広谷純弘+石田有作 / アーキヴィジョン広谷スタジオによる、神奈川・相模原市の、アントニン・レーモンドの既存建築を改修した「神奈川カントリークラブ改修計画」です。
アントニン・レーモンドの設計で1968年に竣工したゴルフクラブハウスの改修計画である。オリジナルデザインは、大屋根の形態とコンクリートと木の質感の対比が独特の雰囲気を持っていたと思う。しかし竣工当時から何度かの改装が施され、オリジナルデザインとそうでない部分の関係が曖昧になり、凡庸なイメージになっていた。
今回の改修は、老朽化による部分の補修と現代の要求に合った機能を確保することが目的であるが、同時にアントニン・レーモンドのオリジナルデザインと我々がデザインした部分の対比を明確にすることにより、オリジナルデザインの優れた点を引き立てたいと考えた。
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以下、建築家によるテキストです。
アントニン・レーモンドの設計で1968年に竣工したゴルフクラブハウスの改修計画である。オリジナルデザインは、大屋根の形態とコンクリートと木の質感の対比が独特の雰囲気を持っていたと思う。しかし竣工当時から何度かの改装が施され、オリジナルデザインとそうでない部分の関係が曖昧になり、凡庸なイメージになっていた。
今回の改修は、老朽化による部分の補修と現代の要求に合った機能を確保することが目的であるが、同時にアントニン・レーモンドのオリジナルデザインと我々がデザインした部分の対比を明確にすることにより、オリジナルデザインの優れた点を引き立てたいと考えた。
外部においては、傷んだ部分の補修を中心に進めた。特に特徴的な黄色味を帯びた瓦屋根については、これを一度外し、防水をやり直して再度利用している。ただ新築以降何度かの改修がなされ、増築された部分についてはオリジナルデザインと不協和音をおこしていたため、増築部に隣接するメインアプローチと合わせて、木格子を用いた表現で改修し、オリジナルデザインとの対比を試みた。
内部空間については、 クラブハウスとして、時代的な変化から求められる機能に合わせて、大改装を行なっている。エントランスホールにあった法規上不要な階段を撤去してエントランスホールの広さを確保し、カウンター周り、プロショップ等を充実させた。また、1階エントランスホールと2階のラウンジ(談話室)を分断していた壁を大胆に取払い、1階と2階を連続した明るい空間として再構成した。これにより、外観の大きな特徴である大屋根のデザインが内部でも感じられるようになったと思う。ひとつながりのおおらかな空間は、外部の庇とも連続感を持たせるために、庇と同様に木格子を用いて、柔らかな曲面のデザインとした。この天井のカーブはゴルフコースのアンギュレーションやボールの軌跡をイメージしている。
また、2階の改修はラウンジまでとし、これに続くレストランについては、オリジナルデザインの骨太な空間を残し、色調の整理と照明器具の色温度を統一するに留め、レーモンドのメモリアルルームとして位置付けた。
■建築概要
所在地:神奈川県相模原市
主要用途:クラブハウス
構造規模:RC造地上2階、地下1階
延床面積:2517.55㎡
竣工年:2018年5月
設計・監理:株式会社アーキヴィジョン広谷スタジオ
構造設計:株式会社梅沢建築構造研究所
設備設計:株式会社アズプランニング
照明デザイン:有限会社シリウスライティングオフィス
施工:株式会社森本建工
写真:車田保