中西ひろむ建築設計事務所+荻原雅史建築設計事務所が設計した、熊本・錦町の「にしき ひみつ基地ミュージアム」です。
本計画はかつて存在した人吉海軍航空基地跡に位置します。
滑走路跡や地下壕跡と共に地域全体をオープンエアミュージアムとして捉え、展示やガイドツアー、VR体験を交えて戦争の歴史を伝えています。
拠点施設は翼のような軽快な木架構からなり、施設足元に広がる滑走路跡や、周辺に点在している遺構を浮かび上がらせることを意図しています。拠点施設の面積が限られる中、そこでの展示はミュージアム全体への導入と捉え、約20人ごとにレクチャーやVR展示、地下壕ガイドツアーを行うことを想定しています。
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以下、建築家によるテキストです。
本計画はかつて存在した人吉海軍航空基地跡に位置します。
滑走路跡や地下壕跡と共に地域全体をオープンエアミュージアムとして捉え、展示やガイドツアー、VR体験を交えて戦争の歴史を伝えています。
拠点施設は翼のような軽快な木架構からなり、施設足元に広がる滑走路跡や、周辺に点在している遺構を浮かび上がらせることを意図しています。拠点施設の面積が限られる中、そこでの展示はミュージアム全体への導入と捉え、約20人ごとにレクチャーやVR展示、地下壕ガイドツアーを行うことを想定しています。
建築自体は極力軽やかに、またプラグマティックに構成したいと考え、ちょうど飛行機の翼の骨組のように、細い線材のみから効率的に組みたてられた架構とし、建築物の足元に広がるかつての滑走路を際立たせています。
ここでは、105 角、45×90 といった小径部材からラチス状に組み合わせて軽やかで大らかな木質空間をつくりました。
西側には内部空間と同様の構造形式により大きく軒が張り出され、西日を遮蔽すると共に、縁側によって内外空間を連続させています。また、同一の寸法や規格、納まりとし単純化することで、重機を用いずに人力のみでの建て方を実現するなど、短工期・低コストの計画としています。ラチス状に組まれた架構には照明設備や換気設備が組み込まれています。
また、特に展示室においてラチス部分の開口を通して間接光が満たされ、歴史資料を保存しながら明るい内部空間をつくっています。
今後、周辺の調査を進めることにつれて、新たな資料の発見や地下遺構の発掘が想定されるため、美術館自体が拡張・成長していくことを想定しています。
拠点施設の竣工後、東側に屋外イベントスペースを増築し、フィールドミュージアムのガイドツアーを補強する場としています。
■建築概要
名称:にしき ひみつ基地ミュージアム
所在地:熊本県球磨郡錦町
主要用途:美術館
建築主:錦町
面積
敷地面積:6862.76m2
建築面積:171.30m2
延床面積:152.37m2
設計者:中西ひろむ建築設計事務所+荻原雅史建築設計事務所
構造設計:関西木材工業
展示設計:角田哲也
設備設計:幹設備設計事務所
施工
建築:いなば
空調・衛生:九電工
電気:九電工
写真:中村絵写真事務所
期間
設計期間:2017年8月〜2017年12月
施工期間:2017年12月〜2018年7月