福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 外観、西側の道路より見る。 photo©千葉顕弥
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 1階、エントランスドア側からホールを見る photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 2階、ルーム1から吹抜側を見る。 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 2階、左:ルーム1、右:ルーム3 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダ が設計した、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」です。
空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画されました。建築家は、均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案しました。そして、確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生みだします。
この家では、用途ごとに壁で空間を分割するのではなく、空間同士の境界がオーバーラップする構成によって生まれる空間の関係性を模索した。
均質に4分割された単純な平面は、一見すると、同じような部屋が隣接するワンルームにも見える。
しかし実際には、どこにいても全体を見通せず、室の繋がり方や開口部の位置を調整したことで、視線は止まることなく奥へと導かれ、空間の奥行きを想像させる。
それぞれの領域は壁や間仕切りで明確に仕切られず、余白を保ちながら、静かに重なり合っていく。
ホールは、4分割されたうちのふたつの平面を跨ぐように配置され、それぞれの天井高は2.1mと最大6m。大きな断面の変化と、窓から差し込む光の違いが、並列する空間に異なる時間の流れをもたらす。
また、数を絞って設けられた開口部は外の風景を断片化し、全容を見せない。
中心を持たない構成と重なり合うことで、家の知覚は街へと拡張し、同時に街もまた家の内部へと反転する。
反復する平面と、視線が届かない構成は、声や音は聞こえるのに姿は見えない、遠くにいるようで近くに感じられるような感覚を生み、姿が見えなくても誰かの存在を確かに感じることで、空間の存在を想像させる。
空間の存在を想像させる感覚は、アピチャッポン・ウィーラセタクンの映画『ブンミおじさんの森(2011年)』において、失われた妻と息子が幽霊や精霊として家に帰ってくる場面とも重なる。この映画の幽霊たちは、恐怖の対象ではなく、そっと空間に寄り添う、親しい存在として描かれている。
彼らは生者と変わらない姿でそこに佇んでいるが、生者は画面の中にいる時しか語らず、画面の外から響く声は幽霊たちのものだけだ。
その演出が彼らの「不在」を強調しながらも、確かにそこにいたという気配を空間に深く刻み込み、不在であることが、空間の奥行きをより鮮やかに立ち上げる。
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福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 外観、西側の道路より見る。 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 外観、西側の道路より見る。 photo©千葉顕弥
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 外観、敷地内の北西側よりホールの開口部を見る。 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 外観、敷地内の南西側よりホールの開口部を見る。 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 1階、エントランスドアのガラス越しにホールを見る。 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 外観、玄関の庇 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 1階、玄関ドアを見る。 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 1階、エントランスドア側からホールを見る photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 1階、ホール、ダイニングテーブル photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 1階、ホールから開口部越しに外部を見る。 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 1階、ホールからエントランス越しに外部を見る。 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 1階、ホール、天井と照明 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 1階、ホール、天井と壁 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 1階、キッチン photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 1階、キッチン、天井と造り付けの棚 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 1階、ホール、天井と壁 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 1階、ホール、天井と壁 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 1階、ホール photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 1階、ホールから吹抜越しに2階を見上げる。 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 1階から2階への階段 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 2階、ルーム1から吹抜側を見る。 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 2階、ルーム1から1階のホールを見下ろす。 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 2階、ルーム1から1階のホールを見下ろす。 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 2階、ルーム1からルーム2側を見る。 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 2階、ルーム1からルーム2側を見る。 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 2階、左:ルーム1、右:ルーム3 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 2階、ルーム3 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 2階、ルーム3、開口部を見る。 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 1階、洗面室から浴室側を見る。 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 1階、洗面室から浴室側を見る。 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 1階、洗面室からホールを見る。 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 1階、洗面室からホールを見る。 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 1階、ホール、階段下の収納 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 1階、ホールから開口部越しに外部を見る。夕景 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 1階から2階への階段からルーム1を見上げる。夜景 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 1階、洗面室から浴室側を見る。夜景 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 1階、ホールからキッチンを見る。夜景 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 外観、玄関ドアを見る。夜景 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 外観、敷地内の西側から開口部越しにホールを見る。夜景 photo©Yurika Kono
