舗の場所はこちら(Google Map)。
岡山県真庭市の蕎麦畑が広がる蒜山高原の麓に位置する、地域の方々に親しまれていたそばの館が焼失した。そのそばの館の再建計画である。市営の店舗としてどのようにあるべきかを考え、蕎麦を食べるだけでなく、蕎麦文化や地域の伝統にも触れられる場としたいと考えた。
周辺には入母屋造りの伝統家屋や神社が多く見られ、その入母屋の屋根の下で人々が回り踊る大宮踊りが無形文化財に指定されている。焼失した店舗も一部入母屋の屋根が使われていた。
建物は、蒜山らしいCLTによる現代的な入母屋と雪の落下を防ぐために勾配を緩く抑え、パノラマの風景を切り取る下屋がぐるりと取り付く、蒜山らしさを感じられる構成とした。オープン以降、再建を待ち望んでいた人々でにぎわい、入母屋屋根の下に人々が集い、周囲に広がる蒜山の山々の風景を眺めながら蕎麦を楽しむ、蒜山ならではの姿が見られるようになった。
外周の庇部分は背後に連なる蒜山三座の山並に呼応するように、緩やかに高さを変える3次元曲面となっており、庇が蒜山の横に延びる山々の風景を切り取り、人と風景をつなぐ場となっている。建物の入口には、蒜山のシンボルでもある蒜山三座をモチーフとした暖簾を、市内の勝山に残る染め物技術を使い製作し、家具には真庭の組子細工を用いるなど、地場の工芸技術も取り入れている
以下の写真はクリックで拡大します

田中裕一+中本剛志 / STUDIO YYによる、岡山・真庭市の「蒜山そばの館」。市営店舗の再建計画。蕎麦の文化や地域の伝統も感受できる場を目指し、周辺家屋を参照した“入母屋”を地場の木材と技術を用いた“CLTパネル”で造る建築を考案。山並と呼応する三次元曲面の庇で人と風景も繋ぐ外観、北東側より見る。 photo©秋田広樹 エスエス

田中裕一+中本剛志 / STUDIO YYによる、岡山・真庭市の「蒜山そばの館」。市営店舗の再建計画。蕎麦の文化や地域の伝統も感受できる場を目指し、周辺家屋を参照した“入母屋”を地場の木材と技術を用いた“CLTパネル”で造る建築を考案。山並と呼応する三次元曲面の庇で人と風景も繋ぐ外観、南側の道路より見る。 photo©秋田広樹 エスエス

田中裕一+中本剛志 / STUDIO YYによる、岡山・真庭市の「蒜山そばの館」。市営店舗の再建計画。蕎麦の文化や地域の伝統も感受できる場を目指し、周辺家屋を参照した“入母屋”を地場の木材と技術を用いた“CLTパネル”で造る建築を考案。山並と呼応する三次元曲面の庇で人と風景も繋ぐ外観、敷地内の東側より見る。 photo©秋田広樹 エスエス

田中裕一+中本剛志 / STUDIO YYによる、岡山・真庭市の「蒜山そばの館」。市営店舗の再建計画。蕎麦の文化や地域の伝統も感受できる場を目指し、周辺家屋を参照した“入母屋”を地場の木材と技術を用いた“CLTパネル”で造る建築を考案。山並と呼応する三次元曲面の庇で人と風景も繋ぐ外観、東側より縁側を見下ろす。 photo©秋田広樹 エスエス

田中裕一+中本剛志 / STUDIO YYによる、岡山・真庭市の「蒜山そばの館」。市営店舗の再建計画。蕎麦の文化や地域の伝統も感受できる場を目指し、周辺家屋を参照した“入母屋”を地場の木材と技術を用いた“CLTパネル”で造る建築を考案。山並と呼応する三次元曲面の庇で人と風景も繋ぐ縁側、客席 photo©秋田広樹 エスエス

田中裕一+中本剛志 / STUDIO YYによる、岡山・真庭市の「蒜山そばの館」。市営店舗の再建計画。蕎麦の文化や地域の伝統も感受できる場を目指し、周辺家屋を参照した“入母屋”を地場の木材と技術を用いた“CLTパネル”で造る建築を考案。山並と呼応する三次元曲面の庇で人と風景も繋ぐ縁側、待合スペース photo©秋田広樹 エスエス

