SHARE 多田正治アトリエによる「九重の竹テント」
多田正治アトリエが設計した「九重の竹テント」です。
和歌山県の山中の20人ほどの集落「九重(くじゅう)」。
6年前に東京より移住してきた若者たちが、旧九重小学校で「bookcafe kuju」と「パンむぎとし」を営んでいる。
彼らが中心となり主催するイベント「KUJU MARKET」は5年目を迎え「雨でも楽しい」をコンセプトに梅雨時2daysの開催を試みた。
紀伊半島大水害(2011)など水害の多い地域でもあり、
そのコンセプトを実現するために「九重の竹テント」を、設計・施工した。テントの主構造には竹を用いている。
熊野の主幹産業のひとつに林業があるが、ヒノキ・スギ林にとって竹害は大きな問題である。
竹の利用方法の可能性のひとつとして、
竹の伐採から、試作を重ねた検討を経て、9つのテントが連なるイベント会場をつくりあげることとした。
以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
和歌山県の山中の20人ほどの集落「九重(くじゅう)」。
6年前に東京より移住してきた若者たちが、旧九重小学校で「bookcafe kuju」と「パンむぎとし」を営んでいる。
彼らが中心となり主催するイベント「KUJU MARKET」は5年目を迎え「雨でも楽しい」をコンセプトに梅雨時2daysの開催を試みた。
紀伊半島大水害(2011)など水害の多い地域でもあり、
そのコンセプトを実現するために「九重の竹テント」を、設計・施工した。
テントの主構造には竹を用いている。
熊野の主幹産業のひとつに林業があるが、ヒノキ・スギ林にとって竹害は大きな問題である。
竹の利用方法の可能性のひとつとして、
竹の伐採から、試作を重ねた検討を経て、9つのテントが連なるイベント会場をつくりあげることとした。
テントは、不定形な四角形平面と片流れ屋根で構成される。
平面の裏表、屋根の勾配の向きをそれぞれ設定することで4つのバリエーションがつくれ、
これら4バリエーションを組み合わせることで、多様な平面をつくることが可能である。
今回は一列に並べ、ゆらゆらと蛇行する平面、屋根勾配が交互になったテント群とした。
テントの勾配屋根は高い方を2750mm、低い方を1430mmとすることで
斜めのラインが強調された、高い方の面に開放された空間となっている。
テント群の中を歩くことで、屋根越しに切り取られた九重小学校や北山川の巨大な絶壁を、交互に味わうことができる。
テントの屋根には雨粒を模した装飾をほどこし、竹に「貸しレインコート」を吊るし、オリジナルタオルをデザイン・販売することなど、積極的に雨を楽しんでもらえるよう企画している。
2日間のイベント期間。風が強く、好天で暑い1日目。曇天から小雨、そして土砂降りの2日目という、幅広いシチュエーションをテントは経験することができた。
雄大で懐の深い熊野の自然からつくりだした、ささやかな建築である。
■建築概要
企画:KUJU MARKET実行委員会
設計:多田正治アトリエ
施工:多田正治アトリエ+学生有志
施工協力:ふじさき組、野地木材工業
設計期間:2019.03-2019.06
竣工年:2019.06
学生有志
大阪大学大学院
松本 健一郎 末金優士
近畿大学
小田 陽基 佐々木 康太 桟敷 航平 萩原 柚香 橋本 剛明 廣尾 佳奈子 前田 樹 増冨 由梨 松浦 美月 八面 美晴