以下、建築家によるテキストです。

海沿いの道とビーチの間にのこされたわずか３ｍ×８ｍの敷地に建つ別荘。背後にはこれまで海への眺望を享受してきた３階建ての住宅がある。建物が建つことによる眺望の阻害を最小化するため、海への大きな開口部を確保し、同時に道路側にも同じサイズの開口部を設けた。結果としてまるで窓だけでできたような住宅となった。窓の家である。利用時はロールスクリーンが下りるが、別荘で利用期間は限られているため、背後の住宅は、海への眺望を維持できる。戸建て住宅という極めて私的な建物が、それでも外的要因によってつくられ得ることを示した。
一階は駐車場で、コンクリート造。二階以上は木造で、窓を横切る大きなブレースも構造材である。階段の角度をブレースに合わせることで、抜けを最大限確保したスキップフロアになっている。（吉村靖孝）

■建築概要
所在地：神奈川県三浦郡葉山町
用途：住宅
工事種別：新築
構造：RC 造+ 木造
規模：地上3 階建て
敷地面積：26.11m2
建築面積：15.42m2
延床面積：32.85m2
最高高さ：8,280mm