田中裕一+中本剛志 / STUDIO YYによる、岡山・真庭市の「蒜山そばの館」。市営店舗の再建計画。蕎麦の文化や地域の伝統も感受できる場を目指し、周辺家屋を参照した“入母屋”を地場の木材と技術を用いた“CLTパネル”で造る建築を考案。山並と呼応する三次元曲面の庇で人と風景も繋ぐ縁側、待合スペース photo©秋田広樹 エスエス

田中裕一+中本剛志 / STUDIO YYによる、岡山・真庭市の「蒜山そばの館」。市営店舗の再建計画。蕎麦の文化や地域の伝統も感受できる場を目指し、周辺家屋を参照した“入母屋”を地場の木材と技術を用いた“CLTパネル”で造る建築を考案。山並と呼応する三次元曲面の庇で人と風景も繋ぐエントランス横から開口部越しに石臼挽き加工室を見る。 photo©秋田広樹 エスエス

田中裕一+中本剛志 / STUDIO YYによる、岡山・真庭市の「蒜山そばの館」。市営店舗の再建計画。蕎麦の文化や地域の伝統も感受できる場を目指し、周辺家屋を参照した“入母屋”を地場の木材と技術を用いた“CLTパネル”で造る建築を考案。山並と呼応する三次元曲面の庇で人と風景も繋ぐエントランス側から客席を見る。 photo©秋田広樹 エスエス

田中裕一+中本剛志 / STUDIO YYによる、岡山・真庭市の「蒜山そばの館」。市営店舗の再建計画。蕎麦の文化や地域の伝統も感受できる場を目指し、周辺家屋を参照した“入母屋”を地場の木材と技術を用いた“CLTパネル”で造る建築を考案。山並と呼応する三次元曲面の庇で人と風景も繋ぐ厨房側から客席を見る。 photo©秋田広樹 エスエス

田中裕一+中本剛志 / STUDIO YYによる、岡山・真庭市の「蒜山そばの館」。市営店舗の再建計画。蕎麦の文化や地域の伝統も感受できる場を目指し、周辺家屋を参照した“入母屋”を地場の木材と技術を用いた“CLTパネル”で造る建築を考案。山並と呼応する三次元曲面の庇で人と風景も繋ぐ客席から開口部越しに外部を見る。 photo©秋田広樹 エスエス

田中裕一+中本剛志 / STUDIO YYによる、岡山・真庭市の「蒜山そばの館」。市営店舗の再建計画。蕎麦の文化や地域の伝統も感受できる場を目指し、周辺家屋を参照した“入母屋”を地場の木材と技術を用いた“CLTパネル”で造る建築を考案。山並と呼応する三次元曲面の庇で人と風景も繋ぐ北側の縁側客席 photo©秋田広樹 エスエス

田中裕一+中本剛志 / STUDIO YYによる、岡山・真庭市の「蒜山そばの館」。市営店舗の再建計画。蕎麦の文化や地域の伝統も感受できる場を目指し、周辺家屋を参照した“入母屋”を地場の木材と技術を用いた“CLTパネル”で造る建築を考案。山並と呼応する三次元曲面の庇で人と風景も繋ぐ北側の縁側客席(降雪時の様子) photo©秋田広樹 エスエス

田中裕一+中本剛志 / STUDIO YYによる、岡山・真庭市の「蒜山そばの館」。市営店舗の再建計画。蕎麦の文化や地域の伝統も感受できる場を目指し、周辺家屋を参照した“入母屋”を地場の木材と技術を用いた“CLTパネル”で造る建築を考案。山並と呼応する三次元曲面の庇で人と風景も繋ぐ俯瞰、東側より見下ろす。夕景 photo©秋田広樹 エスエス

田中裕一+中本剛志 / STUDIO YYによる、岡山・真庭市の「蒜山そばの館」。市営店舗の再建計画。蕎麦の文化や地域の伝統も感受できる場を目指し、周辺家屋を参照した“入母屋”を地場の木材と技術を用いた“CLTパネル”で造る建築を考案。山並と呼応する三次元曲面の庇で人と風景も繋ぐ外観、南側の道路より見る。夕景 photo©秋田広樹 エスエス

