SHARE 谷尻誠+吉田愛 / SUPPOSE DESIGN OFFICEによる福岡の「桧原の家」
all photos©Techni Staff・針金洋介
谷尻誠+吉田愛 / SUPPOSE DESIGN OFFICEが設計した福岡の「桧原の家」です。
敷地にそっと屋根をかける。
シンプルな操作で空間を生み出し、生活の中の多様な体験と共に目の前に広がる水辺をゆったりと眺める事ができる、そんな場所をつくることができないだろうか。このプロジェクトは福岡市の貯水池に面した傾斜地に家族4人のための生活の場をつくる計画。
周辺の木々や草花は豊かに育ち、水辺に住まう多様な生物が時折顔をのぞかせる。
そこに立っているだけで、自然の心地良さを贅沢に感じる事ができるような敷地である。
この場所に、屋根をかけるという行為によって、閉鎖と解放という概念を生じさせる。
つまり、敷地に既に散りばめられている空間というコンディションを屋根によって顕在化させ、
そこに多様な生活の場を生み出すことを考えた。
※以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
桧原の家
敷地にそっと屋根をかける。
シンプルな操作で空間を生み出し、生活の中の多様な体験と共に目の前に広がる水辺をゆったりと眺める事ができる、そんな場所をつくることができないだろうか。
このプロジェクトは福岡市の貯水池に面した傾斜地に家族4人のための生活の場をつくる計画。
周辺の木々や草花は豊かに育ち、水辺に住まう多様な生物が時折顔をのぞかせる。
そこに立っているだけで、自然の心地良さを贅沢に感じる事ができるような敷地である。
この場所に、屋根をかけるという行為によって、閉鎖と解放という概念を生じさせる。
つまり、敷地に既に散りばめられている空間というコンディションを屋根によって顕在化させ、
そこに多様な生活の場を生み出すことを考えた。
エントランスを入ると、壁で囲われながらも天井の高い少し閉鎖的なホール、その奥に洗面や浴室、トイレやW.I.Cなどのコアが配置されている。そこから水辺の方へ視線を向けると、屋根によって切り取られた開口部から水面だけが映し出され、まるで水辺に浮かぶ舟に乗っているような感覚を覚える。さらに階段を下りて水辺へと移動すると、視線の先に映し出される風景が移ろい、空間の濃度はだんだんと変わりゆく。あるところでは原っぱの中の小屋に籠るような静かな空間、あるところでは水辺のベンチに腰をかけ時間の流れを感じるおおらかな空間。
全ての風景を見通せる空き地であった場所が、屋根によって空間化され、環境に身を委ねながら生活を送る住まいとなる。屋根と地面のあいだにガラスをはめ込み内部と言われる場所になった空間では、
周辺の環境変化に鋭敏となり、次第に建築は環境と同化していく。
どこまでが環境でどこまでが建築なのか、その曖昧だけれども明確にある境界線。
その境界の領域性に興味がある。
ここではシンプルが複雑さを含む、そんな建築を目指した。
■建築概要
所在地:福岡県福岡市
主要用途:一戸建て住宅
主体構造:鉄骨造 一部RC造
基礎:杭基礎
敷地面積:259.85m2
建築面積104.94m2
延床面積:111.85m2
竣工年:2014年12月