SHARE STA土屋辰之助アトリエによる、東京・葛飾区の住宅「HouseHT」
STA土屋辰之助アトリエが設計した、東京・葛飾区の住宅「HouseHT」です。
東京都葛飾区のグリッド状の町割りの一角に位置する住宅である。周囲は住宅街でありながら、ちらほらと町工場やその名残も目に入り、緑道や45度の道がところどころに入り込む、単純に見えて実は多様な要素が入り込む東京の下町らしい町並みのなかに置かれた町家の形式、平入屋根と「通り土間」ならぬ「通り廊下」のある住空間とした。玄関からまっすぐに伸びる「通り廊下」はそのまま階段となり、2階リビングへつながり、更に軽快な階段へと変化して小屋裏へと到達する。リビング天井は高く吹き抜けている空間からバルコニーや軒天へ向かって親密な空間へと変化し、自然に通り側へと視線を導く。
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以下、建築家によるテキストです。
東京の下町に建てる町家のかたち
東京都葛飾区のグリッド状の町割りの一角に位置する住宅である。周囲は住宅街でありながら、ちらほらと町工場やその名残も目に入り、緑道や45度の道がところどころに入り込む、単純に見えて実は多様な要素が入り込む東京の下町らしい町並みのなかに置かれた町家の形式、平入屋根と「通り土間」ならぬ「通り廊下」のある住空間とした。玄関からまっすぐに伸びる「通り廊下」はそのまま階段となり、2階リビングへつながり、更に軽快な階段へと変化して小屋裏へと到達する。リビング天井は高く吹き抜けている空間からバルコニーや軒天へ向かって親密な空間へと変化し、自然に通り側へと視線を導く。また、告示を使いながら軒裏に木材を使用することで、通りからも眺めて気持ちのよい軒先、建築の正面となっている。いわゆる町家の形式を使いながらも現代の素材や法規に対応しつつ、この住宅自体が連続して町並みを形成することも可能なプロトタイプ性をもつ住宅建築である。また、リビングを包み込む杉の天井と登梁、杉の壁、檜の天井と床、杉軒裏、および全体の軸組構造材はお施主さまの要望により使用した紀州材である。以前、私が担当した和歌山県の熊野本宮にある、世界遺産のビジターセンターに使用した田辺市の山長商店の製材であり、木目が細かく美しいだけでなく、材の強度もしっかりと明示された優良な木材である。都内に居ながらにして自然のおおらかさに寄り添うことができる空間になったと考えている。
(土屋辰之助)
■建築概要
建物名称:HouseHT
所在地:東京都葛飾区
主要用途:戸建住宅
建築主:個人
設計・監理:STA土屋辰之助アトリエ
担当:土屋辰之助 小西光樹
施工:丸喜株式会社 齋藤組
敷地面積:103.08㎡
建築面積:61.29㎡
延床面積:104.45㎡(建屋部のみ)
構造・規模:在来軸組木造、地上2階
最高高さ:8.372m
地域地区 第一種住居地域、準防火地域、第2種高度地区
設計期間 2017年 4月〜 2018年6月
工事期間 2018年 6月〜 2018年 12月
主な外部仕上げ
建屋
屋根:カラーガルバリウム鋼板 縦ハゼ葺き
外壁:断熱材サンドイッチパネル(IG工業 SFビレクト)
開口部:アルミ樹脂複合サッシ
構造材や仕上げに紀州材を使用
駐車場
屋根:カラーガルバリウム鋼板折板
鉄骨骨組 塗装
駐輪場
屋根:カラーガルバリウム小波板、ポリカーボネード小波板
鉄骨フレーム 塗装