田中裕一+中本剛志 / STUDIO YYによる、岡山・真庭市の「蒜山そばの館」。市営店舗の再建計画。蕎麦の文化や地域の伝統も感受できる場を目指し、周辺家屋を参照した“入母屋”を地場の木材と技術を用いた“CLTパネル”で造る建築を考案。山並と呼応する三次元曲面の庇で人と風景も繋ぐ外観、南側より見る。夕景 photo©秋田広樹 エスエス

田中裕一+中本剛志 / STUDIO YYによる、岡山・真庭市の「蒜山そばの館」。市営店舗の再建計画。蕎麦の文化や地域の伝統も感受できる場を目指し、周辺家屋を参照した“入母屋”を地場の木材と技術を用いた“CLTパネル”で造る建築を考案。山並と呼応する三次元曲面の庇で人と風景も繋ぐ外観、北東側より見る、夜景 photo©秋田広樹 エスエス

田中裕一+中本剛志 / STUDIO YYによる、岡山・真庭市の「蒜山そばの館」。市営店舗の再建計画。蕎麦の文化や地域の伝統も感受できる場を目指し、周辺家屋を参照した“入母屋”を地場の木材と技術を用いた“CLTパネル”で造る建築を考案。山並と呼応する三次元曲面の庇で人と風景も繋ぐ外観、東側より見る。夜景 photo©秋田広樹 エスエス

田中裕一+中本剛志 / STUDIO YYによる、岡山・真庭市の「蒜山そばの館」。市営店舗の再建計画。蕎麦の文化や地域の伝統も感受できる場を目指し、周辺家屋を参照した“入母屋”を地場の木材と技術を用いた“CLTパネル”で造る建築を考案。山並と呼応する三次元曲面の庇で人と風景も繋ぐ外観、南側より見る。夜景 photo©秋田広樹 エスエス

田中裕一+中本剛志 / STUDIO YYによる、岡山・真庭市の「蒜山そばの館」。市営店舗の再建計画。蕎麦の文化や地域の伝統も感受できる場を目指し、周辺家屋を参照した“入母屋”を地場の木材と技術を用いた“CLTパネル”で造る建築を考案。山並と呼応する三次元曲面の庇で人と風景も繋ぐ外観、東側より見る。夜景 photo©秋田広樹 エスエス

田中裕一+中本剛志 / STUDIO YYによる、岡山・真庭市の「蒜山そばの館」。市営店舗の再建計画。蕎麦の文化や地域の伝統も感受できる場を目指し、周辺家屋を参照した“入母屋”を地場の木材と技術を用いた“CLTパネル”で造る建築を考案。山並と呼応する三次元曲面の庇で人と風景も繋ぐ客席、天井を見上げる。夜景 photo©秋田広樹 エスエス

田中裕一+中本剛志 / STUDIO YYによる、岡山・真庭市の「蒜山そばの館」。市営店舗の再建計画。蕎麦の文化や地域の伝統も感受できる場を目指し、周辺家屋を参照した“入母屋”を地場の木材と技術を用いた“CLTパネル”で造る建築を考案。山並と呼応する三次元曲面の庇で人と風景も繋ぐ客席からWC側を見る。夜景 photo©秋田広樹 エスエス

田中裕一+中本剛志 / STUDIO YYによる、岡山・真庭市の「蒜山そばの館」。市営店舗の再建計画。蕎麦の文化や地域の伝統も感受できる場を目指し、周辺家屋を参照した“入母屋”を地場の木材と技術を用いた“CLTパネル”で造る建築を考案。山並と呼応する三次元曲面の庇で人と風景も繋ぐ平面図 image©STUDIO YY

田中裕一+中本剛志 / STUDIO YYによる、岡山・真庭市の「蒜山そばの館」。市営店舗の再建計画。蕎麦の文化や地域の伝統も感受できる場を目指し、周辺家屋を参照した“入母屋”を地場の木材と技術を用いた“CLTパネル”で造る建築を考案。山並と呼応する三次元曲面の庇で人と風景も繋ぐ断面パース image©STUDIO YY

