SHARE 前田圭介 / UIDによる、広島の「こどもえんつくし ダイニングホール棟 forestaカランころ」
前田圭介 / UIDが設計した、広島の「こどもえんつくし ダイニングホール棟 forestaカランころ」です。
敷地周辺は山裾に広がる住宅と、古くからの里道や水路、田畑など長閑な風景が広がっている。隣接する既存園舎はメイン棟に始まり、ズック(下駄箱)棟、ホール棟、乳児棟の点在が統一感のない統一感とでもいうような新旧の混在する在り様が心地良く、昨今の建替えによって刷新されていく園舎とは一線を画している。ここでは既存園舎の形状を踏襲するのではく、様々な年代に建てられた小さなまちのような園舎の物語性をさらに膨らませながら、緩やかな完結しないマスタープランを描きたいと感じた。
こどもの増員や設備機器の老朽化に伴い既存園舎から給食室を移設する機会とあわせて食の空間を新たに捉え直すことが求められた。そこで一般的なランチルームがもつ食という日常の一場面だけではなく、地域の方や保護者を招いて行う食事会や誕生会などの交流が生まれる「ルームではない広がりを創造させる新たなダイニングホール」を計画した。
ダイニングホールはいかなる行為にも対応できるがらんどうの空間ではなく、柱・梁による建築的強度持ったリジットな形式による居場所を考えた。具体的には3.5mグリッドに45°の角度を振った逆末広がりの十字柱・梁を配し、水平・垂直方向への視界深度のグラデーションによって生まれる身体的距離感をつくりだした。それらを取り巻く家具やランドスケープによって空間同士や内外を緩やかに接続し、森の中を歩くような自由なシークエンスを形成している。さらにこどもたちから大人まで移動に伴うアイレベルの変化により空間領域の解像度が変容していく。
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以下、建築家によるテキストです。
小さなまちのようなこども園
「こどもえんつくし」は1978年の開園から40数年を迎える今日まで、地域と共に歴史を刻みながら幾度かの増改築を経て現在の園舎の姿がある。2012年にわが子を預けているご縁で乳児棟「Peanuts」を手掛けさせていただいた。それから8年の歳月が経ち、乳児棟の北面に立ち並んでいた古い空き家が解体され、この度の増築計画が持ち上がった。
敷地周辺は山裾に広がる住宅と、古くからの里道や水路、田畑など長閑な風景が広がっている。隣接する既存園舎はメイン棟に始まり、ズック(下駄箱)棟、ホール棟、乳児棟の点在が統一感のない統一感とでもいうような新旧の混在する在り様が心地良く、昨今の建替えによって刷新されていく園舎とは一線を画している。ここでは既存園舎の形状を踏襲するのではく、様々な年代に建てられた小さなまちのような園舎の物語性をさらに膨らませながら、緩やかな完結しないマスタープランを描きたいと感じた。
領域が変化する森のような居場所
こどもの増員や設備機器の老朽化に伴い既存園舎から給食室を移設する機会とあわせて食の空間を新たに捉え直すことが求められた。そこで一般的なランチルームがもつ食という日常の一場面だけではなく、地域の方や保護者を招いて行う食事会や誕生会などの交流が生まれる「ルームではない広がりを創造させる新たなダイニングホール」を計画した。プログラムとしては40名程度のこどもと先生、保護者が集えるダイニングホールと4・5歳児のみが滞在する場所、そして先生方が就業後もゆったりと時間を過ごすことのできるラウンジである。
ダイニングホールはいかなる行為にも対応できるがらんどうの空間ではなく、柱・梁による建築的強度持ったリジットな形式による居場所を考えた。具体的には3.5mグリッドに45°の角度を振った逆末広がりの十字柱・梁を配し、水平・垂直方向への視界深度のグラデーションによって生まれる身体的距離感をつくりだした。それらを取り巻く家具やランドスケープによって空間同士や内外を緩やかに接続し、森の中を歩くような自由なシークエンスを形成している。さらにこどもたちから大人まで移動に伴うアイレベルの変化により空間領域の解像度が変容していく。おおらかな空間でありながらも、ある秩序と可変性をもつ空間体験がこどもたちに対して日常とは異なる創造性を与えつつ、その中にも好奇心や愉しさを与えてくれる特別な空間となるだろう。
地域の未来
こどもえんつくしは私たちのアトリエから徒歩5分の距離にある。現代のこどもたちを取り巻く状況が大きく変わっていく中で、地域で育まれる園児たちに対してどのような環境が大切なのか問い続けながら、今後もこどもえんつくしの豊かな空間づくりに関わっていきたいと思う。
(前田圭介)
■建築概要
建築名称:こどもえんつくし ダイニングホール棟 forestaカランころ
設計監理:前田圭介/UID
英文事務所名:Keisuke Maeda/UID
構造:小西泰孝建築構造設計
造園:荻野寿也景観設計
モニュメント:アトリエ木朴
施工:大和建設 株式会社
主構造:S造
用途:認定こども園
規模:地上2階
敷地面積:923.57m2
建築面積:545.61m2
延床面積:782.05m2
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
---|---|---|
外装・壁 | 外壁1 | 煉瓦タイル(国代耐火工業所) |
外装・壁 | 外壁2 | |
内装・床 | ダイニングホール床 | |
内装・その他 | ダイニングホール柱・保育室柱 | 防腐剤加圧注入杉板t=12の上、木材保護塗料塗布 |
内装・壁 | 保育室壁・WC壁 | モザイクタイル FIORETTI(名古屋モザイク工業) |
内装・床 | 保育室床 | |
内装・造作家具 | 造作家具 | メルクシパイン集成材+塗装+UCL |
外構・床 | 歩道 | |
外構・植栽 | 植栽 | 高木:イロハモミジ、ヒメユズリハ、アオダモ、ヤマザクラ、 |
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