中村拓志 & NAP建築設計事務所が設計した、西日本の住宅「Half Cave House」です。
開放的な大空間と親密な小空間という、相反するふたつの空間が同時に存在する家である。人を大勢招くことができて見通しのよいLDKは散漫な空間にならないように、筒形ヴォールト屋根を頭上に低く浮かして緩やかに分節している。
本来ヴォールト屋根は少ない柱による大空間の実現を目指すものであるが、ここではヴォールトが緩やかに空間を分節することに着目して、筒型ヴォールトのスパンを小さく、高さを低く抑えて反復させた。天井は最も高い箇所で高さ3380mm、最も低い箇所で2080mmとした。それによりメリハリのある空間が生まれた。
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以下、建築家によるテキストです。
開放的な大空間と親密な小空間という、相反するふたつの空間が同時に存在する家である。人を大勢招くことができて見通しのよいLDKは散漫な空間にならないように、筒形ヴォールト屋根を頭上に低く浮かして緩やかに分節している。
本来ヴォールト屋根は少ない柱による大空間の実現を目指すものであるが、ここではヴォールトが緩やかに空間を分節することに着目して、筒型ヴォールトのスパンを小さく、高さを低く抑えて反復させた。天井は最も高い箇所で高さ3380mm、最も低い箇所で2080mmとした。それによりメリハリのある空間が生まれた。
小さなヴォールトがつくり出す適度な音響効果によって、家族の団欒や自らの発する音が天井からやわらかく降り注ぐ。これは洞窟が人にもたらす親密さに似ている。必然的に小さな所作になり、静かな声で話す。どこにいても自分の身体の延長としての空間があり、自分はその中心にいるという実感を持つことができる。原始時代の人間が洞窟住居の中で身を寄せ合い共同体を形成したように、ここに住む家族を親密な関係へと導いてくれる半洞窟の住居である。
■建築概要
題名:Half Cave House
所在地:西日本
床面積:941.0.m2
設計:中村拓志 & NAP建築設計事務所
施工:株式会社笠谷工務店
協力:構造 株式会社満田衛資構造計画研究所
協力:設備・電気 明野設備設備研究所
協力:ランドスケープデザイン 会社名 SOLSO&ATELIER DAISHIZEN
竣工年月:2018年10月
竣工写真:Nacasa & Partners Inc.