田中裕一+中本剛志 / STUDIO YYによる、岡山・真庭市の「蒜山そばの館」。市営店舗の再建計画。蕎麦の文化や地域の伝統も感受できる場を目指し、周辺家屋を参照した“入母屋”を地場の木材と技術を用いた“CLTパネル”で造る建築を考案。山並と呼応する三次元曲面の庇で人と風景も繋ぐ構造モデル image©STUDIO YY
以下、建築家によるテキストです。
地域の文化や風景・伝統・産業・技術・観光をつなぐ店舗
岡山県真庭市の蕎麦畑が広がる蒜山高原の麓に位置する、地域の方々に親しまれていたそばの館が焼失した。そのそばの館の再建計画である。市営の店舗としてどのようにあるべきかを考え、蕎麦を食べるだけでなく、蕎麦文化や地域の伝統にも触れられる場としたいと考えた。
周辺には入母屋造りの伝統家屋や神社が多く見られ、その入母屋の屋根の下で人々が回り踊る大宮踊りが無形文化財に指定されている。焼失した店舗も一部入母屋の屋根が使われていた。
建物は、蒜山らしいCLTによる現代的な入母屋と雪の落下を防ぐために勾配を緩く抑え、パノラマの風景を切り取る下屋がぐるりと取り付く、蒜山らしさを感じられる構成とした。オープン以降、再建を待ち望んでいた人々でにぎわい、入母屋屋根の下に人々が集い、周囲に広がる蒜山の山々の風景を眺めながら蕎麦を楽しむ、蒜山ならではの姿が見られるようになった。
地域の建築様式と技術を繋ぐCLT入母屋造り
入母屋の屋根は、真庭市の産業である4枚のCLTパネルが互いにもたれかかり支え合う構造とすることで、大きな気積にも関わらず、内部に小屋組みも柱も無いすっきりとした大空間となった。周囲にも残る蒜山地域の伝統的な入母屋造りを、地場の木材と地場の現代技術であるCLTで実現した。
CLT入母屋造りの主屋と繊細な下屋が生み出す空間のつながり
積雪高さ140cmの多雪区域において、客席部分の梁間9.1m×桁行12.74mの大屋根をCLTパネル(t=150mm、5層5プライ)で構成した入母屋造りで実現している。合計24枚のパネル同士は、矧目は合板と釘で、継目は平鋼とラグスクリューで接合し、見え隠れとなるパネル天端で一体化している。
入母屋の形態を活かして鉛直荷重に対して主に面内力で抵抗させることで無柱空間を実現しており、CLTパネルには面内せん断力と2次的な面外曲げモーメントを、棟・降り棟・妻下端の平鋼には圧縮軸力を、四周の平鋼には引張軸力を負担させている。
地震時水平力の大半を厨房側に流すことで客席部分の大開口を実現することで、繊細な鉄骨フレームと木材の化粧垂木のみで構成した緩やかな三次元曲面を持つ下屋の縁側とのつながりを生み出し、周辺環境とのシームレスな関係をつくっている。
山並に呼応する庇の稜線
外周の庇部分は背後に連なる蒜山三座の山並に呼応するように、緩やかに高さを変える3次元曲面となっており、庇が蒜山の横に延びる山々の風景を切り取り、人と風景をつなぐ場となっている。建物の入口には、蒜山のシンボルでもある蒜山三座をモチーフとした暖簾を、市内の勝山に残る染め物技術を使い製作し、家具には真庭の組子細工を用いるなど、地場の工芸技術も取り入れている。
夏と冬の2つの景色と縁側
蒜山は避暑地として有名で、夏に観光客で賑わうが、冬に訪れてみると冬の雪景色もとても美しいことに気が付く。低く抑えた庇と3方の大きな開口から、蒜山の夏の山並の景色だけでなく、冬の白銀の世界、それぞれの美しいパノラマの景色を楽しめる場となった。
■建築概要
題名:蒜山そばの館
所在地:岡山県真庭市蒜山上徳山1375-1
用途:飲食店
設計:STUDIO YY 担当/田中裕一、中本剛志、楊沢悦
施工:森本組
構造設計:山田憲明構造設計事務所
設備:ZO設計室
工事種別:新築
構造:木造、一部S造
規模:平屋
敷地面積:2,027㎡
建築面積:298.68㎡
延床面積:271.64㎡
設計期間:2021年5月~2021年9月
施工期間:2021年11月~2022年7月
写真:秋田広樹(エスエス)