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 1階平面図 image©オフィススグルフクダ
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 2階平面図 image©オフィススグルフクダ
福田俊 / オフィススグルフクダによる、東京・東村山市の住宅「OVERLAP」。空間境界の“オーバーラップ”が生む関係を主題に計画。均質4分割の“単純な平面”ながら、全体を見通せず視線が奥へと流れ“奥行きを想像”させる構成を考案。確かにある“気配”が“現実を超える広がり”を生む 断面図 image©オフィススグルフクダ
以下、建築家によるテキストです。
存在の気配
この家では、用途ごとに壁で空間を分割するのではなく、空間同士の境界がオーバーラップする構成によって生まれる空間の関係性を模索した。
均質に4分割された単純な平面は、一見すると、同じような部屋が隣接するワンルームにも見える。
しかし実際には、どこにいても全体を見通せず、室の繋がり方や開口部の位置を調整したことで、視線は止まることなく奥へと導かれ、空間の奥行きを想像させる。
それぞれの領域は壁や間仕切りで明確に仕切られず、余白を保ちながら、静かに重なり合っていく。
ホールは、4分割されたうちのふたつの平面を跨ぐように配置され、それぞれの天井高は2.1mと最大6m。大きな断面の変化と、窓から差し込む光の違いが、並列する空間に異なる時間の流れをもたらす。
また、数を絞って設けられた開口部は外の風景を断片化し、全容を見せない。
中心を持たない構成と重なり合うことで、家の知覚は街へと拡張し、同時に街もまた家の内部へと反転する。
反復する平面と、視線が届かない構成は、声や音は聞こえるのに姿は見えない、遠くにいるようで近くに感じられるような感覚を生み、姿が見えなくても誰かの存在を確かに感じることで、空間の存在を想像させる。
空間の存在を想像させる感覚は、アピチャッポン・ウィーラセタクンの映画『ブンミおじさんの森(2011年)』において、失われた妻と息子が幽霊や精霊として家に帰ってくる場面とも重なる。この映画の幽霊たちは、恐怖の対象ではなく、そっと空間に寄り添う、親しい存在として描かれている。
彼らは生者と変わらない姿でそこに佇んでいるが、生者は画面の中にいる時しか語らず、画面の外から響く声は幽霊たちのものだけだ。
その演出が彼らの「不在」を強調しながらも、確かにそこにいたという気配を空間に深く刻み込み、不在であることが、空間の奥行きをより鮮やかに立ち上げる。
この家でも、想像上の奥行きや、見えないけれど確かに存在する空間の気配が重要な要素となっている。
そこかしこに散る存在の気配は、現実を超える空間のひろがりを静かにたたえている。
■建築概要
題名:OVERLAP
所在地:東京都東村山市
主用途:専用住宅
設計:福田俊
構造設計:鈴木一希
施工:21世紀工務店 担当/伊澤祐一
設備:株式会社大野設備 担当/川俣
電気:株式会社清水 担当/清水
外構:有限会社持田組 担当/石田
不動産:アラウンドアーキテクチャー 担当/佐竹雄太、古谷亮子
構造:木造
階数:地上2階
敷地面積:92㎡
建築面積:41㎡
延床面積:72㎡
設計:2023年12月~2024年9月
工事:2024年9月~2025年3月
竣工:2025年3月
写真:Yurika Kono、千葉顕弥
aura of presence
In this house, space is not divided by walls according to function; instead, it explores relationships born from overlapping boundaries between spaces.
The simple plan, evenly divided into four parts, might at first glance appear like a one-room layout where similar rooms sit adjacent to one another.
However, in reality, the arrangement of connections between rooms and the placement of openings ensure that the entire house can never be grasped from a single point. The gaze is constantly drawn deeper inside, evoking an imagined sense of spatial depth. Each domain is not clearly separated by walls or partitions, but overlaps quietly while preserving margins, leaving no central room and instead unfolding a dispersed, multi-perspectival field.
The hall spans across two of the four quadrants, with ceiling heights ranging from 2.1 meters to a maximum of 6 meters.
Dramatic sectional changes and differing qualities of light pouring in from the windows introduce distinct flows of time into parallel spaces.
Openings, deliberately kept few in number, fragment the outside scenery and withhold its entirety.
Together with the non-centralized composition and overlapping boundaries, this fragmented view extends the perception of the house outward into the city,
while at the same time allowing the city to invert itself into the interior of the house.
The repetition of the plan and the configuration that prevents a full line of sight generate a peculiar sensation—where voices and sounds are audible though figures remain unseen,
evoking a feeling of proximity despite physical distance. This condition, where one senses the presence of someone even without seeing them, invites the imagination of space itself.
This evocation of unseen presence resonates with Apichatpong Weerasethakul’s film Uncle Boonmee Who Can Recall His Past Lives (2011), in which a lost wife and son return home as ghosts and spirits. These apparitions are not portrayed as fearful beings but as intimate presences, gently inhabiting the domestic space.
They appear in forms indistinguishable from the living, yet only the ghosts speak from off-screen, while the living characters remain silent beyond the frame. This cinematic device accentuates their “absence” while engraving the trace of their having once been there deep into the space.
Their absence paradoxically sharpens the spatial depth, making it more vivid.
In this house as well, the imagined depth and the invisible yet palpable presence of space are essential elements. The dispersed traces of existence quietly resonate throughout, holding within them a spatial expanse that surpasses mere reality.